日テレで「崖の上のポニョ」を見ました

今日、日テレで「崖の上のポニョ」を見ました。

私は封切り当時にMIXIに、ポニョについて思うところを書きましたが、
今回こちらに転載します。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>以下2008年 8月6日付日記の転載

今日、渋谷で午前中に打ち合わせを済ませた後、11時50分からの回の
「崖の上のポニョ」を見ました。


以下ネタばれします。見てない方は、今のうちに逃げてぇぇぇぇ!




見た率直な感想を言えば、
「素敵な初恋のストーリーだが、確かに大人向けかも?」という
事でした。

ストーリーは ジュール・ヴェルヌの小説「海底2万リーグ」で、
潜水艦ノーチラス号に乗っていた、少年フジモトが、海の聖なる母性
グランマンマーレに恋に落ち、人間であることをやめ、海の代弁者となって大人になった時代の話・・。
彼が海底でくらげの養殖を始めているところから始まります。

フジモトとグランマンマーレの子供たちは、魚のポニョと妹達。
そのうちポニョは外の世界が見たいと家出します。

家出した先でポニョは5歳の少年宗介に出会い、恋に落ちます。

一度は戻されますが、「宗介にあいたい」一心で彼女は人間に
姿を変え、また陸を目指します・・。


といった話です。

もちろんベースにはアンデルセンの「人魚姫」があったりして、
大人にとっては、知識があればあるほど、楽しめますし、
フジモトの目的が「地球と海ををもう一度デボン紀のような、命あふれる時代に戻したい。そのためには人間が邪魔である。」と思っていたり
する心も、大人であればこそ分かるのです。

今までの宮崎映画を見ている人にとっては、彼のテーマである
「自然との共生」のベクトル上の話なんだということが、大人であれば
ニヤリとしてしまうほど分かりやすく展開します。


で、ポニョはもう理屈なしに好きになった男めがけて、一目散に
会いに行くわけです。
山口智子が「ポニョに女の本性を見た」と言っているのが非常に
的を得ていて、理屈抜きで宗介を追っていく様子は、ちょっと
近松の登場人物を思わせて、大人から見ればかなり性的にも思えます。

この映画は、画面上に無数にちりばめられた引用や
隠喩を紐解く知識を持った上で、
「どうしても逢わねばならぬ人がいる」という
本能的な体の疼きが分かる、高校生以上の人には、非常に響く素晴らしい作品だと思います。

が!


劇場を埋めた半数の 5~9歳の子供達は、
見た後みんなでっかい「?」マークを
頭から噴出していました。

その理由は非常に明確に2つあります。

一つは、ポニョはすでに魚の時点で「ポニョ、宗介好き!」としゃべれているので、
子供からしたら、別に人間だろうがしゃべる魚だろうが、
あまり変らないのです。
子供はアニミズムの世界で生きています。だから人間の姿を持つ
事の重要性をあまり感じないばかりか、「魚としゃべれて素敵」と
逆のことを思ってこの映画を見ている事もあると思います。

なので、「最後にキスをすれば、人間になれる」というフックが
あまり効いていないのです。
ポニョが人間になることは、子供達にとって
必ずしも完全なハッピーエンドとは言えない場合もあるのです。
これは、「魚のときはしゃべれない」としておけば随分違ったと思います。

二つ目は、「ポニョを人間にするための古い魔法」とは、男の子の
変らぬ愛情のことだと思います。
本当は、「異形のものであるポニョを、それでも君は愛せるのか?」
「モチロン、愛は永久に・・。」というやり取りがあって、
おもむろに王子のキスをささげるという流れなのでしょう。

が!ラストはアクシデントでポニョからキスしてしまうので、
子供達からすると、「宗介は結局なんにもしないで、話聞いただけジャン」と思ってしまうと思います。
さらに、その話も「ポニョが魚だったことは知ってますか?」という
話に「うん」というというものでした。
これは観客の誰もが、既に知っていることなので、特に子供はハードルに感じないでしょう。

だから「失敗すると泡になってしまう」というフックが全く効かないままいきなり終わってしまった感じがありました。

大人の目から見ると、「ポニョの初恋の純粋さ」に胸を打たれるラストですが、子供の目から見ると、ひねりすぎた気がしました。

宮崎さんが「子供の反応が薄い」とおっしゃっていたそうですが、
私が見る限り、理由はかなりはっきりしていたように思います。

これは高校生がみたら、胸を焦がして何度も見返してしまう作品だと
思います。今の子供がDVDで何度も見て、何年か後のある日不意に本当のメッセージに気がつく類の映画でしょうね・・。

それとは別に・・・。

車で走っているときに、よそ見してソフトクリームをなめたり、
助手席の子供がシートベルトをしなかったり、
退避勧告を無視したりするシーンは全て、テレビでは考査の対象になり、普通は放送できません。
テレビドラマで同じ事をすれば、全て台本段階でカットを要請される
かなりNG度の高い事柄ばかりです。

日テレはこの映画を放送できるのでしょうか?
ちょっと心配になりました。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>引用ここまで

1年半たって、
2度見ると、この映画にふんだんにまぶされている、引用や暗喩に
気がつくことも多いです。

しかし、それでも私自身100%分かったとは言いがたいです。
やはり ポニョの父 フジモトは、ヴェルヌの小説を読んでいない私にとって、
映画全体を通して、統一した立場で様々な行いをしているように見えないです。

また この映画がヴェルヌの小説を下敷きにしているという、説明はやはり
映画の中に、私は見つけられませんでした(上記の文章は、パンフレットを読んだあとに書いています)

まあ私が無学といえば、それまでなのですが、5歳の子供はもっと知らないと思うのです。
う~む。やはり この映画を100%楽しむためには 監督本人の注釈がたくさん必要な気がします。

それから日テレは 私の心配をよそに バリバリノーカットに近い形で放送しましたね。
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by AWAchampion | 2010-02-05 23:22 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)