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アウトレイジ 見ました

北野武監督が久々に、得意分野に戻って来た!と評判の
「アウトレイジ」を見に行きました。

以後、例によってネタバレになりますから、
これから見る人は逃げてくださいね!!






新宿歌舞伎町の映画館に、まさにぴったりの映画でした。
とにかく映画予告編の惹句にもありましたが
「全員悪人」しか出てこない映画です。

この映画の特徴としては、
普通のヤクザ映画だと、見た後ヤクザになりたくなるものですが
この映画を見た後は絶対ヤクザになりたくないと強く思える
ストーリーになっています。

「ゴッドファーザー」「スケアクロウ」といったマフィア映画や
仁侠映画に特徴的なのは、
暴力という過剰さがあるにせよ、そこには親子関係の強い愛情や
絆が感じられる、濃い人間関係です。

過剰な欲望・過剰な愛情・過剰な憎悪 そして過剰な暴力
これがヤクザ・マフィア映画の特徴です。

しかしこの作品では全く逆で、巨大暴力団のそれぞれの
立場の人間が、互いに非常に冷たい関係を築いていて、
親子関係と言うよりも、巨大企業の上司と部下に見えます。

つまりたまたま自分の上に今いるだけで、全く尊敬もしていない
という関係性の中で、人間関係と言うよりも
巨大暴力団という装置によって、結びついているヤクザの姿が
描かれていくのです。

私はそれほど 沢山のヤクザ映画を見ているわけではありませんが
それでもこの姿は、相当革命的な描き方だと思いました。

ストーリー内部、特に人間関係は非常に緻密なプロットで
構成されていて、北野映画の中でも確実に一番
完成度の高い脚本だと思います。

ですから 映画の表面上はとてもエンターテイメントとして
楽しめました。

ただし・・・。
2点の理由からこの映画は、深みのある映画にはなり得ず、
単に2時間のエンタメになってしまっていると思います。

まず一点目
上に書いたとおり、非常に希薄な人間関係の中で
暴力が描かれているので、登場人物の行動に対して
感情移入が出来ないのです。

江戸時代からある「義理と人情」というのはベタですが
やはり、悲劇のトリガーとして理にかなっていると思います。
それを排除しているのは、スタイルとしてはアリですが、
やっぱり見ている印象が弱いですね・・・。

2点目は 既に多くの人が言っていますが
スプラッター表現ですよね。
なんだか、タランティーノにも似て
とても不快でした。まあこれは確信犯ですけど・・・。


というわけで、「ソナチネ」の神話的なテイストは
微塵も無い とても冷たい映画でした。


先に書きましたが、面白いのは面白いですよ。
要するに確信犯なんですよね。

タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」と
同じですよ。

武さんは単に面白いヤクザ映画を作ろうと思った
のでしょうから
DVDセールスは伸びると思いますよ。
by AWAchampion | 2010-06-23 23:05 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

少し前の話になりますが、宝塚歌劇団 花組公演の 「虞美人」を見に行きました。

これは かの巨匠 白井鐡造さん作の戦後すぐの大ヒット作「虞美人」を基にしつつ
現代風に木村信司さんが アレンジというか ほぼ改作した作品です。

内容は 古代中国 秦が倒れた後 エリート軍人の息子で 冷徹だがまっすぐすぎる男 項羽と
地方官僚の出で、いい加減だが なぜか魅力的な男 劉邦が、一度は認め合い
義兄弟の契りを交わしますが、 やがて最後の決戦に臨む・・・という故事に基づいています。

普通は演劇でも 今はどういう時代で、誰と誰がどう戦っている・・・。

みたいな事をある程度分かりやすく説明するのですが、
かなりいきなり ストーリーに入って行きます。

すこし人物関係が分からず戸惑いながら 見ていると、
そのうち 宝塚ですから スターと娘役スター  二番手と二番手娘役 などなど
どう転んでも この人とこの人がライバルだろう・・・という図式が浮かび上がって来ました。

さらに 誰が誰に恨みを持っていて、誰が誰を好きか・・・?
という非常にミニマムな人間関係を きちんと描いていたので、時代背景とか
地理的な雰囲気が分からなくても 1時間ぐらい過ぎた辺りから 加速度的に
物語に入ることが出来ました。

