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ロジャー・ムーア死す

今日、あのロジャー・ムーアさんが亡くなったそうです
89歳でした

1971年生まれの私にとって
007は3代目のロジャー・ムーアでした

彼のジェームス・ボンド最高傑作は
多分 登板一作目の「007死ぬのは奴らだ」でしょう
この映画は ポール・マッカートニー&ウイングスの
テーマソングがメチャクチャ有名でしたが
映画としても、マイアミが舞台の ブードゥー教の教祖
との戦いが 冒険活劇としての
007の原点に返るような素晴しい作品でした


他にも彼の007での名作は
何と言っても「私を愛したスパイ」でしょう

この作品は、まさに正統派
確か「ロシアより愛を込めて」のリメイクとして作られた作品で
しかしテクノロジーが進化していましたので
ロシアの女スパイが MI6のマシーンをすぐ使えるというような
シーンが出てきたりしたのが印象深かったです

そして「ユア・アイズ・オンリー」
この作品は私が一人で大阪梅田へ 見に行った最初のボンド映画で
とても思い出深いです
ボンドガールが歴代でも相当可愛い事で知られています
あ、フィギュアスケートの人ね。あの子可愛いですよねぇ


正直ロジャームーアの007には
「ムーンレイカー」「オクトパシー」などの駄作も相当あるんですが
それも彼の魅力の一つです



子供の頃本当に憧れました
ロジャー・ムーアさんの冥福を心からお祈り申し上げます

R.I.P James!

by AWAchampion | 2017-05-23 23:30 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日 東京宝塚劇場に「グランドホテル」を見てきました

これは1993年に、トニー賞演出家のトミー・チューン氏のカンパニーと
父・岡田敬二をはじめとする宝塚歌劇団が共同で作り上げた
宝塚版「グランドホテル」の再演です

当時は 人気絶頂のスターとして 涼風真世
ナンバー2と言うよりも、既に同格のスターだった天海祐希
さらにのちの大スター ナンバー3の久世星佳などが出演

しかしスターのサヨナラ公演だったにもかからず
涼風真世は 主役でありますが
中年の猫背でめがねをかけた オットー・クリンゲラインを演じ
天海祐希は 脇役で
グルーシンスカヤの親友の女性 ラファエラ役という 
極めて宝塚らしくない配役での公演でした

しかしこれが素晴らしかった
単に「清く・正しく・美しい」だけじゃない
ちゃんとしたミュージカルを宝塚もやって、それがとても心に響きました

今回は 主役の珠城りょうさんが スターお披露目ということもあり
宝塚っぽくアレンジされて
前回久世星佳がやった 泥棒男爵の役を演じていました

これはこれですっきりして良かったと思います
「グランドホテル」形式というのは 主役がはっきりしないというか
群像劇の代名詞のように使われるわけですが
ハンサムな男爵の苦悩を主軸に据えることで
まあ、見やすくはなりますしね。
それに極めて宝塚っぽかったです。

それに新しく演出に入った 生田大和さんは、ご自分がバレエダンサー出身の
演出家さんだけあって
付け加えた 男爵の駅のシーンは 白鳥の湖の「瀕死の白鳥」っぽくて
とても良かったです

宝塚でクリンゲラインを主役にするには
その主役に 特別な輝きがなくてはいけません
その意味で 大スター 涼風真世の最後というのは ここしかない!という
タイミングだったのでしょう

しかし 前回その役にスターを指名した トミー・チューンもあっぱれなら
その極めて宝塚っぽくない配役を 腹をくくって受け止めた
父を含めた宝塚の首脳陣もあっぱれでしたね

だって当時の涼風真世と言えば
小池修一郎さんの快作「P・U・C・K」で
真夏の夜の夢の妖精パックを演じて
宝塚ファンを萌え死にさせていた 王子様中の王子様でしたよ
それが、猫背で病弱で、ほとんどダンスもなく
ふらふらとした 髪の毛もくしゃくしゃの中年男性役ですからね
いや凄い話ですよ

