「おくりびと」を見ました

昨日ようやく『おくりびと』を見に行きました。

なるほど、いい映画でした。
感想でいえば端正なつくりの映画でした。

もともと監督の滝田洋二郎さんは、にっかつロマンポルノ時代も
新感覚派の作風で、彼の90年代初頭のコメディ傑作群を見ても
どちらかというと、カットの多い、テレビ的な演出をする
方という印象が私にはありました。

ところが、時代がさらに進み、テレビドラマのなかにバラエティ的な
「登場人物が劇中で触ったもの、見たものは、必ず強調する」という
メソッドが確立した感がある、今になると、実は滝田監督も
大きな画面で育った映画的な演出をしている事が良くわかりました。

どうしても納棺にまつわる芝居の場合、カットを割りたくなるのですが、割ると、例えば「お葬式」のように少しコミカルな印象の
モンタージュになってしまうのですが、引けるだけ引いて
詰まった構図の中に登場人物を詰め込む事で、緊張感を出す
演出方法を試みています。

しかし、そこで「雪の山形」を舞台に選ぶ事で
背景を飛ばして、非常に演劇的な空間を作り出すのに成功しています。

また脚本は、非常に良くできています。
難をいえばちょっと妻役の広末涼子の造型が少し「出来すぎた妻」で
有るとは思いましたが、これが映画の脚本初執筆であるはずの
小山薫堂氏は、さすがに放送作家の第一人者としての実力を発揮していました。

そして、なにより役者陣が非常にいい仕事をしています。
主役の本木雅裕は、
脇役に個性的な人物が集う中で、主役では有るが傍観者という
タイプの役を非常にうまく演じています。
彼は、徹底的に事前にリサーチをして、役に挑む俳優として
知られていますが、特に今回は自分がこの企画を持ち込んだ事もあって
非常に思い入れ深く演じていました。

キネマ旬報1位になるタイプの映画ではありませんが、
非常に端正でいい映画でした。
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by AWAchampion | 2008-11-30 22:30 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)