宝塚の演劇で 説明的な台詞がない・・・というのは
多分 小池さんたちの影響もあるんでしょう。 

その前の代の巨匠 柴田先生たちは やはり菊田一夫門下ですから
もう少し はじめから分かりやすい作りになっていましたが、
「とにかくキャラを作りこめば感動できるんだ!」という信念を感じましたし、
それは 3時間の長尺ドラマにおいてみると 非常に効果を発揮していました。

私はいままで 木村さんの作品は 数本しか見た事がないのですが、
今回は非常に楽しめました。

今の花組さんには 私は意外とご縁があって、2番手の壮一歩さんは、
私の実家 「のんのんバレエ教室」の出身です。

さらに数人 花組にお友達がいる関係でよく見ていますが 今回は特に良かったと思います。

ただ、今回の「虞美人」 来月の「スカーレット・ピンパネール」 その後の「エリザベート」など
宝塚は 小池修一郎 大作路線に
はっきりと舵を取ったのですね・・。

要はレビューが非常に少なくなってきました。
別に私が岡田敬二の息子だからというわけではありませんが、
レビューが宝塚の肝であることは間違いないと思うのですが・・・。

今回の「虞美人」のお尻にちょこんとくっついている ショーは
「う~~ん?どうかなぁ?」という出来でした。

やっぱり レビューはレビューとしてしっかりやったほうがいいと思うのですが・・。

岡田・草野・小原・三木・石田といった ベテランもそうですが
斎藤さんなどの若手がガツンと頑張って欲しいです。

また違いますからね レビューの作り方と ミュージカルの作り方は・・。

どう違うかは・・・「ロマンチック・レビュー」岡田敬二著 阪急コミュニケーションズ刊 を
ご一読下さい・・(笑)
by AWAchampion | 2010-06-12 10:16 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(1)

いやはや、今日は暑かったですね。
私はよりによって 今日は外回りをしなくてはいけない日で
ジャケット的なものを着ていた関係もあり、
いきなり 夏バテ。
「夏を先取り」です・・・。

皆様はいかがお過ごしでしょうか?


ところで、最近昔から見たかった珍しい映画を
2本見ました。

1)「世界残酷物語」

ご存知、モンド映画の決定版です。
1962年にイタリアの雑誌記者 ヤコペッティが世界の奇習を
面白おかしく、差別目線で撮影編集したドキュメンタリーですが
テーマソング「モア」は、今も愛される映画音楽の定番中の定番です。

それこそ「モア」なんて 何十回も聴いた事があったのですが、
実際「世界残酷物語」を目にする機会ってなかなかないですよね?

1976年にリバイバル上映をしたそうですが、さすがに家の親も
5歳のガキにこの映画を見せないでしょうからね・・。

内容は 【パプアニューギニアの女島での、男狩り】
【ニューギニアでの 5年に一度の 豚大虐殺祭り】
【ニューヨークの 犬の大規模墓地】
【台北の犬料理専門店】
【シンガポールの へび料理専門店】
【日本の 松坂牛の ビールを飲ませてマッサージする様子】
【ネパールの 牛のクビ狩り祭り】
【イタリアの キリストの受難になぞらえて血まみれになる祭り】
【アメリカの 婆さんたちの婚活 エアロビクス】
【日本の 東京温泉の トルコ風呂のようす(エロなし)】
【オーストラリアの ライフセーバー見習いの少女達の 初めての人工呼吸】
【ニューギニアの 石器人】
【イタリアの 人骨をアートにする村】


などなど
ヒドイものばかりです。

っていうか、
2割の本当に8割の大ウソという映画でした。

確かに映っている奇祭も残酷なものばかりでしたが、もっとも残酷
なのは、そういうヤラセを金儲けのためにバリバリやっている
ヤコペッティですよねぇ・・。

まあでも、今では絶対作れない部類の
「世界が本当に謎に満ちていた」頃の雰囲気が良く分かりました。

あ、そうそう あの現代アートの巨匠 イブ・クラインが
女性に青いペンキを塗って 人拓をとる様子が描かれていましたが
メチャクチャ「こいつキチガイです」みたいな編集をされていました。

実際イブ・クラインは この映画の試写を見て心臓発作を起し
死んでしまったそうですから、本当にヤコペッティは
クソみたいな悪い人間だったんでしょうねぇ・・。

でもそういう悪人にしか撮れない、奇妙ですが見るべき価値のある
映画ですよ。特にテレビマンは反面教師として。

2)「赤軍ーPFLP 世界革命宣言」

今度は、打って変わって 1971年に若松プロダクションが
製作した パレスチナに潜伏する日本赤軍の様子を撮影した
アングラ映画です。
当時、劇場公開はされず、各大学を廻って秘密上映されていた
映画ですが、それが今ではGEOで100円で借りられるんだから
日本は平和になったんですよね?

