吉本新喜劇の不思議

関西では土曜日の昼間に放送されていて、関西人なら一度は見たことがある
吉本新喜劇
私も子供のころはよく見ていました。
初めて見た記憶では、小学生のころ間寛平さんと木村進さんがぐ~っと出てきた頃で、
船場太郎さんなんかも出てました。もちろん岡八郎、花紀京という大スターは健在でした。
それから中学生ぐらいになって 
間寛平さんと池乃めだかさんのサル猫合戦なんかをやってる頃も良く見てました

ただ私は18歳までしか関西にいなかったので、当時あったうめだ花月・なんば花月や
今のNGKに見に行ったことはありません。

関西を離れてから25年以上がたち、ほとんど見る機会もなくなっていました。
しかし最近ふと 何かの機会で動画をみたら、実はこれは非常に変わった舞台だという事を
知ったのです

今の吉本新喜劇は大体100人前後の座員がいて
関西地方で NGKと京都祇園花月という二つの劇場で 一週間ごとに毎回1時間の新作が
作られています

ここは座長システムと呼ばれる変わった形態で、スター=座長が戯曲を作家と一緒に作り
配役を決める権限もあるそうです。もちろん別に演出家もいるそうですが、力関係は完全に
座長のほうが上で、歌舞伎スタイルといえるかもしれません。

そして何より驚いたのが、台本は役者に1週間前に渡されて、各自予習をしたうえで
稽古は本番前日に 本読み→台本をもって立ち稽古→台本を離してもう一度返す・・・ぐらいの
4時間ぐらいで終わってしまい
あとは本番初日当日 舞台で一度通して 本番を迎えるのだそうです。
まさに異例の短さ。
歌舞伎も似たようなスタイルですが、歌舞伎は同じ演目を何度もやるのでみんな分かっているし
ビデオもたくさんあるわけですが、新作を作り続ける『プログラムピクチャー』方式で
こんなに稽古が短い演劇はほかに中々ありません。

現在の座長は 内場さん 辻本さん 小藪さん 川畑さん すっちーさんの5名
座長にそういう強い権限があるのだ・・・と思ってみると
結構作風に違いがあるのが分かります。
例えば辻本さんの場合 階段が細工してあって、必ず階段落ちのネタやらスローモーション
ダンスなどがある スペクタクル演出で、かなり分かりやすい特徴があります

芝居の中身は、まあ大体 うどんやのご主人のところに 別れた奥さんがやってきたり
途中で必ずやくざ者が借金を取り立てに来て笑いを取ったり
と毎回似ていますが、配役を変えたり舞台設定を変えたりしながら、いろいろ工夫はされているようです

で、調べていくとびっくりしたのですが
そもそも吉本新喜劇自体が 大阪の毎日放送というテレビ局立ち上げに合わせて、
テレビ演芸として創設されたという事なのです。つまり初めからテレビコンテンツとして
開発された舞台だったのです。
同じころ ライバルの朝日放送が「てなもんや三度笠」という公開収録をやったり
していたわけでテレビ黎明期のドラマの形態だったわけですね 

ですからギャグがこまめに出てきてボケが多いというのは 映像を意識した
ものだったのですね。
昔の「生放送ドラマ」の香りを現在進行形で伝えている、貴重な舞台と言えます
そう思ってみると、偉大なるマンネリだと思っていた舞台が意外に面白く見えてきませんか?

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その後さらに分かったことがあります
吉本新喜劇はテレビ収録が前提の舞台だと書きましたが
月曜日に初日で 金曜日の回をカメラテストがてらいったん収録して
全員で見るそうです
そして土曜日の夜の公演が『テレビ収録本番』となるそうです
(昼の公演も最終カメラテストで回しているでしょう)

となると、そこが本番と考えると 月曜から金曜分で
5回は舞台をやってるわけですが、それがいわば公開リハーサル的な事なんでしょうね
だから稽古自体は初日の前にちょこっとやって、毎日終わった後駄目だしを繰り返しながら
練っていくので、演出家に力があるのではなく、実際に毎回舞台に立つ座長に
演出権があるほうがやりやすいんでしょうね。

私は舞台収録の演出も結構やる機会があります
そういうディレクター目線で見ると、順番に出てきて個別にギャグを言って
ボケと突っ込みの対話形式で進む吉本新喜劇は、実はきわめて映像に向く演出が
されていると思います
つまり寄るポイントがとても分かりやすいのです。
舞台収録が一番難しいのはミュージカルやレビューです
音の同じきっかけで同時多発的に舞台上の空間が離れた
色んなところでいろんなことが起きるので、カメラが寄れないのですが
吉本新喜劇の演出が実は 映像のディレクターの意見が入ってああなっているんだと
分かって ちょっと見方が変わってきましたね
大衆演劇ではなく、実はあれはテレビドラマだったのです。

私がこの舞台の収録ディレクターであればカメラを6台~7台使いますが、
もしかしたら4台でやってるかもしれませんね?













 





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by AWAchampion | 2016-06-10 05:25 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)