改めて見ながら24年前の父の仕事に感銘を受けた一日でした





電話で父に話したら
「そうか、俺の凄さが今頃分かったか」と 
これまた父らしい言葉が返ってきましたよ(笑)


by AWAchampion | 2017-03-19 20:09 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

先ほど「LA LA LAND」の記事を書くために
久しぶりにウッディ・アレンの「世界中がアイラブユー」を検索してみました

すると・・・・
つい最近の映画だと思っていたのに
1996年・・・つまり21年前の映画だったんですね

うわぁ・・・

そりゃ私も年を取るわけだ

チャゼル監督からすると この映画も他の50年以上前の映画と
そんなに変わらない懐メロ感があるのかも知れませんね?

「世界中がアイラブユー」から
多分チャゼル監督がLA LA LANDでオマージュしたであろうシーン


by AWAchampion | 2017-03-16 18:45 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

LA LA LANDを見ました

ちょっと遅くなりましたが
2週間ほど前、ちょうどあのアカデミー賞発表の前日ぐらいに
「LA LA LAND」を見てきました

え?

どうだったって?

ネタバレを含みますから
また見てない人は逃げて下さいね!





いいですか?
「LA LA LAND」は「セッション」で名を上げた1985年生まれのデイミアン・チャゼル監督の
最新作で、ロサンゼルスで夢を追う男女の恋物語をミュージカル仕立てで描いたものです

この「ミュージカル仕立て」というのが重要で
あくまで「ミュージカル的な表現を用いた普通の作品」としてみた方が幸福な作品です。

冒頭、ロスの高速道路で渋滞が起きているところから 映画はスタートします
ロスの渋滞というと「フォーリング・ダウン」を思い出しますが
撮り方としては ゴダールの「ウィークエンド」っぽいカメラワークで一人の女性に
ドリーインすると・・・・

そこから歌が始まり ダンスシーンがどかんと始まるのです

全体的にカメラは、1980年以降のダンスシーン演出に多く見られる
カットを細かく割って勢いを出す方法ではなく、古のミュージカルっぽく
人の身体を基本的に全部見せた(FF)のサイズで移動していきます

これはMGMミュージカルなどで最も大切にされていた事で
ダンサーの身体を全部見せることを主眼としています

役者を志しつつも 映画スタジオの中にあるスターバックスで働く
若い女性ミアと、ジャズバーを開きたいという思いを持ちながら鬱屈した日々を過ごすセブ
この二人が偶然 パーティーで出会うところから話は急展開します
そして恋に落ちて・・・・と言う物語です

この映画はミュージカルとして見ると 確かに最近でも
サム・メンデス監督の「シカゴ」やら、舞台を映画化した「レ・ミゼラブル」のような
21世紀のミュージカルや、50年代~60年代のMGMミュージカルに比べられるか?
と言うと 正直そこまで クオリティが高いわけではありません
主役の二人も頑張ってはいますが、本職のダンサーではありません。

カメラや照明ももう少し粘っても良かったんじゃないかな?と思うところは
無いわけではありません

でも、この映画が愛されるのは その質の部分ではありません
「ミュージカルって良いよねぇ・・・・」というマニア(シネフィル)が作った映画だという
事がよく分かるからです

同じような映画があります
それは フランスのジャック・ドゥミ監督が作った
「シェルブールの雨傘」や「ロシュフォールの恋人たち」です
ジャック・ドゥミも、MGM映画への偏愛から あの作品を作り上げました

特に「ロシュフォール」は、アメリカから「雨に唄えば」のジーン・ケリーと
「ウエストサイド物語」のアルベルトでお馴染み ジョージ・チャキリスを連れてきて
フランス語で歌わせているという珍品に近い作品とも言えますが
この映画の素晴らしいところは、とにかく衣装・ダンス・セットデザインなど
画面構成に凝りに凝りまくって 多幸感を映像全体で表現しているところです

MGMの映画もセット・音楽・ダンス全てで、人生の多幸感を描く為に英知を絞っている
作品群です
それをスタジオで表現して 全てを理想の形にコントロールしたのが「雨に唄えば」であり
「巴里のアメリカ人」なんですが
ジャック・ドゥミは 南仏の明るい日差しの下 ロケでその美しさを出そうとしました