多分当時この映画を見るのは 命がけだったはずですよ。
だってバリバリ、日本赤軍のオルグ集会の様子が映っていて、
「よど号」直後で、岡本公三がテルアビブで乱射事件を起す直前の
マジで日本赤軍が世界一やばいテロ組織だった頃のプロパカンダ
映画ですからね。

映画は冒頭、ハイジャックの映像に、アラビア語のインターナショナル
が被るシーンから始まります。
そしてゴダールの映画のように 黒字に白い文字でいきなり

「革命とは武力闘争である」

と、ドカンと出て、
その後はデカン高原での、パレスチナゲリラの日常が淡々と描かれ
その映像に、延々と向こうのスターテロリストのインタビューがかぶります。

今となっては、プロレタリア革命や、世界同時革命などは
まったくリアリティを持たない言葉で、歴史の向こう側に消えてしまった概念ではありますが、つい40年前にはこういう事をまじめに
語っていたのだと思うと、感慨深いものがありました。

最後には日本赤軍最高指導者 重信房子が出てきて
インタビューを受けるんですよ!
インターポールに30年も追われていた、世界一のテロリストの
バリバリのころの映像をみるだけでも、この映画を見る価値はあります。

ただ、当時の革命家の皆さんの語り口調は、一応に暗く、
揚げ足を取られて総括されないためなのか、ワンセンテンスがだらだら
と長く、ナニを言いたいのか、21世紀のビジネスマンには伝わって
来ません。

その、物事を言い切らずに、相対化しながら喋る事、それ自体が
非常に「左翼」的ではあるんですけどね。
それじゃ伝わらないよ。と言う感じがしました。

この映画のヤバさは、この監督の足立正夫がその後日本赤軍の
一員とみなされ、イスラエル軍に20年も拘束されていたという
事実からも見て取れます。

返す返すも、日本は平和になったんですネェ・・・。
自宅のソファーで、ポテチ食べながら、この映画が娯楽として
消費されるわけですから・・・。
by AWAchampion | 2010-05-22 02:09 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

「NINE」見ました

今日、映画NINEを見ました。
例によってバリバリネタバレしますよ!

基本的にゴージャスで質も高く、才能がある人たちが集まって作った、
大人のエンターテイメントで、好みとしては「アバター」よりも断然スキです。
一言でいえば、本当によく出来ています。
ロブ・マーシャルはさすが、良い腕をしていると思いました。

が!

この映画は、フェリー二のスーパー名作「8_1/2」にインスパイアーされたミュージカル「NINE」が、
ベースとなっています。


私は岡田敬二の息子のくせに、
トミーチューンの出世作である、「NINE」を舞台で見ていないのですが、
もちろんフェリー二の映画は見てます。

たぶんそういう人が一番この映画に戸惑うのでは?と思いました。

察するにストレートプレイシーンからミュージカルに変わる雰囲気は
舞台の構成を強く引きずっているのでしょう。
そこは、とても練られていて、ミュージカルの高揚感を感じました。

ただ、編集が悪い意味で達者過ぎて、ライトチェンジ一つでファンタジーへ飛び込む、
ミュージカルのけれん味が削がれていたのも感じましたね。

問題はストレートプレイシーンにあります。
ここは正直フェリー二には勝てないですよ。
そもそも分かりやすくするために相当図式化した人物関係にしてありますから。
だったらバリバリ引用しちゃえばいいのに、あまりないなぁ、もったいないなぁと思いました。

逆に俳優・女優陣は頑張ってます。
歌も踊りも相当訓練されていて、007のM役の女優さんジュディ・デンチが特に良かったです。
あと、ペネロペ・クルスは凄いですね。
すげぇ色っぽいです。

ダニエル・デイ・ルイスはイタリア人には見えませんが、
ああいう女にだらしないロクデナシをやらせたらうまいですね。

でも、本妻とのシーンは、ばっさり要らないですよね?

