「ミッドナイト・イン・パリ」を見ました

私はウッディ・アレン監督の作品が大好きです。
そんな彼の最新作「ミッドナイト・イン・パリ」が公開されましたので
さっそく見に行ってきました。

今年、アカデミー脚本賞を取ったんですよね。
いやぁ、御年75歳のウッディアレン すごいですよ。

と、いうわけで例によってネタバレします。
これから見る予定の方は逃げてぇぇぇ!
















さて、もう大丈夫ですね?
ここを見てる方は、もうこの映画見ちゃったか、もしくはウッディ・アレンが嫌いな方ですね?

デビュー作から延々 故郷ニューヨークを舞台に映画を撮ってきたウッディ・アレンは
2000年代に入り ヨーロッパにその舞台を移します。
「マッチポイント」ではロンドン、「それでも恋するバルセロナ」ではバルセロナだったわけですが
満を持して この映画ではパリの映画を撮りました。

確かに「世界中がアイラブユー」もパリの映画なんですけど、まああちらはどちらかというと
ミュージカルのパロディに重きが置かれていましたから、
都市の映画ということでは この映画がガッツリ パリを描いた、
いわば 「パリ版 マンハッタン」ではないでしょうか?

物語はハリウッドで脚本家として成功した主人公ギルが、婚約者とともに
彼女の父の出張について パリにやってくるところから始まります。

彼は、ハリウッドでの脚本稼業に満足せず、パリのような場所で
作家として自分の可能性を試したいと思っています。
しかし婚約者は、パリには旅行でくるところで、カリフォルニアこそ最高の場所だと
思っています。

二人はパリ滞在中に心がすれ違っていきます。
そんな時ギルは、夜中に不思議なクラシックカーに誘われ、乗り込むと1920年代に
タイムスリップしてしまいます。

そこは、スコット・フィッツジェラルド、アーネスト・ヘミングウェイ、パブロ・ピカソらが
パーティをしては美学的な論争を繰り返す、ギルにとって理想の時代。
そこで彼は、ピカソの愛人、アドリアナに恋に落ちるのですが・・・。
そんな彼らの前に、今度は馬車が現れて、彼らは1890年代ベル・エポックの時代へ
連れて行かれます。
そこはロートレックやゴーギャン、ドガらがいる世界。
1920年代の住人アドリアナにとってはあこがれの時代ですが・・・?

というお話です。

パリという町は 19世紀の市長オスマンによる大改造以来、あまり街並みが変わっていません。
ですから角を曲がると ロートレックや、ヘミングウェイが見た風景が広がっていても
不思議ではない街なのです。
そういうパリという町の持つ 物語をとてもよくあらわした作品だったと思います。

この映画はとにかくとてもロマンチックな作品です。
それは、登場人物の描かれ方が ロマンチックというわけではありません。

生粋のニューヨーカーであるウッディ・アレンが、パリに恋をした
「パリへの愛情」をとてもストレートに描いた作品だからです。

正直パリは、本当はこんなロマンチックな街ではありません。
行くと結構暴力が渦巻く、危ない街です。

しかしそういう面はおいておいて、とにかくパリの美しい面だけを見て 恋をした
アメリカ人 ギル=ウッディ・アレンによる パリ賛歌なのです。

そういう「都市への愛情」を描いた作品ですから、その愛をにこにこと眺めるのが
この映画の幸せな鑑賞法だと思います。

で、この映画の中で「人は過去にあこがれるけど、それは生きている時代に適応できていない
証拠だ。今生きている時代を受け止めろ」というメッセージが語られます
それも、ウッディアレンらしいなぁ・・・と思いました。

映画「マンハッタン」のラストを覚えていますか?

17歳の女性トレーシーに恋をした40歳のウッディ・アレンは、
しかし彼女への思いを断ち切るために 彼女を
半年ヨーロッパに留学させようとします。
しかしいざ、その日が来てみると
なにかもやもやしたものが心にたまり、彼は「自分が好きなもの」を
カセットテープに吹き込みます。

「僕の好きなもの・・・ グルーチョ・マルクス、スウェーデン映画、素敵なセザンヌのリンゴ
ジュピターの第二楽章・・・そして・・・トレーシー」
そこでトレーシーへの愛に気が付き
行かないでと頼むアレンにトレーシーは
「あなたはもっと大人になるべきよ」と忠告します。

なんかそのシーンをすごく思い出してしまいました。
結局過去が好きってことは、今から逃げているわけですよね?
う~む。

ウッディ・アレンの映画にはしばしば、現状に満足できないメディア人が出てきます。
「アニー・ホール」は演出家でしたね。
いやぁ・・・身につまされます。大人になればなるほど 洒落にならないです。

しかし、ラストはどうですかねぇ?
あれ・・・ちょっと安易すぎませんかね?

だって、婚約者とあっという間に別れてせいせいして
別の、もっと貧乏なパリジェンヌと付き合いだすって・・・・。
う~む、いくらなんでも婚約者の人物造形が 一面すぎる気がします。
っていうか、「今の時代に生きろ」っていうメッセージと矛盾しません?

ということで、テイストとしては堪能しましたが
ストーリーとしてはラストに疑問があるので、私的には△ですねぇ。

それで、ふと「アニー・ホール」のことを思い出したんですけど、
あの映画は本当に素晴らしい映画ですよね。
私は大好きな映画のベスト5に入る 傑作だと思います。

ウッディ・アレンにはますます、軽みのある映画をどんどん撮ってほしいです。


あと、音楽が素晴らしいです。
1920年代といえば シャンソン全盛期!「Recado」とか「歌ってよ愛の歌を」など
素晴らしい名曲がどんどん流れます。
いやぁ・・・素晴らしい。

とにかくウッディ・アレンは趣味がよすぎるので、嫌いには絶対なれません!
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by AWAchampion | 2012-05-30 20:48 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)