「LA LA LAND」もそのジャック・ドゥミ監督と同じにおいがするのです。
そして当時よりも ロケで美しい映像が撮れるようになったわけで
そこで、MGMの香りをきちんと出そうとしたと言うのが分かるのが嬉しいのです

例えば賞賛されている 夕焼けをバックにした タップシーン
あれは多分「雨に唄えば」でセットに迷い込んだ デビー・レイノルズに、ジーン・ケリーが
踊りながら愛をささやくシーンのオマージュでしょう
本当の夕焼けをバックに踊る二人 
しかも セブは足下に砂があるのをタップシューズでいじって
すこし 「トップ・ハット」のアステアを気取ります

そんな一つ一つに ミュージカル映画への愛が感じられる
萌え映画と言っても良いんじゃ無いでしょうか?

だから、どちらかというとウッディ・アレン「世界中がアイラブユー」に近い
作品なのかも知れませんね

後半には完全に「巴里のアメリカ人」でレスリーキャロンとジーンケリーが踊る
例のレビューシーンのような セットでのショーも出てきます
映画人なら ああいうのをやりたい気持ち よく分かります

アレも確か パリで画家を目指す 貧しいジーンケリーが 
パーティーで レスリー・キャロンが他の男にとられてしまうのを悲しく見つめながら
妄想するシーンでした
今回も、ミアとセブの間に悲しい事が起きた時に、あのシーンになるのです
ここが良かったですね

正直ハードコア ミュージカルファンは
前半15分で「あれ?」と思うと思います
賞賛されている冒頭のシーンは、マニア的にはそうメチャメチャ
ハイクオリティには思えないと思います
でもそこを乗り越えて!
30分したら良くなります!

それから「ミュージカル的要素」ばかりが言われますが
ストーリーがとてもジンと来ます
「夢だけでは食えない」「でも夢を見るのは大切」
ロスに消える夢の数々・・
それを21世紀版にしたらこうなるという感じです。
ミュージカルって、本来「人生の幸せな部分を歌に乗せる」話です
でも、この映画の中では「もし私が別の人生ならば・・・」という思いとともに
使われて
「風向きは 二人のためには吹かなかったけど、それでも悪くない人生なんじゃない?
あんたも頑張れよ」って感じが良かったですね
ちょっと「アニーホール」を思い出しましたよ
ウッディアレンが 舞台の脚本家で、ダイアンキートンが歌手だったでしょ?
あれはニューヨークからロスに来る話
その逆って事ですね
それにアニー・ホールは嬉しいとき こう言うんでしょ?
そう
「LA DI LA」ってね。

とにかく「萌え」を感じながら見ていると
後半尻上がりに良くなります

是非ご覧下さい

ついでに
「ロシュフォールの恋人たち」から双子姉妹の歌

「トップハット」からアステアの砂のタップ(2:30あたりから)


「巴里のアメリカ人」からレビューシーン





by AWAchampion | 2017-03-16 14:06 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今とても話題になっている 『この世界の片隅に』片渕須直監督 を見てきました

いやぁ素晴らしかった

ビックリするほど素晴らしい映画でした

まず特筆すべきは 能年玲奈さんの素晴らしさですね
彼女の朴訥とした雰囲気が、本当に主人公の受動的な人生と合っていて
北條すずさんは彼女じゃ無いと考えられないですね。
彼女の素晴らしい演技力には圧倒されました

それから脚本が素晴らしいです
その昔 時代小説の大家平岩弓枝さんが 北方謙三さんに
直木賞選考会の席上で語ったという逸話があるのですが
山本一力さんの「あかね空」を平岩さんが推す理由として
「北方さん、一力さんは『布団を干すと どうもホコリっぽく
なったので パタパタとはたいた』としか書いていないけど
実はこの日 浅間山が噴火して江戸に火山灰が降ったのよ。
でも歴史的事実を生活に落とし込むって こういうことなのよ
ホコリよ、ホコリ」と言ったそうです