というのは、絶対この映画を見た人は
「ALL THAT JAZZ」を思い浮かべると思うのです。
あれはボブ・フォッシーの自伝で、べつに「8 1/2」の
引用ではありませんが、創作に悩む監督とそれをとりまく
女性たちのミュージカル・・・というとねぇ・・。

もともとの「8 1/2」もそうですが、セックス&ドラッグ上等!
みたいな映画のほうが、この手の映画はいいような気がしますね・・。
by AWAchampion | 2010-05-02 00:07 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日、朝9時に銀座で、歌舞伎座最後の雄姿を撮影した後
10時半から晴れて休みに突入しました。

そこでふと東劇を見ると、なんと
「幸福の黄色いハンカチ」のリバイバル上映がやっているでは
ありませんか!

もちろん日本映画の名作ですし、見たことはあります。
でもその昔、子供のころにテレビで見ていたので
劇場で見たことはありませんでした。


~~~~~~~~~~~~
そういえば・・・。
この映画をテレビでやると
一緒に見ていた父が必ず、
「な!これいい映画だろ?」
「あのな、このあと武田鉄也がこけるぞ!ほら!コケタ!面白いだろ?」
と、興奮してか、ことごとく展開を先回りして解説するので
非常にうっとうしく、良い想い出がなかった事を、
今思い出しました・・。
~~~~~~~~~~~~~

良い機会ですし、ぜひシネスコで見たいと
11時からの回を見ました。

この映画を大スクリーンで見ると、意外と
ストーリーはあっさりとしていて、撮影&編集はざっくりして
いることに気がつきます。
いわゆる映像の錬度に関しては、結構荒い感じがしました。

それでもこの映画がすばらしい光を放っているわけは、
やはり役者のすばらしさにありますよね。
とにかくキャスティングがすばらしい


いやぁ、武田鉄也。さすが出世作で
田舎臭いです。
何をやっても「気をつけろ!この百姓!」って叫ぶ辺りも
田舎臭くてすばらしい。
でも変なハイテンション芝居ではなく、本当に田舎臭い
感じでリアルです。

それに輪をかけて桃井かおりのイモ臭さもすばらしい!
もともとロンドンでバレエ留学したお嬢様で
「青春の蹉跌」で鮮烈なヌードを披露したりした
直後で、本当は最高にイケてるはずの時期に、
まぁ~~~田舎臭い!

もともと山田洋次監督自身の作風が
田舎臭くて垢抜けない、松竹大船調ともちと違うものなのですが、
そのひとが「田舎臭く」演出したわけですから
それはそれは イモ臭くてすばらしいです。

そのカップルと対比する高倉健&倍賞千恵子夫妻は
凛としていて、それでいて不器用で
さすがです。

キャラクターを掘り出せば、荒くてもすばらしい映画になる!
という見本のような映画でした。

しかし散々荒いなどといいましたが
逆に黄色いハンカチが吊ってあったあたりからの演出は抑制が
効いていて、実は前半のロードムービー部分の荒さが
わざとであったことが良く分かります。

健さんと倍賞千恵子の再会を、ドンビキで
音声なしで見せるんだから素晴らしい。

ポランスキーも言っていますが、
「映画では一番見せたいものは
隠すものだ・・・。そうすると観客はそれをどうにかして見ようとして
自分達から映画の中に入ってくる」

まさに山田監督の術中にはまりましたね。
今の映画だと・・・特にテレビ局でディレクターを経験した
私のような演出家だと、そこを360度円形レールとか使って
超盛り上げようとしますが、それは実は逆なんですよねぇ。
by AWAchampion | 2010-04-29 19:10 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

「第9地区」 見ました

話題になっている映画
「第9地区」を見ました。


例によってネタバレするので、
これから見ようとしている人はにげてぇ・・・!














