「ジャンゴ 繋がれざるもの」を見ました

クェンティン・タランティーノ監督の新作で、
今年のアカデミー賞の「オリジナル脚本賞」を
受賞した「ジャンゴ 繋がれざるもの」を見てきました。

例によってバッチリネタバレしますよ!見てない人はとにかく逃げて!











はい!
ということで、タランティーノも早いものでもう8作目なんだそうです。
今回は西部劇。それもマカロニ・ウェスタンに
強くインスパイヤーされた作品です。

何しろ「ジャンゴ」は、「続・荒野の用心棒」以来の 
イタリア製西部劇のメインキャラクターですからね。
冒頭から「続・荒野の用心棒」の英語版テーマソングがかかります。

ストーリーは南北戦争の5年前、当時神聖ローマ帝国下で、
欧米列強唯一アフリカの黒人奴隷と
縁のなかったドイツ、デュッセルドルフ出身の 
賞金稼ぎ キング・シュルツが
賞金首を探すために、奴隷として売られる最中の
ジャンゴを強引に買い取るところから始まります。

シュルツは黒人奴隷には反対で、
ジャンゴを同等のパートナーとして扱い
彼に馬と服を与え、同じ宿で泊まります。 
当然南部の人は驚き、彼を殺そうとしますが
シュルツは素晴らしい腕で、そういう南部の人々をバンバン殺していきます。

またシュルツはジャンゴに射撃を教えます。
ジャンゴは筋が良かったようで、どんどん習得し
やがて早打ちではシュルツに負けるとも劣らない腕となります。

シュルツはジャンゴと、目的の賞金首を倒すことに成功。
そしてジャンゴの、引き裂かれた妻を探すために、
南部の中でも最も差別の厳しいミシシッピー州の
さらにひどいプランテーションに向かいます。
そこには サディスティックな主人 キャンディと
、彼の忠実な黒人執事 スティーブンがいて
やがて彼らとの闘争に発展していくのです・・・。

という話で、南北戦争前のミシシッピーで、
もし黒人の「賞金稼ぎ」がいたら?という
相当なおとぎ話です。

しかしとにかくタランティーノは、極端な設定の中で
キャラクターを生き生きと動かすことが
得意です。今回も登場人物はそれぞれ
ちゃんと動機を与えられており、(それがまた
いちいち極端ではありますが)見ていて引き込まれていきます。

タランティーノは基本的に都会派で、会話劇の人です。
マカロニ・ウエスタンはどちらかというと、
メキシコ国境あたりに舞台が設定されていて
簡単な英語で事が進むようなものが多いですが・・・
(書いてる本人がイタリア人ですから)
タランティーノは 西部開拓時代ではなく、西部劇の中でも比較的近年の方の
南北戦争あたりの、南部プランテーションに物語を設定することで
西部劇とはいえ、かなりの会話劇に仕立ててあります。

もちろん黒人がある程度人として扱われる時代に
話を持ってこないとダメですから
時代考証的にこの設定となったのでしょうけれど、
結果としてタランティーノは
やりやすかったのではないでしょうか?

そのため、いわゆる無言で打ちまくるマカロニウエスタンというよりは
「黒いジャガー」などの1970年代 
黒人映画の趣のほうが強かったように思います。
実際 使われている音楽も モリコーネっぽいエレキギターとかくちぶえでなく
ヒップホップだったりしましたからね。

そして役者が非常に良いですね
前作に続いて オスカーを受賞したドイツ人俳優 クリストフ・ヴァルツ
ジャンゴ役の ジェイミー・フォックスはとてもいいですし
もちろんデカプリオやサミュエル・Lジャクソンは良い仕事をしています。

これも要するに極端でわかりやすい
キャラづくりを与えられているところが大きいです。

いろんな意味でタランティーノの映画は漫画っぽいんですけど
それが、彼のダイナミックな脚本で、
「こんな話ねえだろ!」という話が生き生きとするというのが
不思議な作家です。
 
この題材はアメリカの恥部であり、今も根強く残る問題なので
どうしても彼も政治的な話をさせられているところもありますが、
はっきり言ってタランティーノは
黒人問題とかあまり興味ないと思います。

とにかく変わった題材で、変わった映画を撮れる喜びを
純粋に感じているんじゃないでしょうか?

彼は現場でもう1テイク行きたいときに こういうそうです。
「なぜ、もう1テイクあえて撮るのか?それは俺たちが映画ファンだから!」
これは良い言葉ですね。


あえてぶっちゃけ言ってしまうと、本当はこのストーリーなら
ジャンゴは初めてキング・シュルツと一緒に泊まった宿で
リンチにあって殺されてますよ。
だって、ミシシッピーって今でも黒人と白人の区別はかなり明確にあるんですから。
まあ、でも、ほんとおとぎ話ですから・・・その辺は目をつぶりましょう。
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by AWAchampion | 2013-03-08 11:20 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)