これは非常にわかりやすい例えで、今となってはそのとき何が
起きていたのか?過去を俯瞰して見ることが出来ます

でも 当時生きている人には生活が全てなんです
その生活のディテールをきっちり積み重ねることで 戦争を浮かび上がらせるという
原作と脚本の力が素晴らしかったです

正直私も 太平洋戦争を題材にした映画は山ほど見ています
でも 今回 初めて知ってハッとさせられることは
山ほどありました

そういうリアルな部分と アニメーションとしての
美しい表現のコントラスト、メリハリが素晴らしかったです

結果として とても美しい作品でありながら
戦争の怖さ、残酷さをどの映画よりも胸の奥に届けられて
それでいて 温かいという 奇跡のような感情を
観客に届けられる作品になっていました

いやぁ これは 大人であればあるほどぐっとくるアニメーションだと
思います
是非ご覧になって下さい


by AWAchampion | 2016-12-16 08:18 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

『君の名は』について

新海誠監督の「君の名は」が記録的なヒットを続けています
私は公開2週目ぐらいに見ました

当時 劇場は満杯で 殆どが中学生か高校生のカップル
2割ぐらいそのほかの世代という雰囲気でした

内容については もう大ヒットした映画ですから書きません
私の感想だけを書きます

第一印象はとても美しい映画ですね
実写にとても寄せているのですが 彗星の破片が降るという
表現や この世の終わり感は アニメーションならではの
とても美しい表現だったと思います

また川村元気さんがよくおっしゃっている
「美しい東京」が とても印象的でした
瀧が生きているエリアは私も頻繁に通うエリアですが
あんなに美しい風景を見たことがありません

思春期に見ると一生を決定づけるような映画というのがあります
この映画はそういう映画でしょう
多分18歳ぐらいの人が見ると 何度も何度も見てしまう映画なんじゃ無いか?
と思います

それが私にはよく分かるのです
というのは 昭和46年生まれの私にとって
そういう映画は 尾道にありました

特に1981年の「転校生」は 男女の入れ替わりモノと言うこともあり
この映画と比較されることも多いのでは?と思います


で、この映画をみて 私が思ったのは
「君の名は」は、アニメであることで、思春期の男女の肉体を意図的に
スルーしているのでは?ということです

確かに三葉が瀧と入れ替わって 自分の胸を揉んだり
股間を見たりというシーンは出てくるのですが
結構あっさりその辺が乗り越えられてしまう感じがします

でも本当は 思春期の男女の入れ替わりモノの最も大きなポイントは
「お互いが知らなかったお互いを知る」という所にあります
それは 「君の名は」では田舎と都会という差にさらりと変えられて
いますが、本来 もっともっと汗臭いのでは?と言う気がしてしまうんです

「転校生」で当時13歳だった 小林聡美は なんとパンツ一丁になって
(本当にパンツ一丁ですよ。)大熱演しています
それを見ていると、どうしても「君の名は」を見ると悪い意味で「少年少女向けのアニメだなぁ」
と思ってしまいました。

あと、曲がとても印象的ではあるのですが・・・・

アニメ映画である故にというか 日本語で歌われた歌詞があり、それが
全て新海監督と濃密にコミュニケーションを取って作られたモノであるが故に
合いすぎていると思いました

つまり 野田さんの歌声がナレーションっぽく聞こえるのです

で、瀧君と三葉の物語の中に 明らかに彼らより年上の男性の声で
ナレーションというか心情を先に引っ張るような 歌詞が聞こえるので
どうしても 作者の意図を強く感じてしまって
しかもある意味ちょっとネタバレっぽくもあり
相当気になりました

ここまで ボーカル曲が多くなくても良かったのでは?と
私は思いました

もちろん「それが良いんじゃん」って人も、特に若い人の中には
多いのかも知れません。

確かにたとえば映画「卒業」なんかも
ミセスロビンソンと不倫したところで「Mrs Robinson」がかかったりするので
ところどころは同じなんですけど
全体的にもう少し 歌詞と映画の流れは離れていて、別にスカボロー祭りに
行くわけではありません

