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前述 3本までは 「スゴ~イデスネ視察団」津田さんと話している中で
見ようと思っていたのですが
その勢いで 他の映画もバリバリ見ました

で、まずは キムタク氏主演で一時期メディアジャックしていた
三池監督の「無限の住人」です

元々漫画原作で
決して死なない身体を手に入れた 万次が 凜という少女の仇討ちを
手助けするため
悪の美剣士率いる 一刀流と対決する というモノです

いやぁ・・・ ぶっちゃけ 予告編とか
メディアに出てくる断片を見たときは 事故映画の匂いしましたよね?
事故映画マニアでもある私
そりゃ見に行きますよ!

で、見てきました

まあ確かに 漫画原作なので 剣士達が「北斗の拳」の雑魚みたいな
モヒカンだったりして へんてこではあるんですけど
それ以外の部分は極力ちゃんとした時代劇にしたいという三池監督の意図が
良く伝わり、思った以上にちゃんとした時代劇でした

この手の映画と言えば昔では 林海象監督の怪作「Zepang」などが
思い浮かびますが ああいう日本ですらないという世界観ではなく
一応ちゃんと江戸時代として極力描く姿勢には好感を得ました

それにキムタク氏は 碧眼で粗野なダークヒーローにとてもしっかり向き合って
万次として とてもしっかりと役に入り込んでいました
それから 凜役の杉咲花ちゃんも 好演だったと思います

それに三池監督は「13人の刺客」でこの手の大勢のチャンバラ
ペキンパー的な時代劇には慣れています
飽きずに見る事が出来ましたし 良い作品だと思いました


という事を前提にしますが・・・・

そもそも論として キムタク氏がこの万次役でいいのか?という問題があります
彼はかなり癖の強い役者です
ハンサムでクール、無愛想だけど笑顔が可愛い
このしばりは今回の万次役でもぬぐえませんでした

それならそれで、時代劇でもそういう役をやれば良いのに?と強く思います
眠狂四郎があるじゃないですか?
それに雪之丞変化があるじゃないですか?

ああいう ハンサムスターが出てくる時代劇にキムタク氏をちゃんとキャストして
ちゃんと 木村拓哉の代表作を作るべきです
雷蔵とか長谷川一夫バリの ハンサム時代劇作りましょうよ

というのは 木村拓哉という人は映画に恵まれていない気がします
「武士の一分」は良かったですが「ヤマト」はとてもダメでした
ウォン・カーウァイの「2046」もハマっていたとは言いがたいです
まあ「HERO」が今のところの代表作なんでしょうが
45歳を迎えて ちゃんとハンサムを背負える 田村正和の後継者なんですから
ちゃんと ハンサムとして処遇した方が良いと思います


by AWAchampion | 2017-06-17 01:54 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画 その3はSF映画『メッセージ』です
この作品も 前述の津田さんから「ドゥニ・ヴィルヌーブ監督作品は全部傑作ですよ!」
とおすすめされていたこともアリ 見に行ってみました

これも 公開がまもなく終わるのでネタバレします
この作品は ネタバレしてしまうと面白くありません
もしこれから見ようとしている人は 逃げて下さいね!










はい、
では行きます

アメリカの大学で 教鞭を執る言語学者ルイーズ 彼女は元々夫と娘がいたが
夫とは離婚 娘とは死別して 今は一人
今日も教壇に上がり 淡々と授業を進めようとした矢先・・・
生徒達の携帯電話に緊急速報が入る

世界12都市に謎の宇宙からの飛来物が到来したというのだ

その目的は一体何なのか?
攻撃すべきか?どうするべきか? 世界が困惑してるという

その夜 ルイーズが寝ていると 家が爆音に包まれる
軍のヘリコプターで、下りてきた大佐が
「高名な言語学者である貴方に宇宙語を解読して欲しい」と持ちかける

しかし録音されたノイズを聞いても 分からないので
ルイーズは 軍に従い 謎の物体の中にいるという 宇宙生命体と
コンタクトをとり 意思の疎通を図るというミッションを任される
相棒は 数学者のイアン
彼と時に反発し 時に強調しながら
未知なる生命体と コンタクトをはかるのだが・・・





