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先週の土曜日 ちょうど 新宿武蔵野館で
前評判が高く、今年のカンヌや アカデミー外国語賞でも話題となった
ドイツ映画「ありがとう、トニ・エルドマン」の封切り日だったので
見てきました

まだ公開から日が浅いですが ネタバレしますよ
見るつもりのかたは逃げて下さいね

ちなみに予告編


さて 内容ですが 公式HPによると
悪ふざけが大好きな父・ヴィンフリートとコンサルタント会社で働く娘・イネス。
性格も正反対なふたりの関係はあまり上手くいっていない。
たまに会っても、イネスは仕事の電話ばかりして、ろくに話すこともできない。
そんな娘を心配したヴィンフリートは、愛犬の死をきっかけに、彼女が働くルーマニアの首都ブカレストへ。
父の突然の訪問に驚くイネス。ぎくしゃくしながらも何とか数日間を一緒に過ごし、
父はドイツに帰って行った。ホッとしたのも束の間、彼女のもとに、
<トニ・エルドマン>という別人になった父が現れる。
職場、レストラン、パーティー会場──神出鬼没のトニ・エルドマンの行動に
イネスのイライラもつのる。しかし、ふたりが衝突すればするほど、ふたりの仲は縮まっていく…。

という作品なのですが、
一言言わせてもらいます

長い!

長すぎるよ!


いや オフビートな作品で 何も無い間を作って テンポの悪さを
関係性の悪さや、居心地の悪さにして、それが後半 ドンドン縮まっていくという
演出手法なのはわかります

でもね、このネタで 2時間40分超えはキツいぜ!
2時間で良いでしょ?
いや、ウッディ・アレンなら100分で作るね

絶賛の声が結構多いのですが 私は この居心地の悪さを作り出す編集に
まんまと乗ってしまったのか?とにかく見ていて不快なテンポが耐えられませんでした

それは色々あって
後半 汚い親父が トニ・エルドマンに変装して ビジネスマンの娘の行く先々に
現われるのが コントとしては面白いのですがリアリティに欠けるという
そもそもの点で乗れなかったり
なんか、何カ所か出てくる セックスジョークが メチャクチャ下品というか
生々しくて (なんと女性監督だそうです)
ちょっと生理的に無理だったりしました

それから 最も大きな違和感は
父が心配している 娘の その心配の内容が
「忙しすぎてストレスを感じている 現状」なのか?
「第三世界の人の犠牲の元に成り立っている 彼女の仕事」なのか?
ちょっとブレているという点です

野心的な作品であるとは思いましたが
脚本が 良いとは思えませんでしたし
私は正直 ★を付けるなら 5点満点中2つですかね?


by AWAchampion | 2017-06-29 04:57 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

先週の土曜日に映画を見てきました

「何にしようかな?」と思っていたら
新宿で 朝10時から なんとフランソワ・トリュフォーの「突然。炎のごとく」やってるじゃ
ないですか?

ということで行ってきました

イヤ久しぶり
多分20年ぶりぐらいに見ました
そうそう「ジュール・エ・ジム」っていう原題でしたね

内容は フランス人のジムと、オーストリア人のジュールが親友になり
何処に行くにも一緒という生活をしていたら
ある日そこに自由奔放な女 カトリーヌが現われ
二人の男に愛されながら 振り子のように行ったりきたりする という
映画です

それをラウル・クタールが いかにもヌーヴェルバーグっぽい
自由奔放にぶん回すカメラワークをして
それを トリュフォーがさらに ズームも何も関係無く 自由にぶった切り
編集する・・・
とにかく ストーリーも映像も 自由奔放な作品でした

最近の映画は 良い意味で映画言語をがちがちに守る作品が多く
ここまで 自由でメチャクチャな作品はあまり見られません
でも やっぱり映像の作り手としては こう言う作品に
刺激を受けることも多いのです

久々に ヌーヴェルヴァーグにどっぷりつかった
2時間でした

by AWAchampion | 2017-06-29 04:43 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

いやはや 初めて行ってしまいました
笑いの殿堂 大阪・ナンバ千日前にある
ナンバグランド花月
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私、関西出身で 千日前も何度かロケに行っているのですが
花月劇場に入ったことがありませんでした
で、行って見ましたよ

入り口を入るとすぐに おおおお!
茂造さんですよ!
今 一番人気の座長さん
辻本茂雄さんの メインキャラクターです
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そして今関西で 人気爆発中の アキさん
「いいよぉ~」でお馴染みですね
次期座長の呼び声も高いです
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で、行って見ました

もちろん 吉本新喜劇がお目当てで この日は特にダントツ一番人気の辻本座長回ですよ
テンション上がりますね!