「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソンがプロデュースして、南アフリカ出身のカナダ在住CM監督の若き俊英が監督した
この作品は、非常に独創的なアイデアから始まります。

【巨大な円盤がヨハネスブルグの上空に現れ、
中で栄養失調になっていた数百万のエイリアンが、人道的措置で
地上に住むことを許され、第9地区として難民キャンプが作られた。

それから20年後、その地区はスラム化して、
MNUという国際警備会社が、数百万のエイリアンたちをヨハネスブルグ郊外200キロにある、第10地区へ移住させようとするのだが・・・。】

という世界観それ自体が、本当に今までないタイプのSFでありながら、南アフリカの実情と絶妙にリンクしていて、着想がまず
すばらしいと思います。

映画はそれをすっぽりとフェイクドキュメンタリーでくるむことで
非日常を淡々と描き、逆に非常にリアルな世界として描写する事に
成功しています。

とくに第9地区とそれを囲むゲットーの雰囲気は
まさに今 ヨハネスブルグにある黒人ゲットーと同じ雰囲気で
ディティールまで非常にリアルです。

そこからストーリーは先が読めないまま
ドンドンと進んで行き、2時間フルスロットルのまま突き進みます。




ここからが感想ですが、
このスタート地点の映画のイメージから言うと、人種差別問題の
寓話的な話かな?と想像しますよね。

でも実際には非常にアクションSF娯楽大作でした。
最後には、モビルスーツと戦車の戦いみたいにまで発展します。

後から振り返って考えてみると、
「エイリアンに変身してしまう病に感染した主人公を
いきなり麻酔なしで、解剖したりしようとするかしら?」とか
「オチはそれ?残されたエイリアンたちは?」とか
「なぜナイジェリア人たちは、エイリアン側に立ったのか?」とか
いくつかのストーリー上の破綻はありますが、
それを吹っ飛ばすほどの迫力のある、メインストーリーの展開と
ジェットコースターSF描写で、
久々にドキドキしましたし、非常に楽しめました。

が、

人間がヒドイという描写を積み重ねているのですが、
なんかエイリアン側の描写はそれほど丁寧ではないので
人種差別寓話にまでいける題材なのに、
アクション娯楽作っぽくなっているのは、ちょっと
もったいないかな?という個人的な好みはありました。

エイリアンに愛が持てないんですよネェ・・。

まあ彼らが異形の者で気持ち悪いから、
話が成立しているところもあるので
なんとも言いがたいですが・・。

特にクリストファーの息子は地球生まれなわけで、
地球が母なる惑星なんだけど、ここで差別される哀しみとか
でも離れたくない・・・的なスパイスがあれば
もう一枚乗ったのに・・・と
惜しい気はしますねぇ・・。


でも、面白かったです。
最近見た映画ではダントツでした。

低予算映画かと思っていましたが、なんのなんの
スゲェ金かかってますね。
by AWAchampion | 2010-04-25 00:07 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

いま公開中の『時をかける少女』を見ました!

普通に良い映画でしたよ。

ただ大林版やアニメ細田版は「とんでもなく心に残る映画」です。
その域ではなかったですね。

でも主演の仲里依沙と中尾明慶はかなりの好演です。

知世ちゃんは無理でも、尾美としのりは出してほしかったなあ。
あと芳山和子はショートへアであってほしかったなあ。
大林版はプロとなった今では色々とアラも見えますが、16才のボクは心を鷲掴みにされました。
今でもとんでもなく切なくて美しい名作だと思います。

尾道三部作の良さって理屈じゃないんですよねぇ。
大林さんは恐ろしい人です。

そうそう、「時かけ」は1994年のテレビ版
内田有紀と河相我聞版も捨てがたいんですよね。
毎回毎回名作を生みだす、鉄板ネタともいえますね。

しかしどのバージョンでも、基本形は 芳山和子なり、アニメ版では
和子の姪が、知らないうちにタイムリープの能力を偶然身に着けて
過去へ飛んでいく・・・と言う話になっています。

しかし今回は原作の深町一夫&芳山和子の物語がベースになりつつ、
芳山和子の娘 あかりが、母和子の伝言を届けに過去に
自発的にやってくる という今までとは大きな違いがあります。

そのため、正直 現在の和子がどの程度深町君の事を覚えているのか?
とか、彼女が開発したタイムリープのクスリはその後どうなったのか?
とか、そもそもタイムリープの薬を秘密に開発しているという事は
すご~~く、深町君の事を鮮明に日常生活で覚えているのでは?
とか色々突っ込めば突っ込めます。

しかしまあ、そういう事は別にいいんです。
「時かけ」で大切な 初恋の痛みの物語は今回もきちんと
継承されているからです。

あかりが飛ぶのは1974年 そこで仲間になり、やがて恋に落ちる
相手が8ミリ映画を作っている学生というところが、そもそも
大林的なるもので、僕などは嬉しくなっちゃいます。