いやぁ 素晴しかった 傑作じゃないですか!
これは本当に ガツンと来ました
SF映画が 我々を哲学的な所まで持って行ってくれるという意味では
まさに「2001年宇宙の旅」ですよね
あれは 「文明とは?」という作品でしたが 今回は「文字とは?」
「時間とは?」「コミュニケーションとは?」という所を突き詰めた
作品でした

そしてヴィルヌーブ監督は 明らかに「天国の日々」「BADLANDS」「ツリーオブライフ」
でお馴染みの 観念派の巨匠 テレンス・マリック監督の影響を受けていますね
テレンス・マリックといえば 今では普通に使われる「マジックアワー」の
生みの親で「天国の日々」で巨匠撮影監督 ネストール・アルメンドロスと共に
誰も見たことがない 美しい風景を描き出した監督です

マジックアワーとは 本来 日没後 まだ空はある程度明るくて 空全体が間接照明に
なっている状態で 強い光源がないので 景色と人物の顔が 影無しで写し取ることができる
という状態です

ヴィルヌーブ監督は 宇宙人との空間には強いコントラストとモノトーンの世界で
見るモノにストレスを与え
その対比として 周りの地球の風景を、彼女の記憶の中の心象風景も含めて
マジックアワーで柔らかく切り取っています

また 思索にふける人の切り取り方なども 「ツリー・オブ・ライフ」などに似ている
感じがしました

結果として 宇宙人との遭遇という大きくて派手な作品でアリながら
極めて個人的な体験に落とし込んで 哲学的なおもいまで至る、とても素晴しい作品でした

しかも タイムパラドックスがかかっていて
ミステリーの要素もあるんですよね
これも素晴しい

いや マジで今年見た中では ダントツで1位ですよ
素晴しい映画でした



by AWAchampion | 2017-06-17 01:23 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

最近見た映画 その2ですが ウッディ・アレン監督の新作「カフェ・ソサエティ」を見ました
これは 前述の 津田さんもそうですが
制作会社ノンプロダクションの 黒木Pも「私もとても見たいわ」とおっしゃっていた
作品です

で、この作品の何がワクワクさせるって
ウッディ・アレンの映画に あのヴィトリーロ・ストラーロが撮影監督として
はじめてついた作品なんですよ!

ヴィトリーロ・ストラーロとは 1960年代終わりから活躍する
イタリアの撮影監督の巨匠中の巨匠で 
世界中の映画学校の生徒にとってのバイブル
「マスター・オブ・ライト」(撮影監督日記)にも 
ネストール・アルメンドロス、ゴードン・ウィルスとならんで
世界3大巨匠と紹介されているほどです

彼はベルナルト・ベルトリッチとのコンビが有名で
何と言っても代表作は「暗殺の森」
他には「ラストタンゴ・イン・パリ」「ラストエンペラー」などがあり
どちらかというと明度や色調のコントラストがくっきり出た
色の魔術師のイメージがあります

ウッディ・アレンは 代表作「アニー・ホール」「マンハッタン」で
あのアメリカ派の撮影監督の神様 ゴードン・ウィルス(代表作は「ゴッドファーザー」)と
組んでいます

「マンハッタン」はモノクロ映画ですが ニューヨークがとんでもなく美しく撮影されています
特にMOMAのシーンは今思い出してもため息が出ます

そのウッディ・アレンが ストラーロと初めて組むんです
そりゃ見るでしょ???
ストラーロが撮るニューヨーク見たくないですか?