吉本新喜劇には 現在5人の座長さんがいて(つい先日6人目として 酒井藍さんが就任することが
発表されましたね)
座長システムというのは いわゆるトップスターでありつつ演出にも関わるという
どちらかというと 旅芸人や大衆演劇の劇団にあるスタイルのようです

で、それぞれ特徴があり 古い順で言うと
内場座長:一番オーソドックスな吉本新喜劇 
辻本座長:舞台上の大仕掛けと、アドリブ無茶ぶりのアナーキーな新喜劇
      →のように見えるが実は台本がしっかりある
     ストーリーは違っても ほぼ毎回展開は一緒だが、爆発的な人気がある
     茂造・アキ・森田展義・島田珠代など 強烈キャラ祭りの要素が強い
小籔座長:新喜劇の変革者 キャラと言うよりも凝った台本を作里笑いを起こすタイプ
     しかし最近は多忙により 過去の傑作キャラクター ブラジル3兄弟・オタクなどを
     多用する
川畑座長:つっこみ型の座長。小籔座長と共に 台本の完成度によって笑いを起こそうというタイプで
     積極的に若手座員を登用してる
     プログラムピクチャーで変わった台本を作ると 当たり外れが出てくるが
     その振り幅が最も大きい
すっちー座長:すちこという強烈キャラクターと乳首ドリルという 定番ギャグを生み出した
       辻本座長に次ぐキャラ派の人気座長

で、私は「とりあえず 今一番ホットな座長を見なきゃ」と言うことで
辻本回を選択しました
この日の演目は 「3年B組 茂造先生」(6月17日に放送になりました)
いやはや堪能しました
一番の収穫は 辻本回の3番手格 森田展義さんが 毎回振られて「滑る」ことがお約束のアドリブが
本当にアドリブで、そしてテレビ収録以外の日は 本当にめちゃめちゃ滑ってるという事を
確認できたことですね
アドリブと良いながら、振られる展開は毎回おなじなので アドリブ風の台本を書いているのか?
と疑っていたのですが 本当にツルッツルに滑っていたので あれはご本人が考えているのでしょう

とても堪能した一日でした

そして表に出ると・・・
そう 千日前の不思議建物の一つ
味園が!
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味園って何って?
それはこれだ!!!

私が学生だった1980年代には バンバン流れていたこのCM
まさに謎!
それがそのままあるという奇跡!
どうやら グランドキャバレーもあったそうですが
去年無くなったそうで惜しかったです・・・

こうして怪しい千日前の夜は更けていくのでありました





by AWAchampion | 2017-06-21 01:00 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画シリーズも7本目ですが これは『トレインスポッティング2』です
私はフリーランスですからいろんな制作会社さんで仕事をするのですが
『スゴ~イデスネ視察団』に関しては ご縁があってノンプロダクションさんで仕事をすることが多いです
そこで チーフディレクターの杉浦さんが ある日「倫太郞さん、俺、トレインスポッティング2楽しみすぎて
今日トレインスポッティングをTSUTAYAで借りて来ちゃいました」と話しかけてきたことがあり
これは見ないとなあ・・・ ということで見てきました



前作トレインスポッティングは1996年制作 日本には1997年に入ってきています
私は封切り当時 ギリギリ イギリス留学中でロンドンで見ています
当時私は スコットランドで16mm映画「Champion's Choice」の撮影準備中だったこともあり
エジンバラやらグラスゴーに足繁く通っていたので
とてもリアルに見たのを覚えています

私はイワン・マクレガーと同い年ということもあり
見ていて『20年をどう過ごして、40代半ばになって どう言う心境に陥ったか』
を凄く共感してしまいました

人は誰しも「こんなはずじゃなかった」感とか
「まだまだ終わってないぜ!でかい仕事しようぜ」感ってあると思うんです
なんか ジムに行くけど身体が動かない様子とか 色々身につまされました