歌詞付きの歌を乗せるなら もっと抽象的な内容にした方が良かったのに・・・という
感じがとてもしました

あと、頭でアバンタイトルっぽく 「前前前世」に乗せて
その後の内容が短く 編集されているところがあります
あれは とてもテレビ的だなぁ・・・と思いました

あれ、確かにあるとわかりやすいデスけど
ネタバレっちゃぁ ネタバレですよね?
不思議な構図だなぁ・・・とは思いました

とにかく 全体的に
私にとっては映像の語り方が
親切すぎる感じが少ししました。

話が入り組んでいるので
親切な語り口にしたのかも知れませんね

それがヒットの大きな原因だと思いますが
もう少し「想像」の部分を残してくれていたほうが
私としては好みかも知れません。









by AWAchampion | 2016-12-08 22:23 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

吉本新喜劇の不思議

関西では土曜日の昼間に放送されていて、関西人なら一度は見たことがある
吉本新喜劇
私も子供のころはよく見ていました。
初めて見た記憶では、小学生のころ間寛平さんと木村進さんがぐ~っと出てきた頃で、
船場太郎さんなんかも出てました。もちろん岡八郎、花紀京という大スターは健在でした。
それから中学生ぐらいになって 
間寛平さんと池乃めだかさんのサル猫合戦なんかをやってる頃も良く見てました

ただ私は18歳までしか関西にいなかったので、当時あったうめだ花月・なんば花月や
今のNGKに見に行ったことはありません。

関西を離れてから25年以上がたち、ほとんど見る機会もなくなっていました。
しかし最近ふと 何かの機会で動画をみたら、実はこれは非常に変わった舞台だという事を
知ったのです

今の吉本新喜劇は大体100人前後の座員がいて
関西地方で NGKと京都祇園花月という二つの劇場で 一週間ごとに毎回1時間の新作が
作られています

ここは座長システムと呼ばれる変わった形態で、スター=座長が戯曲を作家と一緒に作り
配役を決める権限もあるそうです。もちろん別に演出家もいるそうですが、力関係は完全に
座長のほうが上で、歌舞伎スタイルといえるかもしれません。

そして何より驚いたのが、台本は役者に1週間前に渡されて、各自予習をしたうえで
稽古は本番前日に 本読み→台本をもって立ち稽古→台本を離してもう一度返す・・・ぐらいの
4時間ぐらいで終わってしまい
あとは本番初日当日 舞台で一度通して 本番を迎えるのだそうです。
まさに異例の短さ。
歌舞伎も似たようなスタイルですが、歌舞伎は同じ演目を何度もやるのでみんな分かっているし
ビデオもたくさんあるわけですが、新作を作り続ける『プログラムピクチャー』方式で
こんなに稽古が短い演劇はほかに中々ありません。

現在の座長は 内場さん 辻本さん 小藪さん 川畑さん すっちーさんの5名
座長にそういう強い権限があるのだ・・・と思ってみると
結構作風に違いがあるのが分かります。
例えば辻本さんの場合 階段が細工してあって、必ず階段落ちのネタやらスローモーション
ダンスなどがある スペクタクル演出で、かなり分かりやすい特徴があります

芝居の中身は、まあ大体 うどんやのご主人のところに 別れた奥さんがやってきたり
途中で必ずやくざ者が借金を取り立てに来て笑いを取ったり
と毎回似ていますが、配役を変えたり舞台設定を変えたりしながら、いろいろ工夫はされているようです

で、調べていくとびっくりしたのですが
そもそも吉本新喜劇自体が 大阪の毎日放送というテレビ局立ち上げに合わせて、
テレビ演芸として創設されたという事なのです。つまり初めからテレビコンテンツとして
開発された舞台だったのです。
同じころ ライバルの朝日放送が「てなもんや三度笠」という公開収録をやったり
していたわけでテレビ黎明期のドラマの形態だったわけですね 

ですからギャグがこまめに出てきてボケが多いというのは 映像を意識した
ものだったのですね。
昔の「生放送ドラマ」の香りを現在進行形で伝えている、貴重な舞台と言えます
そう思ってみると、偉大なるマンネリだと思っていた舞台が意外に面白く見えてきませんか?