彼が溜まっている大学の映画研究会の部屋なんて、
「あれ?谷口監督て、先輩なのかしら?」と思うぐらい
わが早稲田大学映画研究会の 旧第一学生会館の部室のそっくりでしたし、ZC1000やらZ800といった8ミリの名機が出てくるのも
グッと来まくりでした。

そしてなにより、回想シーンの中で和子が土曜日の放課後、あの
理科準備室でラベンダーの匂いをかいでしまうところは
大林版の完コピです。
すげぇ!と思わず劇場で叫んでしまったぐらい、ワクワクしました。


まあ、ただ、偶然飛ばされたわけではなく、しかも1974年の
風俗にどっぷり染まるわけで、なんか貧乏臭いのと、あまり
話に広がりが出ないという欠点は確かにあります。

が、主演の仲里依沙はとてもいいです。
彼女がガンガン動くことで本当に画面が生き生きします。
やはり「時かけ」は女優を輝かせる映画なんだナァと
しみじみ思いました。


色々と『名作』に手が届きそうで届かない、惜しい作品だとは
思いますが、いい映画であることは間違いないです。


しかし!

一つだけ8ミリ映画監督から苦言を言わせてください。
劇中でゴテツが使っている シングル8の名機  ZC1000は
1975年 2月に発売されています。

つまりこの作品の1974年2月には まだ発売されていないのです!
ここは『転校生』でも使われた Z800を使うべきでしたね。ざんねん!
by AWAchampion | 2010-03-26 19:30 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日、1971年(私が生まれた年)の名作
「八月の濡れた砂」(藤田敏八監督)のDVDを見てました。

内容自体は、高校を中退して若さをもてあまし、
暑い夏を湘南の海で過ごす不良少年達と、別荘地の美人姉妹との
不思議で、暴力的な関係を描いた、非常にいい映画です。

低予算なのですが、藤田監督のセンスがビンビンに尖っていて
今見てもカッコイイ映画でした。


で、この日記の本題ですが・・・。

映画の本編を見終わった後、何気なく特典の
人物紹介やら 公開データーを見ていたら、こんなことが書いて
ありました。


■クランクイン  1971年7月14日
■クランクアップ 1971年8月20日

■初号試写    1971年8月23日
■封切公開    1971年8月25日

・・・・・・ん?

お気づきでしょうか?

クランクアップから3日後に すでに映画が完成していて
量産プリント体制に入り、5日後には全国で公開している
んですよ!

これ映画ですからね。

何時編集して、いつ音入れたんですか!

連続もののテレビドラマだって、撮影終了から1~2週間は
後処理にかかりますし、そもそもビデオ収録とフィルム収録では
編集の大変さが10倍ぐらい違います。
だって、クランクアップした日のフィルムを即日
現像したって、1日ぐらいかかるはずですからね・・・。

え?


ホントかな?


そんなことが可能なんでしょうか?
当時 日本映画は斜陽とはいえプログラムピクチャー制度で
毎週2本 封切されていたのですが、に・・・しても
撮って出しすぎませんか?


私、映画研究会出身ですが、意外とそういう当時の製作現場
状況には疎いです。もしご存知の諸先輩方がいらしたら
当時の映画のポストプロダクションの様子など
教えていただきたいです、
by AWAchampion | 2010-03-12 01:09 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

ヘンテコ映画3本立て

今日はお休みだったので、ヘンテコ映画ばかり見てました。

●「不良番長 口から出まかせ」(1971年 東映)

梅宮辰夫と山城慎吾のご存知バカ映画シリーズです。
不良番長梅宮が、不良仲間と海を漂流していると
女ばかりの漁村に流れ着き、いきなりなぜか清川虹子率いる
女村長に、強引に乱交祭りに誘われるという
オープニングからして、もうバカです。

昔の東映東京・大泉学園の撮影所はこんなエログロナンセンス映画
ばかり撮っていたんですよねぇ・・・。

だって途中で、宿がなくなって動物園で寝ていたら
メスゴリラに襲われたので、梅宮辰夫がパンツを脱いで
男性のしんぼるを見せ付けたら、メスゴリラがメロメロになるって
シーンがあるんですよ。
今ではあり得ないでしょ?