内容は俊英 ダニー・ボイル監督の美意識が全面に出た
スタイリッシュかつダウナーなビジュアルの中に
クズな登場人物のクズっぷりが楽しい映画だと思うのです

でもその中に 人生のしわを感じましたよ


ただ一つだけ

前回のトレインスポッティングで 当時は気にならなかったんですけど
奪った金が8000ポンドで それを4人で山分けしなかったと みんなが怒ってるのですが
最大レートでも 8000ポンドって 190万円ほどです
これ 4人で分けたら50万円いかないんですよね?これで人生変わらないっすよ
また、今回は 10万ポンドのヤマですが、これも2400万円
う~ん、まあ東欧なら人生が変わる額ですが、それほどデカい金じゃないのに
殺し合いするところが またリアルというか何というか・・・。

by AWAchampion | 2017-06-17 02:38 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画シリーズ その6は 実写版『美女と野獣』です

ディズニーが制作したアニメ版『美女と野獣』の忠実な実写版ですね

これに関しては う~~ん?
正直 あまり良い映画とは思えませんでした

アニメ版は本当に現代ディズニーアニメでも1番の素晴しい作品だと思います
ミュージカルとして本当に良く出来ていて、
それでいてジャン・コクトーが作った実写版「美女と野獣」のテイストも少し
生かしつつ
美しくて楽しい 新たなクラシック作品だと思ったのを覚えています

そしてその舞台化版 ミュージカル『美女と野獣』は私は劇団四季版で
見ています
これも良く出来ていると思いました
特に アニメ版でも今回の実写版でもクライマックスの一つとして描かれている
夕食のシーンは 舞台で見るとびっくりしますよ!

で、今回ですが
確かにストーリーやら人物造形など アニメに忠実に作ってはいるのですが
なんか 時代設定をロココ期のフランスの田舎の ビザールで下品な雰囲気に
しているのが 全体のトーンを崩していると思いました
レ・ミゼラブルでいう テナルディエの酒場がずっと続くみたいな感じなんです
もっと おとぎ話の王子様とお姫様で良くないですか?

さらに言うと、多分ポリティカリーコレクトネスを重視しすぎているんでしょう
歌姫が黒人だったり、宮中の出演者もいろんな人種がいて
さらにゲイカルチャーにも配慮しているので
なんだか ものすごくカリフォルニア感が強い作品でした

なんでああいうビジュアルイメージにしちゃったんでしょう?
もともとの ジャン・コクトー版は極めて耽美的な映画です
アニメ版だって 美しい作品ですよ
それなのにねぇ

宝塚歌劇団の「うたかたの恋」みたいな
笑っちゃうぐらいの耽美的な作品にすれば良かったのに
「ラ・カージュ・オ・ホール」みたいになってました
う~~ん? これは失敗だと思いますよ



by AWAchampion | 2017-06-17 02:15 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画シリーズ まだまだ続きます
『暇なの?』 いえ違います
勉強しているんです


で、3Dアニメーションの『SING』見ました
吹き替え版だったのですが 子供達がマイウェーとかを聞いて喜んでいる姿に
じんと来ましたよ

「ズートピア」ほど 大人向けの寓話というわけではなく
正面から アメリカの昔からある エンターテインメントを
リスペクトも込めて真正面から子供に分かるようにしたという
作品で
音楽のチョイスがとてもご機嫌でしたよ

ただし、本編終わりで 特別映像として
山寺宏一さんとかスキマスイッチの人が 劇中の歌を歌ったコンサートが
流れましたが、あれ・・・いる?
一緒に歌おう的な煽りがしてありましたが
今まで ネズミとして聴いていた歌を いきなり山寺さんが歌うと
パーティ終わった感というか、映画の余韻ぶっつぶし感があって
私はあまり心地よくなかったです


by AWAchampion | 2017-06-17 02:00 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

前述 3本までは 「スゴ~イデスネ視察団」津田さんと話している中で
見ようと思っていたのですが
その勢いで 他の映画もバリバリ見ました

で、まずは キムタク氏主演で一時期メディアジャックしていた
三池監督の「無限の住人」です

元々漫画原作で
決して死なない身体を手に入れた 万次が 凜という少女の仇討ちを
手助けするため
悪の美剣士率いる 一刀流と対決する というモノです

いやぁ・・・ ぶっちゃけ 予告編とか
メディアに出てくる断片を見たときは 事故映画の匂いしましたよね?
事故映画マニアでもある私
そりゃ見に行きますよ!