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その後さらに分かったことがあります
吉本新喜劇はテレビ収録が前提の舞台だと書きましたが
月曜日に初日で 金曜日の回をカメラテストがてらいったん収録して
全員で見るそうです
そして土曜日の夜の公演が『テレビ収録本番』となるそうです
(昼の公演も最終カメラテストで回しているでしょう)

となると、そこが本番と考えると 月曜から金曜分で
5回は舞台をやってるわけですが、それがいわば公開リハーサル的な事なんでしょうね
だから稽古自体は初日の前にちょこっとやって、毎日終わった後駄目だしを繰り返しながら
練っていくので、演出家に力があるのではなく、実際に毎回舞台に立つ座長に
演出権があるほうがやりやすいんでしょうね。

私は舞台収録の演出も結構やる機会があります
そういうディレクター目線で見ると、順番に出てきて個別にギャグを言って
ボケと突っ込みの対話形式で進む吉本新喜劇は、実はきわめて映像に向く演出が
されていると思います
つまり寄るポイントがとても分かりやすいのです。
舞台収録が一番難しいのはミュージカルやレビューです
音の同じきっかけで同時多発的に舞台上の空間が離れた
色んなところでいろんなことが起きるので、カメラが寄れないのですが
吉本新喜劇の演出が実は 映像のディレクターの意見が入ってああなっているんだと
分かって ちょっと見方が変わってきましたね
大衆演劇ではなく、実はあれはテレビドラマだったのです。

私がこの舞台の収録ディレクターであればカメラを6台~7台使いますが、
もしかしたら4台でやってるかもしれませんね?













 





by AWAchampion | 2016-06-10 05:25 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

5月~6月に見た演劇についても書きます
ちょっと変わったラインナップです

■6月 演劇TAIYO MAGIC FILM『センチュリープラント』
 私がAD時代に大変お世話になり、このたび映画『64』のチーフプロデューサーを
されているTBSテレビの名物プロデューサー木村理津さんの旦那さん
由地慶伍さんが出演している演劇を見に行きました。
下北沢駅前劇場は満席。主演は小野真弓さんでした。
内容は色々な悩みを抱えて「ここでこうした人生の選択をしておけばよかった」という
何人かの若い男女が、最後にハッピーエンドというものでした

ちょっと要素を盛り込み過ぎで分かりにくい部分も多々あり
伏線を回収しきれていないところはありましたが、由地さんはとてもよかったです。

■6月 吉本興業『ルミネtheよしもと』
 私は関西地方の出身ですが、難波にあるなんばグランド花月ほか、吉本系の劇場に
行ったことがありませんでした。が、もちろん土曜日に延々MBSで放送されている
吉本新喜劇は子供の頃から慣れ親しんでいました。
(知らなかったんですが、そもそも吉本新喜劇はMBSというテレビ局立ち上げにあたって
メインコンテンツの一つとして、初めからテレビ向けに制作されたコメディだったんですね)

で、東京で吉本新喜劇を見る機会もなかったのですが
最近「やはりこれはちょっと変わった形態の演劇だな?」と思う事があり
(これは稿をあらためてちゃんと書きます)
気になっていたところ、その吉本新喜劇で一番の人気と観客動員を誇る 辻本座長が
珍しく東京にやってきて、コントをするというので、見に行ってみました。

a0054076_09375578.jpg
初めて入ったルミネtheよしもとは 450人ほどのキャパシティだそうですが
それにしては間口が広く 極めて横長の観客席という印象を受けました

この日の出し物は約70分の間に
天竺鼠・カラテカ・はんにゃ・フルーツポンチ・辻本&アキSPコラボ
poison girl band・ロバート・バンクブーブーが漫才やコントをするというものでした

