アウトレイジ 見ました

北野武監督が久々に、得意分野に戻って来た!と評判の
「アウトレイジ」を見に行きました。

以後、例によってネタバレになりますから、
これから見る人は逃げてくださいね!!






新宿歌舞伎町の映画館に、まさにぴったりの映画でした。
とにかく映画予告編の惹句にもありましたが
「全員悪人」しか出てこない映画です。

この映画の特徴としては、
普通のヤクザ映画だと、見た後ヤクザになりたくなるものですが
この映画を見た後は絶対ヤクザになりたくないと強く思える
ストーリーになっています。

「ゴッドファーザー」「スケアクロウ」といったマフィア映画や
仁侠映画に特徴的なのは、
暴力という過剰さがあるにせよ、そこには親子関係の強い愛情や
絆が感じられる、濃い人間関係です。

過剰な欲望・過剰な愛情・過剰な憎悪 そして過剰な暴力
これがヤクザ・マフィア映画の特徴です。

しかしこの作品では全く逆で、巨大暴力団のそれぞれの
立場の人間が、互いに非常に冷たい関係を築いていて、
親子関係と言うよりも、巨大企業の上司と部下に見えます。

つまりたまたま自分の上に今いるだけで、全く尊敬もしていない
という関係性の中で、人間関係と言うよりも
巨大暴力団という装置によって、結びついているヤクザの姿が
描かれていくのです。

私はそれほど 沢山のヤクザ映画を見ているわけではありませんが
それでもこの姿は、相当革命的な描き方だと思いました。

ストーリー内部、特に人間関係は非常に緻密なプロットで
構成されていて、北野映画の中でも確実に一番
完成度の高い脚本だと思います。

ですから 映画の表面上はとてもエンターテイメントとして
楽しめました。

ただし・・・。
2点の理由からこの映画は、深みのある映画にはなり得ず、
単に2時間のエンタメになってしまっていると思います。

まず一点目
上に書いたとおり、非常に希薄な人間関係の中で
暴力が描かれているので、登場人物の行動に対して
感情移入が出来ないのです。

江戸時代からある「義理と人情」というのはベタですが
やはり、悲劇のトリガーとして理にかなっていると思います。
それを排除しているのは、スタイルとしてはアリですが、
やっぱり見ている印象が弱いですね・・・。

2点目は 既に多くの人が言っていますが
スプラッター表現ですよね。
なんだか、タランティーノにも似て
とても不快でした。まあこれは確信犯ですけど・・・。


というわけで、「ソナチネ」の神話的なテイストは
微塵も無い とても冷たい映画でした。


先に書きましたが、面白いのは面白いですよ。
要するに確信犯なんですよね。

タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」と
同じですよ。

武さんは単に面白いヤクザ映画を作ろうと思った
のでしょうから
DVDセールスは伸びると思いますよ。
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by AWAchampion | 2010-06-23 23:05 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)