いやぁ、東映の3本立ての脳みそ空っぽ映画って、
変な味がありますネェ・・・。

●「でんきくらげ」(1971 大映)

名監督にして、大映テレビの基礎を築いた増村保造監督の、
キャリア後年 不遇の時代の代表作です。
市川雷蔵や勝新太郎で大もうけした大映も、71年の倒産前後は
エロス映画に乗り出していました。

この作品は「いそぎんちゃく」「でんきくらべ」「しびれくらげ」
といった軟体動物シリーズと呼ばれる作品群の一つです。

私は昔 大井町の大井武蔵野館で4本立てぐらいで見たので
あまり覚えていなくて、もう一度見直してみました。

すると、単なるエロ映画かと思っていたのですが、意外な
拾い物のいい映画でした。

渥美マリ演ずるサトミは、場末のバーのホステスの母と、その
情夫と3人暮らし。洋裁の学校に通う貞淑な19歳でしたが、
ある日、母の情夫に手込めにされます。逆上した母は、情夫を刺し
刑務所へ・・・。
サトミは生きていくために、母がいたバーで働くこととなります。

その後サトミは、その魔性の肉体と度胸で銀座のホステスへとのし上がり政財界の大物を転がす「でんきくらげ」となるのです・・・。

でも彼女の心は、彼女をいつも守ってくれる川津祐介演ずる
バーのマネージャーのもの。でも商品である自分に惚れてくれない
葛藤で、彼女はいつしか恐ろしい計画を思いつきます・・・。

というような、まさに大映テレビのパターンの映画なのですが
そこはさすが増村保造。きちんと登場人物のキャラクターを描いて
いるので、今の日本映画のなかに入れたら、確実にキネ旬10位には
入るであろう出来でした。
こういう映画が、いわばエロ映画として消費されていたんだから
日本映画は活気があったわけですよ・・・。


●「俺たちフィギュアスケーター」(2004年 ドリームワークス)

真央ちゃんの活躍などがあったので、気がついたら借りていました。
この映画はご存知の通り、もともと男子シングル フィギュアの
スター同士が、試合会場で乱闘騒ぎを起した事から、スケート界を
追放され、
仕方なく法の網目を潜り抜けて、男性同士のペアーを組んで
再び金メダルを狙うという、ストーリーです。

この話はロッキーや、レスラーのような負け犬映画フレーバーの
バカ映画だったので、非常に感情移入しやすく、
爽快なバカ映画として、レベルの高いものでした。

やはりハリウッドは、この手のバカ映画でもきちんとストーリー
アナリストがついて、しっかり脚本を練っているので
普通に楽しめる映画になっていました。




やはり、脚本をしっかり練らないと
いい映画にはなりませんし、逆に言うと 登場人物のキャラクターや
動機付けがしっかりしていると、バカ映画やエロ映画でも
非常に見ている人の心を掴むことができるんだナァ・・・。と
再確認しました。
by AWAchampion | 2010-02-28 23:54 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日、日テレで「崖の上のポニョ」を見ました。

私は封切り当時にMIXIに、ポニョについて思うところを書きましたが、
今回こちらに転載します。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>以下2008年 8月6日付日記の転載

今日、渋谷で午前中に打ち合わせを済ませた後、11時50分からの回の
「崖の上のポニョ」を見ました。


以下ネタばれします。見てない方は、今のうちに逃げてぇぇぇぇ!




見た率直な感想を言えば、
「素敵な初恋のストーリーだが、確かに大人向けかも?」という
事でした。

ストーリーは ジュール・ヴェルヌの小説「海底2万リーグ」で、
潜水艦ノーチラス号に乗っていた、少年フジモトが、海の聖なる母性
グランマンマーレに恋に落ち、人間であることをやめ、海の代弁者となって大人になった時代の話・・。
彼が海底でくらげの養殖を始めているところから始まります。

フジモトとグランマンマーレの子供たちは、魚のポニョと妹達。
そのうちポニョは外の世界が見たいと家出します。

家出した先でポニョは5歳の少年宗介に出会い、恋に落ちます。

一度は戻されますが、「宗介にあいたい」一心で彼女は人間に
姿を変え、また陸を目指します・・。


といった話です。

もちろんベースにはアンデルセンの「人魚姫」があったりして、
大人にとっては、知識があればあるほど、楽しめますし、
フジモトの目的が「地球と海ををもう一度デボン紀のような、命あふれる時代に戻したい。そのためには人間が邪魔である。」と思っていたり
する心も、大人であればこそ分かるのです。