ざっくりした印象ですが
すぐ近くにある末廣亭などの寄席に行くと 落語・漫才・紙切り・ボーイズ・手品などが
次々と出てくるのに対し 基本漫才か少人数のコントという事もあり 思ったより薄味の
印象を受けました。

他の演者さんがみな、言葉のズレや音声のズレを題材に笑いを作っていたのに対し
お目当ての辻本座長と今関西で大ブレイク中の水玉れっぷう隊アキさん、それに
『新幹線さん』でおなじみの伊賀健二さんの3人によるコントは、異質なものでした。

ベタという言葉で表されることも多いのですが、要するに言葉の上では
昔ながらの振り・ボケ・受けという構造の中で剛速球の
まっすぐな台本(新喜劇ではおなじみの構図だそうですが)を
体技や高低差などビジュアルで笑いに変えようという演出で、非常に新鮮でした。

会話や音声のズレを産み出すためには、小声で面白いことを言うというのも
その音量自体が「お笑いの現場で小声・・・」というズレを生む技法なんですが
みんながみんな小声なので、逆に大声で暴れまくる新喜劇チームが新鮮に見えました。

舞台を大きく使うスペクタクル演出を最小限の3人のコントでやるために
筋は逆にきわめてわかりやすい・・・
これはこれで「なるほどなぁ」と得るところが大きい観劇でした。




by AWAchampion | 2016-06-09 11:36 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

前回書きました映画「FAKE」の感想が
(ネタバレ有り)というタイトルもあってか、二日間でメチャメチャアクセスを
稼いでいます

わはははは、すげぇなぁ・・・

で、最近見た映画・演劇を列挙してみます

■5月某日 映画「64」前編
 私がADさん時代、一年間ほどTBSに出向になっていましたが
その時に洒落にならないレベルでお世話になったTBSの名物プロデューサー
木村理津さんが、この映画のチーフプロデューサーをされていまして
メールで「必ず見なさい」と言われたので 飛んでいきました

非常に重厚な、TBSが日曜劇場で作る経済ドラマのようなしっかりとした
ドラマでした。テレビ局が作る映画としては、(と言っても監督はその昔ピンク四天王の
一人瀬々敬久さんなので映画人ですが)とても映画っぽい、昔の山本薩男監督の
『金環食』とかを思い起こさせる良い映画でした

が・・まあ前編ですからねぇ。寸止め海峡ですよ!
今週土曜日後編公開ですが そりゃ行きますよ!(笑)

■5月某日 映画「ズートピア」
 ディズニーが作った3Dアニメシリーズ最新作は、動物たちが暮らす理想郷で
警官になったうさぎのジュディの奮闘記でした
いや、これはよくできた大人向け映画でしたよ・・・。
良く昔から動物園が人間社会の縮図だというメタファーが使われる事がありますが
これはそのまま 人間社会に当てはめてみちゃったという映画で
結果、特に人種のるつぼアメリカの今の問題点を抉り出す、とても社会的なメッセージを含んだ
物となりました。
特に差別主義者ドナルド・トランプが大統領になろうとしているアメリカでは
我々以上に刺さる映画なんじゃないでしょうか?
これは本当に素晴らしい。私は「トイ・ストーリー3」が大好きなのですが、あれも大人向け。
これも素晴らしかったです

なんか長くなりました 分割します


by AWAchampion | 2016-06-09 09:19 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

佐村河内守氏の、ゴーストライター問題を取り上げた
森達也監督のドキュメンタリー映画「FAKE」を見てきました
公開3日目で、まだ公開していない地方もあり、ネタバレ厳禁の映画なので
極力ネタバレしないように書きますが、それでもある程度の情報は
このブログを読むと漏れてしまいます
ご覧になる可能性のある方は是非立ち去ってください。

一応一枚写真を挟んでおきます
a0054076_23475481.jpg
いいですか?
ネタばれちゃいますよ?