で、見てきました

まあ確かに 漫画原作なので 剣士達が「北斗の拳」の雑魚みたいな
モヒカンだったりして へんてこではあるんですけど
それ以外の部分は極力ちゃんとした時代劇にしたいという三池監督の意図が
良く伝わり、思った以上にちゃんとした時代劇でした

この手の映画と言えば昔では 林海象監督の怪作「Zepang」などが
思い浮かびますが ああいう日本ですらないという世界観ではなく
一応ちゃんと江戸時代として極力描く姿勢には好感を得ました

それにキムタク氏は 碧眼で粗野なダークヒーローにとてもしっかり向き合って
万次として とてもしっかりと役に入り込んでいました
それから 凜役の杉咲花ちゃんも 好演だったと思います

それに三池監督は「13人の刺客」でこの手の大勢のチャンバラ
ペキンパー的な時代劇には慣れています
飽きずに見る事が出来ましたし 良い作品だと思いました


という事を前提にしますが・・・・

そもそも論として キムタク氏がこの万次役でいいのか?という問題があります
彼はかなり癖の強い役者です
ハンサムでクール、無愛想だけど笑顔が可愛い
このしばりは今回の万次役でもぬぐえませんでした

それならそれで、時代劇でもそういう役をやれば良いのに?と強く思います
眠狂四郎があるじゃないですか?
それに雪之丞変化があるじゃないですか?

ああいう ハンサムスターが出てくる時代劇にキムタク氏をちゃんとキャストして
ちゃんと 木村拓哉の代表作を作るべきです
雷蔵とか長谷川一夫バリの ハンサム時代劇作りましょうよ

というのは 木村拓哉という人は映画に恵まれていない気がします
「武士の一分」は良かったですが「ヤマト」はとてもダメでした
ウォン・カーウァイの「2046」もハマっていたとは言いがたいです
まあ「HERO」が今のところの代表作なんでしょうが
45歳を迎えて ちゃんとハンサムを背負える 田村正和の後継者なんですから
ちゃんと ハンサムとして処遇した方が良いと思います


by AWAchampion | 2017-06-17 01:54 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画 その3はSF映画『メッセージ』です
この作品も 前述の津田さんから「ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作品は全部傑作ですよ!」
とおすすめされていたこともアリ 見に行ってみました

これも 公開がまもなく終わるのでネタバレします
この作品は ネタバレしてしまうと面白くありません
もしこれから見ようとしている人は 逃げて下さいね!










はい、
では行きます

アメリカの大学で 教鞭を執る言語学者ルイーズ 彼女は元々夫と娘がいたが
夫とは離婚 娘とは死別して 今は一人
今日も教壇に上がり 淡々と授業を進めようとした矢先・・・
生徒達の携帯電話に緊急速報が入る

世界12都市に謎の宇宙からの飛来物が到来したというのだ

その目的は一体何なのか?
攻撃すべきか?どうするべきか? 世界が困惑してるという

その夜 ルイーズが寝ていると 家が爆音に包まれる
軍のヘリコプターで、下りてきた大佐が
「高名な言語学者である貴方に宇宙語を解読して欲しい」と持ちかける

しかし録音されたノイズを聞いても 分からないので
ルイーズは 軍に従い 謎の物体の中にいるという 宇宙生命体と
コンタクトをとり 意思の疎通を図るというミッションを任される
相棒は 数学者のイアン
彼と時に反発し 時に強調しながら
未知なる生命体と コンタクトをはかるのだが・・・





いやぁ 素晴しかった 傑作じゃないですか!
これは本当に ガツンと来ました
SF映画が 我々を哲学的な所まで持って行ってくれるという意味では
まさに「2001年宇宙の旅」ですよね
あれは 「文明とは?」という作品でしたが 今回は「文字とは?」
「時間とは?」「コミュニケーションとは?」という所を突き詰めた
作品でした

そしてヴィルヌーブ監督は 明らかに「天国の日々」「BADLANDS」「ツリーオブライフ」
でお馴染みの 観念派の巨匠 テレンス・マリック監督の影響を受けていますね
テレンス・マリックといえば 今では普通に使われる「マジックアワー」の
生みの親で「天国の日々」で巨匠撮影監督 ネストール・アルメンドロスと共に
誰も見たことがない 美しい風景を描き出した監督です

マジックアワーとは 本来 日没後 まだ空はある程度明るくて 空全体が間接照明に
なっている状態で 強い光源がないので 景色と人物の顔が 影無しで写し取ることができる
という状態です