舞台は 1930年代のハリウッド
最もアメリカ映画が華やかな時代 ジンジャー・ロジャースなどを扱う巨大なタレントエージェントの
フィルの元へ ニューヨークから甥のボビーが仕事を求めて訪ねて来ます

何もないけれど誠実さだけが取り柄のボビー
そんな甥を見て フィルは自分の鞄持ちをせよと命じます
そして、ラスベガスを何も知らないボビーのために 自分の秘書 ヴォニーに町を案内させます
美人で気取らないヴォニーに ボビーはすぐに恋に落ちます
しかしヴォニーにはカレシがいました
それが・・・だったのです

傷心のボビーはフィルの元を離れ
ニューヨークに帰り ギャングになっていた兄に誘われ グランドキャバレーの雇われ店長になります
そのキャバレーはやがて 東海岸一の店となり
その店に あのヴォニーがやってくるのです・・・



素晴しい!
素晴しい作品でした
ウッディ・アレンは私 大好きで 
今まで「アニー・ホール」「マンハッタン」「スターダストメモリー」
「サマーナイト」「カメレオンマン」「カイロの紫のバラ」
「ハンナとその姉妹」「ラジオ・デイズ」
「ウッディ・アレンの重罪と軽罪」「ウッディアレンの影と霧」「
「夫たち、妻たち」「ブロードウェイと銃弾」
「魅惑のアフロディーテ」「世界中がアイ・ラブ・ユー」
「ギター弾きの恋」「ミッドナイト・イン・パリ」を
見ていて、特に「アニー・ホール」は アメリカ映画の中で5本の指に入るほど好きです

しかしストラーロがこれらの作品とはまた全然違った 濃厚な味わいを
ウッディ・アレンに与えました
フィルのパーティの雰囲気や
フィルのオフィスの色合いは本当に 彼が30代の頃に撮った
「暗殺の森」のような 濡れた色合いと鋭利なコントラストを未だに保っています

そして この映画の最もスゴイ場面は
LAで二股をかけられていたことを知った ボビーの絶望の顔に
NYの夜景がオーバーラップするカットにあります
たったワンカットで 陽光きらめくLAから 寒く陰鬱だが
人工的な美しさがあるNYの対比が ドバ~~~ッと表現されていて
思わず劇場で「おおっ!」と声を上げてしまいました
今の時代 オーバーラップ一つで金を取れる撮影監督は そうはいません

そして ストラーロを得て ウッディ・アレンの脚本もさえていました
彼が最も大好きな1930年代のハリウッドが舞台で、
(それこそ マルクス兄弟も活躍していた時ですね)

恋に破れても 人生は続く
そしてその恋が破れたことも 後から思えば悪くはない・・・
だけど 一瞬 焼けぼっくいに火がつく瞬間が訪れる

・・・・あれ?
「LA LA LAND」にも似た主題ではないですか?

それがとても大人の目から描かれていて、
話もストラーロの画に負けない深さを持っていました
超おすすめです








by AWAchampion | 2017-06-17 01:00 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

3ヶ月間かかった 『スゴ~イデスネ視察団』の編集中に
総合演出の 津田さんから 色々と「最近見て面白かった映画」について色々と聞く機会がありました
普段はあまりそういう話はしなかったのですが、お付き合いも長くなったせいか
仕事以外の話もするようになりました

で、私は古い映画の方が遙かに見ていて、好みもそっちなのですが
最近の映画のおすすめをたくさん聞いたので 彼のおすすめに従って見てみることにしました

で、まず見たのが「マンチェスター・バイ・ザ・シー」です

これはニューヨーク大学出身の映画監督 ケネス・ロナーガンが台本を書き 演出した
作品で、もともとはマット・デイモンの初監督作品になるはずだった台本なんだそうです

もう殆ど封切り上映は終わりますのでネタバレも含みます

このマンチェスターは イギリス第二の都市の方ではなく
アメリカ・マサチューセッツ州にある ボストンの北 
100キロ程度の所にある小さな都市
マンチェスター・バイ・ザ・シーの事です