はい、
全体的な感想ですが、私はてっきりこの映画は、「FAKE」というぐらいなので
ペテン師と言われた佐村河内氏の疑惑の数々は、実はよくよく話を聞くと
それぞれ理由があったんだ。メディアスクラムって怖いね・・・。という
話なんだと思ってワクワクしてみてました。

が、実はそうではなく、この映画は失意のどん底にある守氏と、それをささえる妻・香さんの
愛の物語でしたね。

森監督はとにかく佐村河内さんに対して「日本の誰が疑惑の目で見ても、俺は公正な目で見る」
と宣言し「信じる」という言葉をキーワードでもってきていますが
それ自体が実は相当、取材対象者と伴走した姿勢なんだな。と思いました

ドキュメンタリーとしてはむしろ沢木耕太郎「一瞬の夏」のように
完全に取材対象者と一体になって、取材対象者に新しい一歩を踏み出させるスタイルの
映画でした。

ただ、そういう映画で、正直観ていて、私の思い込みと違う映画だなぁという
座りの悪さを感じていた中で、後半出てくるアメリカ人の雑誌記者が
非常に正しい突っ込みを繰り出して、佐村河内さんがたじたじになるところが
本当にすっきりしました

Q 「どうやって自分のイメージを新垣に伝えたのか?」
Q 「伝えたイメージをもとに新垣が書いてきた音を、どうやってチェックしたのか?」
Q 「指示書には概念的なことは書いてあるけど、音楽的なことが全く書いていない。
   音階はどうやって伝えたのか?」
Q 「新垣氏が作曲している証拠は山のようにあるが、あなたは鍵盤を人前で弾くことすら
   しないじゃないか?今目の前で鍵盤で弾いてみてほしい」

その通りだ!!!!

それが1時間50分の映画の 1時間35分のところで出てくるのが
正直ストレスではありました。

まあその結果、さらに森さんの一押しでああいう風になるわけで
オチとしては良い落としどころだったと思いますが、
結局この映画は メディアスクラム被害者とその妻の愛情物語だったというわけです。
思っていたのとは違いましたが 楽しく見ました

(ちょっとネタバレが過ぎたので 一部削りました)

凄く元も子もないことを言ってしまえば
私は映画を見ながらずっと、「手話より早く反応しないかな?」とか
やっぱり佐村河内氏の設定の粗を探してしまいます。それは森さんほど
佐村河内さんを信用できてないからなんだと思います。
(もちろん森さんも『あなたを信用してます』というのは方便でしょうけど)

森さんの映画でのたくらみは、佐村河内さんにたいする不信感を取り払ってみたら
別のものが見えるよという事だったのでしょう。
いろんな小ネタで笑いながら、彼に感情移入できるようにという構造になっていて
実際小ネタは笑えました。
でもねぇ・・・ぶっちゃけ佐村河内さんの設定ってそれ自体がメチャメチャ面白いので
まだまだいじりたいわけですよ。
例えばあの指示書を誇らしげに佐村河内さんは「私の作曲の証拠」と言いますけど
あれを新垣さんじゃなくて別の作曲できる人が見たら、どんな曲になるのか?とかね?
「ここもっといじればいいのに」というウズウズした思いが
アメリカ人記者のところまであるので、私はあまり良い観客じゃなかったかもしれませんね。

あと・・・・映画の中盤で
共同テレビ・第二制作部のMプロデューサーとFプロデューサーという
私は良く知っているお二人が、非常に悪役で出て来ます
これは驚いた!
見ていて座席から落っこちるかと思うぐらい笑いました。

でもよくよく考えてみるとあれだけの知り合いが悪者で出てるという事は
あの役をわたしがやっていてもおかしくなかったという事です。
まあ・・・・他の人がご覧になるのとはちょっと違った感想だというのも
分かっていただけるのではないでしょうか?
笑った後冷や汗が流れてきましたからね(笑)


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この映画の波紋はまだまだ広がっているようで
私がこの記事を書いてから ずいぶんたちますが
いまだに このページを訪れてくださる方が多いようです

で、私の最近のお仕事から
WOWOW 「Who I AM」5分トレーラーを
貼っておきます。興味のある方はぜひご覧下さい





















by AWAchampion | 2016-06-07 00:01 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(1)