ヴィルヌーブ監督は 宇宙人との空間には強いコントラストとモノトーンの世界で
見るモノにストレスを与え
その対比として 周りの地球の風景を、彼女の記憶の中の心象風景も含めて
マジックアワーで柔らかく切り取っています

また 思索にふける人の切り取り方なども 「ツリー・オブ・ライフ」などに似ている
感じがしました

結果として 宇宙人との遭遇という大きくて派手な作品でアリながら
極めて個人的な体験に落とし込んで 哲学的なおもいまで至る、とても素晴しい作品でした

しかも タイムパラドックスがかかっていて
ミステリーの要素もあるんですよね
これも素晴しい

いや マジで今年見た中では ダントツで1位ですよ
素晴しい映画でした



by AWAchampion | 2017-06-17 01:23 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画 その2ですが ウッディ・アレン監督の新作「カフェ・ソサエティ」を見ました
これは 前述の 津田さんもそうですが
制作会社ノンプロダクションの 黒木Pも「私もとても見たいわ」とおっしゃっていた
作品です

で、この作品の何がワクワクさせるって
ウッディ・アレンの映画に あのヴィトリーロ・ストラーロが撮影監督として
はじめてついた作品なんですよ!

ヴィトリーロ・ストラーロとは 1960年代終わりから活躍する
イタリアの撮影監督の巨匠中の巨匠で 
世界中の映画学校の生徒にとってのバイブル
「マスター・オブ・ライト」(撮影監督日記)にも 
ネストール・アルメンドロス、ゴードン・ウィルスとならんで
世界3大巨匠と紹介されているほどです

彼はベルナルト・ベルトリッチとのコンビが有名で
何と言っても代表作は「暗殺の森」
他には「ラストタンゴ・イン・パリ」「ラストエンペラー」などがあり
どちらかというと明度や色調のコントラストがくっきり出た
色の魔術師のイメージがあります

ウッディ・アレンは 代表作「アニー・ホール」「マンハッタン」で
あのアメリカ派の撮影監督の神様 ゴードン・ウィルス(代表作は「ゴッドファーザー」)と
組んでいます

「マンハッタン」はモノクロ映画ですが ニューヨークがとんでもなく美しく撮影されています
特にMOMAのシーンは今思い出してもため息が出ます

そのウッディ・アレンが ストラーロと初めて組むんです
そりゃ見るでしょ???
ストラーロが撮るニューヨーク見たくないですか?

舞台は 1930年代のハリウッド
最もアメリカ映画が華やかな時代 ジンジャー・ロジャースなどを扱う巨大なタレントエージェントの
フィルの元へ ニューヨークから甥のボビーが仕事を求めて訪ねて来ます

何もないけれど誠実さだけが取り柄のボビー
そんな甥を見て フィルは自分の鞄持ちをせよと命じます
そして、ラスベガスを何も知らないボビーのために 自分の秘書 ヴォニーに町を案内させます
美人で気取らないヴォニーに ボビーはすぐに恋に落ちます
しかしヴォニーにはカレシがいました
それが・・・だったのです

傷心のボビーはフィルの元を離れ
ニューヨークに帰り ギャングになっていた兄に誘われ グランドキャバレーの雇われ店長になります
そのキャバレーはやがて 東海岸一の店となり
その店に あのヴォニーがやってくるのです・・・



素晴しい!
素晴しい作品でした
ウッディ・アレンは私 大好きで 
今まで「アニー・ホール」「マンハッタン」「スターダストメモリー」
「サマーナイト」「カメレオンマン」「カイロの紫のバラ」
「ハンナとその姉妹」「ラジオ・デイズ」
「ウッディ・アレンの重罪と軽罪」「ウッディアレンの影と霧」「
「夫たち、妻たち」「ブロードウェイと銃弾」
「魅惑のアフロディーテ」「世界中がアイ・ラブ・ユー」
「ギター弾きの恋」「ミッドナイト・イン・パリ」を
見ていて、特に「アニー・ホール」は アメリカ映画の中で5本の指に入るほど好きです

しかしストラーロがこれらの作品とはまた全然違った 濃厚な味わいを
ウッディ・アレンに与えました
フィルのパーティの雰囲気や
フィルのオフィスの色合いは本当に 彼が30代の頃に撮った
「暗殺の森」のような 濡れた色合いと鋭利なコントラストを未だに保っています

