LA LA LANDを見ました

ちょっと遅くなりましたが
2週間ほど前、ちょうどあのアカデミー賞発表の前日ぐらいに
「LA LA LAND」を見てきました

え?

どうだったって?

ネタバレを含みますから
また見てない人は逃げて下さいね!





いいですか?
「LA LA LAND」は「セッション」で名を上げた1985年生まれのデイミアン・チャゼル監督の
最新作で、ロサンゼルスで夢を追う男女の恋物語をミュージカル仕立てで描いたものです

この「ミュージカル仕立て」というのが重要で
あくまで「ミュージカル的な表現を用いた普通の作品」としてみた方が幸福な作品です。

冒頭、ロスの高速道路で渋滞が起きているところから 映画はスタートします
ロスの渋滞というと「フォーリング・ダウン」を思い出しますが
撮り方としては ゴダールの「ウィークエンド」っぽいカメラワークで一人の女性に
ドリーインすると・・・・

そこから歌が始まり ダンスシーンがどかんと始まるのです

全体的にカメラは、1980年以降のダンスシーン演出に多く見られる
カットを細かく割って勢いを出す方法ではなく、古のミュージカルっぽく
人の身体を基本的に全部見せた(FF)のサイズで移動していきます

これはMGMミュージカルなどで最も大切にされていた事で
ダンサーの身体を全部見せることを主眼としています

役者を志しつつも 映画スタジオの中にあるスターバックスで働く
若い女性ミアと、ジャズバーを開きたいという思いを持ちながら鬱屈した日々を過ごすセブ
この二人が偶然 パーティーで出会うところから話は急展開します
そして恋に落ちて・・・・と言う物語です

この映画はミュージカルとして見ると 確かに最近でも
サム・メンデス監督の「シカゴ」やら、舞台を映画化した「レ・ミゼラブル」のような
21世紀のミュージカルや、50年代~60年代のMGMミュージカルに比べられるか?
と言うと 正直そこまで クオリティが高いわけではありません
主役の二人も頑張ってはいますが、本職のダンサーではありません。

カメラや照明ももう少し粘っても良かったんじゃないかな?と思うところは
無いわけではありません

でも、この映画が愛されるのは その質の部分ではありません
「ミュージカルって良いよねぇ・・・・」というマニア(シネフィル)が作った映画だという
事がよく分かるからです

同じような映画があります
それは フランスのジャック・ドゥミ監督が作った
「シェルブールの雨傘」や「ロシュフォールの恋人たち」です
ジャック・ドゥミも、MGM映画への偏愛から あの作品を作り上げました

特に「ロシュフォール」は、アメリカから「雨に唄えば」のジーン・ケリーと
「ウエストサイド物語」のアルベルトでお馴染み ジョージ・チャキリスを連れてきて
フランス語で歌わせているという珍品に近い作品とも言えますが
この映画の素晴らしいところは、とにかく衣装・ダンス・セットデザインなど
画面構成に凝りに凝りまくって 多幸感を映像全体で表現しているところです

MGMの映画もセット・音楽・ダンス全てで、人生の多幸感を描く為に英知を絞っている
作品群です
それをスタジオで表現して 全てを理想の形にコントロールしたのが「雨に唄えば」であり
「巴里のアメリカ人」なんですが
ジャック・ドゥミは 南仏の明るい日差しの下 ロケでその美しさを出そうとしました

「LA LA LAND」もそのジャック・ドゥミ監督と同じにおいがするのです。
そして当時よりも ロケで美しい映像が撮れるようになったわけで
そこで、MGMの香りをきちんと出そうとしたと言うのが分かるのが嬉しいのです

例えば賞賛されている 夕焼けをバックにした タップシーン
あれは多分「雨に唄えば」でセットに迷い込んだ デビー・レイノルズに、ジーン・ケリーが
踊りながら愛をささやくシーンのオマージュでしょう
本当の夕焼けをバックに踊る二人 
しかも セブは足下に砂があるのをタップシューズでいじって
すこし 「トップ・ハット」のアステアを気取ります

そんな一つ一つに ミュージカル映画への愛が感じられる
萌え映画と言っても良いんじゃ無いでしょうか?

だから、どちらかというとウッディ・アレン「世界中がアイラブユー」に近い
作品なのかも知れませんね

後半には完全に「巴里のアメリカ人」でレスリーキャロンとジーンケリーが踊る
例のレビューシーンのような セットでのショーも出てきます
映画人なら ああいうのをやりたい気持ち よく分かります

アレも確か パリで画家を目指す 貧しいジーンケリーが 
パーティーで レスリー・キャロンが他の男にとられてしまうのを悲しく見つめながら
妄想するシーンでした
今回も、ミアとセブの間に悲しい事が起きた時に、あのシーンになるのです
ここが良かったですね

正直ハードコア ミュージカルファンは
前半15分で「あれ?」と思うと思います
賞賛されている冒頭のシーンは、マニア的にはそうメチャメチャ
ハイクオリティには思えないと思います
でもそこを乗り越えて!
30分したら良くなります!

それから「ミュージカル的要素」ばかりが言われますが
ストーリーがとてもジンと来ます
「夢だけでは食えない」「でも夢を見るのは大切」
ロスに消える夢の数々・・
それを21世紀版にしたらこうなるという感じです。
ミュージカルって、本来「人生の幸せな部分を歌に乗せる」話です
でも、この映画の中では「もし私が別の人生ならば・・・」という思いとともに
使われて
「風向きは 二人のためには吹かなかったけど、それでも悪くない人生なんじゃない?
あんたも頑張れよ」って感じが良かったですね
ちょっと「アニーホール」を思い出しましたよ
ウッディアレンが 舞台の脚本家で、ダイアンキートンが歌手だったでしょ?
あれはニューヨークからロスに来る話
その逆って事ですね
それにアニー・ホールは嬉しいとき こう言うんでしょ?
そう
「LA DI LA」ってね。

とにかく「萌え」を感じながら見ていると
後半尻上がりに良くなります

是非ご覧下さい

ついでに
「ロシュフォールの恋人たち」から双子姉妹の歌

「トップハット」からアステアの砂のタップ(2:30あたりから)


「巴里のアメリカ人」からレビューシーン





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by AWAchampion | 2017-03-16 14:06 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)