この土地で育ったリーは 兄と兄の子供と濃厚な思い出がありましたが
いまはボストンで一人暮らし。公団住宅住み込みの便利屋として生計を立てています

ある日 兄が急死したという報をうけ マンチェスターに帰ります
そこで数年ぶりに 甥のパトリックと会います
パトリックは16歳の高校一年生 二人の彼女とバンドとアイスホッケーに明け暮れて
青春を謳歌していますが、親を亡くし後見人が必要となります

そこでリーは兄の遺言で 自分が後見人にされていることを知ります

そこで数年ぶりにマンチェスターで住み始める リー

しかしリーには 妻と娘を失った ある事件の記憶があり
それがフラッシュバックしていきます

大人になりつつあるパトリックとの葛藤、リーの土地への思いが重なって
物語は ある結末へと走り出していくのです・・・


いやはや 良い映画でした
やはり この監督さんが ニューヨーク大学で映画を学んだという感じが随所に出ていましたが
特に 音の使い方に濃厚に出ていました

映画に付けられる音というのはマイクで撮るわけですが、吐息だけを強調させたり
遠くの車の音だけを乗せたりする事が出来ます
その 耳に聞こえるノイズを心象風景とうまく合わせて 画面上は淡々と進む物語が
とても上品なレベルで動かされているのが分かります

この映画を見て 
もちろんニューヨーク派の巨匠 ジョン・カサベテスもそうですし
そもそも マット・デイモンが脚本を書いた「グッド・ウィルハンティング」なども
思い出しましたが
私は この画面の端正さと物語の淡々さから
日本の 市川準監督を思い出しました
彼の「BUSU」とか「TSUGUMI」を見たときの感覚
つまり、ある関係性の中で巻き起る 小さくて見えないほどの感情の揺れを
音とフレーミングで表現する感じが そう思い起こさせたのかも知れません

ちなみの「スゴ~イデスネ視察団」総合演出の津田さんは
「倉本聰の脚本で小津安二郎が撮ったみたい」と言っていて まあそれも
言い得て妙だなと思いました

小津さんも端正なローアングルばかりが注目されますが
実は研究が進んでいるように 向かい合う二人の真ん中にカメラを乗せることで
1対1の関係性の中で わずかにゆれる感情の揺れをとらえようとした監督ですからね









by AWAchampion | 2017-06-17 00:26 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

ロジャー・ムーア死す

今日、あのロジャー・ムーアさんが亡くなったそうです
89歳でした

1971年生まれの私にとって
007は3代目のロジャー・ムーアでした

彼のジェームス・ボンド最高傑作は
多分 登板一作目の「007死ぬのは奴らだ」でしょう
この映画は ポール・マッカートニー&ウイングスの
テーマソングがメチャクチャ有名でしたが
映画としても、マイアミが舞台の ブードゥー教の教祖
との戦いが 冒険活劇としての
007の原点に返るような素晴しい作品でした


他にも彼の007での名作は
何と言っても「私を愛したスパイ」でしょう

この作品は、まさに正統派
確か「ロシアより愛を込めて」のリメイクとして作られた作品で
しかしテクノロジーが進化していましたので
ロシアの女スパイが MI6のマシーンをすぐ使えるというような
シーンが出てきたりしたのが印象深かったです

そして「ユア・アイズ・オンリー」
この作品は私が一人で大阪梅田へ 見に行った最初のボンド映画で
とても思い出深いです
ボンドガールが歴代でも相当可愛い事で知られています
あ、フィギュアスケートの人ね。あの子可愛いですよねぇ


正直ロジャームーアの007には
「ムーンレイカー」「オクトパシー」などの駄作も相当あるんですが
それも彼の魅力の一つです



子供の頃本当に憧れました
ロジャー・ムーアさんの冥福を心からお祈り申し上げます

R.I.P James!

by AWAchampion | 2017-05-23 23:30 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日 東京宝塚劇場に「グランドホテル」を見てきました