今までの宮崎映画を見ている人にとっては、彼のテーマである
「自然との共生」のベクトル上の話なんだということが、大人であれば
ニヤリとしてしまうほど分かりやすく展開します。


で、ポニョはもう理屈なしに好きになった男めがけて、一目散に
会いに行くわけです。
山口智子が「ポニョに女の本性を見た」と言っているのが非常に
的を得ていて、理屈抜きで宗介を追っていく様子は、ちょっと
近松の登場人物を思わせて、大人から見ればかなり性的にも思えます。

この映画は、画面上に無数にちりばめられた引用や
隠喩を紐解く知識を持った上で、
「どうしても逢わねばならぬ人がいる」という
本能的な体の疼きが分かる、高校生以上の人には、非常に響く素晴らしい作品だと思います。

が!


劇場を埋めた半数の 5~9歳の子供達は、
見た後みんなでっかい「?」マークを
頭から噴出していました。

その理由は非常に明確に2つあります。

一つは、ポニョはすでに魚の時点で「ポニョ、宗介好き!」としゃべれているので、
子供からしたら、別に人間だろうがしゃべる魚だろうが、
あまり変らないのです。
子供はアニミズムの世界で生きています。だから人間の姿を持つ
事の重要性をあまり感じないばかりか、「魚としゃべれて素敵」と
逆のことを思ってこの映画を見ている事もあると思います。

なので、「最後にキスをすれば、人間になれる」というフックが
あまり効いていないのです。
ポニョが人間になることは、子供達にとって
必ずしも完全なハッピーエンドとは言えない場合もあるのです。
これは、「魚のときはしゃべれない」としておけば随分違ったと思います。

二つ目は、「ポニョを人間にするための古い魔法」とは、男の子の
変らぬ愛情のことだと思います。
本当は、「異形のものであるポニョを、それでも君は愛せるのか?」
「モチロン、愛は永久に・・。」というやり取りがあって、
おもむろに王子のキスをささげるという流れなのでしょう。

が!ラストはアクシデントでポニョからキスしてしまうので、
子供達からすると、「宗介は結局なんにもしないで、話聞いただけジャン」と思ってしまうと思います。
さらに、その話も「ポニョが魚だったことは知ってますか?」という
話に「うん」というというものでした。
これは観客の誰もが、既に知っていることなので、特に子供はハードルに感じないでしょう。

だから「失敗すると泡になってしまう」というフックが全く効かないままいきなり終わってしまった感じがありました。

大人の目から見ると、「ポニョの初恋の純粋さ」に胸を打たれるラストですが、子供の目から見ると、ひねりすぎた気がしました。

宮崎さんが「子供の反応が薄い」とおっしゃっていたそうですが、
私が見る限り、理由はかなりはっきりしていたように思います。

これは高校生がみたら、胸を焦がして何度も見返してしまう作品だと
思います。今の子供がDVDで何度も見て、何年か後のある日不意に本当のメッセージに気がつく類の映画でしょうね・・。

それとは別に・・・。

車で走っているときに、よそ見してソフトクリームをなめたり、
助手席の子供がシートベルトをしなかったり、
退避勧告を無視したりするシーンは全て、テレビでは考査の対象になり、普通は放送できません。
テレビドラマで同じ事をすれば、全て台本段階でカットを要請される
かなりNG度の高い事柄ばかりです。

日テレはこの映画を放送できるのでしょうか?
ちょっと心配になりました。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>引用ここまで

1年半たって、
2度見ると、この映画にふんだんにまぶされている、引用や暗喩に
気がつくことも多いです。

しかし、それでも私自身100%分かったとは言いがたいです。
やはり ポニョの父 フジモトは、ヴェルヌの小説を読んでいない私にとって、
映画全体を通して、統一した立場で様々な行いをしているように見えないです。

また この映画がヴェルヌの小説を下敷きにしているという、説明はやはり
映画の中に、私は見つけられませんでした(上記の文章は、パンフレットを読んだあとに書いています)

まあ私が無学といえば、それまでなのですが、5歳の子供はもっと知らないと思うのです。
う~む。やはり この映画を100%楽しむためには 監督本人の注釈がたくさん必要な気がします。

それから日テレは 私の心配をよそに バリバリノーカットに近い形で放送しましたね。
by AWAchampion | 2010-02-05 23:22 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)