『バードマン~あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡』を見ました

いやはや、最近…というか昨年の9月ぐらいからかなり忙しかったので
映画などを中々見られなかったのですが
アカデミー賞受賞作『バードマン あるいは無知がもたらす予期せぬ奇跡』を
見てきましたよ
例によって盛大にネタバレしますので
見ていない方はさっさと逃げてください!!!









いいですか?
いいんですね?
この作品は『バベル』でアカデミー賞を取った メキシコ人監督
アレハンドロ・イニャリトゥ監督の作品で
マイケル・キートン エドワード・ノートンらが出演する
ブラックコメディです

マイケル・キートンは20年前『バードマン』というヒーロー映画で
ハリウッドで活躍した中年俳優リーガン
彼は『バードマン3』以降長いスランプに入り 代表作もないまま
中年になり、離婚して娘はドラック更生施設に送られるという
生活をしていたが、一念発起 金をかき集めてニューヨークの
ブロードウェイの一流劇場で、レイモンド・カーヴァーの原作で芝居を打つことになった

脚本・演出・主演を務める彼だが、どうしても相手役が気に入らない
と…ある日相手役が怪我をして、代役でやって来たのが
ニューヨークでも名優との評判のエドワード・ノートン扮するマイク
しかしマイクは舞台の上では名優だが、バックステージではクソ野郎だった・・

さらに資金繰り、浮気相手の圧力、娘サムがマイクとくっついてしまうなど
多くのプレッシャーを受けながら プレビュー公演が始まるも問題山積
本公演前夜、酒場で会ったニューヨークタイムスの名物批評家からは
「今までで最も酷い批評を載せてやる」と言われ、
酔いながら町をさまよったリーガンは… という内容でした

これが全編 ステディカムのワンカメショーで、
しかもシームレス(編集点が分からないようになっている)ということで
物凄いリアルなライブ感の中で行われるのです

撮影方式としては古くはヒッチコックの『ロープ』が有名ですね
演劇的空間を映画で作るためには、ドン引きではなく実はこういう形の方が良いという
見本のような作品でした

で、まず良い所から言うととにかく脚本の中でリーガンのパートは素晴らしかったですね
ひとりの落ちぶれた俳優の、苦悩をバカバカしい会話の中で描き出すのは非常にうまく
行っていました
また撮影方法も なかなか刺激的でした。
完全に成功しているか?これがこの脚本を生かす100点の撮影方法なのか?と言われると
それは違うと思いますけど、でもこういう試みはやった方が良いですし、
この手の地味な題材に刺激を与えることは必要だと思いました

編集方法というか、全体的にドラムが流れていて
それと合わせている方法もカッコいいですね。実際ニューヨークを旅すると
ああいう不思議なジャズっぽい音楽ってよく流れているんですよね

過去の映画で言うと 『ALL THAT JAZZ』(カンヌ・パルムドール受賞作)とか
『こわれゆく女』(ジョン・カサベテスの代表作)
などを思い出しました。手持ちカメラで演劇の主役の苦悩を追うという点では
『こわれゆく女』が一番近いのかもしれませんね?
あと、脚本的な事を言えば『M★A★S★H』(ロバート・アルトマン監督)なんかも
思い出しましたよ。ああいうブラックコメディですよね?

悪い所で言えば、やはり撮影方法の未整理さを取り上げずにはいられませんね
私はどうしてもテレビドラマ、久世門下であるので そのシーンで誰がどこにいて
どういうアクションをしているのか?というのを観客としても見せてもらわないと
ちょっとストレスがたまります
ヒッチコックの場合はどちらかというと クレーンに据えたカメラに 役者の方がよってきたりする
画面内モンタージュを、相当使っていましたのであまり飽きたイメージが無かったのですが
今回は人物にカメラがついて、ずっとアップショットで構成されてしまいますから
良く言えば『裁かるるジャンヌ』(カール・ドライヤー監督の無声映画)などを
思い出しましたが、さすがにそればかりでは途中でちょっと飽きちゃったかも?という気がしました

あと脚本というか演出というか…ラストが凄く映画的で違和感がありました
ここまで演劇空間に閉じ込めたんだったら、最後まで演劇の側の表現で描き切っても
良かったんじゃないのという気は凄くしました。
それこそ一度自殺未遂をしてから(この自殺未遂自体があまり良いとは思えませんが)
舞台の上でいったん死んで メタ映画的に最後カーテンコールを受けるぐらいでも
良かったんじゃないかな?と思いました

まあでも とにかく刺激を受けた作品ですし
映画が好きで、「最近ブロックバスタームービーしかないよなぁ」と思っている
昔の映画好きには良いと思いましたよ。
これがアカデミー賞を取るアメリカはなんだかんだ言ってスゴイデスネ


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by AWAchampion | 2015-05-11 10:10 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)