これは1993年に、トニー賞演出家のトミー・チューン氏のカンパニーと
父・岡田敬二をはじめとする宝塚歌劇団が共同で作り上げた
宝塚版「グランドホテル」の再演です

当時は 人気絶頂のスターとして 涼風真世
ナンバー2と言うよりも、既に同格のスターだった天海祐希
さらにのちの大スター ナンバー3の久世星佳などが出演

しかしスターのサヨナラ公演だったにもかからず
涼風真世は 主役でありますが
中年の猫背でめがねをかけた オットー・クリンゲラインを演じ
天海祐希は 脇役で
グルーシンスカヤの親友の女性 ラファエラ役という 
極めて宝塚らしくない配役での公演でした

しかしこれが素晴らしかった
単に「清く・正しく・美しい」だけじゃない
ちゃんとしたミュージカルを宝塚もやって、それがとても心に響きました

今回は 主役の珠城りょうさんが スターお披露目ということもあり
宝塚っぽくアレンジされて
前回久世星佳がやった 泥棒男爵の役を演じていました

これはこれですっきりして良かったと思います
「グランドホテル」形式というのは 主役がはっきりしないというか
群像劇の代名詞のように使われるわけですが
ハンサムな男爵の苦悩を主軸に据えることで
まあ、見やすくはなりますしね。
それに極めて宝塚っぽかったです。

それに新しく演出に入った 生田大和さんは、ご自分がバレエダンサー出身の
演出家さんだけあって
付け加えた 男爵の駅のシーンは 白鳥の湖の「瀕死の白鳥」っぽくて
とても良かったです

宝塚でクリンゲラインを主役にするには
その主役に 特別な輝きがなくてはいけません
その意味で 大スター 涼風真世の最後というのは ここしかない!という
タイミングだったのでしょう

しかし 前回その役にスターを指名した トミー・チューンもあっぱれなら
その極めて宝塚っぽくない配役を 腹をくくって受け止めた
父を含めた宝塚の首脳陣もあっぱれでしたね

だって当時の涼風真世と言えば
小池修一郎さんの快作「P・U・C・K」で
真夏の夜の夢の妖精パックを演じて
宝塚ファンを萌え死にさせていた 王子様中の王子様でしたよ
それが、猫背で病弱で、ほとんどダンスもなく
ふらふらとした 髪の毛もくしゃくしゃの中年男性役ですからね
いや凄い話ですよ

改めて見ながら24年前の父の仕事に感銘を受けた一日でした





電話で父に話したら
「そうか、俺の凄さが今頃分かったか」と 
これまた父らしい言葉が返ってきましたよ(笑)


by AWAchampion | 2017-03-19 20:09 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

先ほど「LA LA LAND」の記事を書くために
久しぶりにウッディ・アレンの「世界中がアイラブユー」を検索してみました

すると・・・・
つい最近の映画だと思っていたのに
1996年・・・つまり21年前の映画だったんですね

うわぁ・・・

そりゃ私も年を取るわけだ

チャゼル監督からすると この映画も他の50年以上前の映画と
そんなに変わらない懐メロ感があるのかも知れませんね?

「世界中がアイラブユー」から
多分チャゼル監督がLA LA LANDでオマージュしたであろうシーン


by AWAchampion | 2017-03-16 18:45 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

LA LA LANDを見ました

ちょっと遅くなりましたが
2週間ほど前、ちょうどあのアカデミー賞発表の前日ぐらいに
「LA LA LAND」を見てきました

え?

どうだったって?

ネタバレを含みますから
また見てない人は逃げて下さいね!