そして この映画の最もスゴイ場面は
LAで二股をかけられていたことを知った ボビーの絶望の顔に
NYの夜景がオーバーラップするカットにあります
たったワンカットで 陽光きらめくLAから 寒く陰鬱だが
人工的な美しさがあるNYの対比が ドバ~~~ッと表現されていて
思わず劇場で「おおっ!」と声を上げてしまいました
今の時代 オーバーラップ一つで金を取れる撮影監督は そうはいません

そして ストラーロを得て ウッディ・アレンの脚本もさえていました
彼が最も大好きな1930年代のハリウッドが舞台で、
(それこそ マルクス兄弟も活躍していた時ですね)

恋に破れても 人生は続く
そしてその恋が破れたことも 後から思えば悪くはない・・・
だけど 一瞬 焼けぼっくいに火がつく瞬間が訪れる

・・・・あれ?
「LA LA LAND」にも似た主題ではないですか?

それがとても大人の目から描かれていて、
話もストラーロの画に負けない深さを持っていました
超おすすめです








by AWAchampion | 2017-06-17 01:00 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

3ヶ月間かかった 『スゴ~イデスネ視察団』の編集中に
総合演出の 津田さんから 色々と「最近見て面白かった映画」について色々と聞く機会がありました
普段はあまりそういう話はしなかったのですが、お付き合いも長くなったせいか
仕事以外の話もするようになりました

で、私は古い映画の方が遙かに見ていて、好みもそっちなのですが
最近の映画のおすすめをたくさん聞いたので 彼のおすすめに従って見てみることにしました

で、まず見たのが「マンチェスター・バイ・ザ・シー」です

これはニューヨーク大学出身の映画監督 ケネス・ロナーガンが台本を書き 演出した
作品で、もともとはマット・デイモンの初監督作品になるはずだった台本なんだそうです

もう殆ど封切り上映は終わりますのでネタバレも含みます

このマンチェスターは イギリス第二の都市の方ではなく
アメリカ・マサチューセッツ州にある ボストンの北 
100キロ程度の所にある小さな都市
マンチェスター・バイ・ザ・シーの事です

この土地で育ったリーは 兄と兄の子供と濃厚な思い出がありましたが
いまはボストンで一人暮らし。公団住宅住み込みの便利屋として生計を立てています

ある日 兄が急死したという報をうけ マンチェスターに帰ります
そこで数年ぶりに 甥のパトリックと会います
パトリックは16歳の高校一年生 二人の彼女とバンドとアイスホッケーに明け暮れて
青春を謳歌していますが、親を亡くし後見人が必要となります

そこでリーは兄の遺言で 自分が後見人にされていることを知ります

そこで数年ぶりにマンチェスターで住み始める リー

しかしリーには 妻と娘を失った ある事件の記憶があり
それがフラッシュバックしていきます

大人になりつつあるパトリックとの葛藤、リーの土地への思いが重なって
物語は ある結末へと走り出していくのです・・・


いやはや 良い映画でした
やはり この監督さんが ニューヨーク大学で映画を学んだという感じが随所に出ていましたが
特に 音の使い方に濃厚に出ていました

映画に付けられる音というのはマイクで撮るわけですが、吐息だけを強調させたり
遠くの車の音だけを乗せたりする事が出来ます
その 耳に聞こえるノイズを心象風景とうまく合わせて 画面上は淡々と進む物語が
とても上品なレベルで動かされているのが分かります

この映画を見て 
もちろんニューヨーク派の巨匠 ジョン・カサベテスもそうですし
そもそも マット・デイモンが脚本を書いた「グッド・ウィルハンティング」なども
思い出しましたが
私は この画面の端正さと物語の淡々さから
日本の 市川準監督を思い出しました
彼の「BUSU」とか「TSUGUMI」を見たときの感覚
つまり、ある関係性の中で巻き起る 小さくて見えないほどの感情の揺れを
音とフレーミングで表現する感じが そう思い起こさせたのかも知れません

ちなみの「スゴ~イデスネ視察団」総合演出の津田さんは
「倉本聰の脚本で小津安二郎が撮ったみたい」と言っていて まあそれも
言い得て妙だなと思いました

小津さんも端正なローアングルばかりが注目されますが
実は研究が進んでいるように 向かい合う二人の真ん中にカメラを乗せることで
1対1の関係性の中で わずかにゆれる感情の揺れをとらえようとした監督ですからね









by AWAchampion | 2017-06-17 00:26 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)