いいですか?
「LA LA LAND」は「セッション」で名を上げた1985年生まれのデイミアン・チャゼル監督の
最新作で、ロサンゼルスで夢を追う男女の恋物語をミュージカル仕立てで描いたものです

この「ミュージカル仕立て」というのが重要で
あくまで「ミュージカル的な表現を用いた普通の作品」としてみた方が幸福な作品です。

冒頭、ロスの高速道路で渋滞が起きているところから 映画はスタートします
ロスの渋滞というと「フォーリング・ダウン」を思い出しますが
撮り方としては ゴダールの「ウィークエンド」っぽいカメラワークで一人の女性に
ドリーインすると・・・・

そこから歌が始まり ダンスシーンがどかんと始まるのです

全体的にカメラは、1980年以降のダンスシーン演出に多く見られる
カットを細かく割って勢いを出す方法ではなく、古のミュージカルっぽく
人の身体を基本的に全部見せた(FF)のサイズで移動していきます

これはMGMミュージカルなどで最も大切にされていた事で
ダンサーの身体を全部見せることを主眼としています

役者を志しつつも 映画スタジオの中にあるスターバックスで働く
若い女性ミアと、ジャズバーを開きたいという思いを持ちながら鬱屈した日々を過ごすセブ
この二人が偶然 パーティーで出会うところから話は急展開します
そして恋に落ちて・・・・と言う物語です

この映画はミュージカルとして見ると 確かに最近でも
サム・メンデス監督の「シカゴ」やら、舞台を映画化した「レ・ミゼラブル」のような
21世紀のミュージカルや、50年代~60年代のMGMミュージカルに比べられるか?
と言うと 正直そこまで クオリティが高いわけではありません
主役の二人も頑張ってはいますが、本職のダンサーではありません。

カメラや照明ももう少し粘っても良かったんじゃないかな?と思うところは
無いわけではありません

でも、この映画が愛されるのは その質の部分ではありません
「ミュージカルって良いよねぇ・・・・」というマニア(シネフィル)が作った映画だという
事がよく分かるからです

同じような映画があります
それは フランスのジャック・ドゥミ監督が作った
「シェルブールの雨傘」や「ロシュフォールの恋人たち」です
ジャック・ドゥミも、MGM映画への偏愛から あの作品を作り上げました

特に「ロシュフォール」は、アメリカから「雨に唄えば」のジーン・ケリーと
「ウエストサイド物語」のアルベルトでお馴染み ジョージ・チャキリスを連れてきて
フランス語で歌わせているという珍品に近い作品とも言えますが
この映画の素晴らしいところは、とにかく衣装・ダンス・セットデザインなど
画面構成に凝りに凝りまくって 多幸感を映像全体で表現しているところです

MGMの映画もセット・音楽・ダンス全てで、人生の多幸感を描く為に英知を絞っている
作品群です
それをスタジオで表現して 全てを理想の形にコントロールしたのが「雨に唄えば」であり
「巴里のアメリカ人」なんですが
ジャック・ドゥミは 南仏の明るい日差しの下 ロケでその美しさを出そうとしました

「LA LA LAND」もそのジャック・ドゥミ監督と同じにおいがするのです。
そして当時よりも ロケで美しい映像が撮れるようになったわけで
そこで、MGMの香りをきちんと出そうとしたと言うのが分かるのが嬉しいのです

例えば賞賛されている 夕焼けをバックにした タップシーン
あれは多分「雨に唄えば」でセットに迷い込んだ デビー・レイノルズに、ジーン・ケリーが
踊りながら愛をささやくシーンのオマージュでしょう
本当の夕焼けをバックに踊る二人 
しかも セブは足下に砂があるのをタップシューズでいじって
すこし 「トップ・ハット」のアステアを気取ります

そんな一つ一つに ミュージカル映画への愛が感じられる
萌え映画と言っても良いんじゃ無いでしょうか?

だから、どちらかというとウッディ・アレン「世界中がアイラブユー」に近い
作品なのかも知れませんね

後半には完全に「巴里のアメリカ人」でレスリーキャロンとジーンケリーが踊る
例のレビューシーンのような セットでのショーも出てきます
映画人なら ああいうのをやりたい気持ち よく分かります

アレも確か パリで画家を目指す 貧しいジーンケリーが 
パーティーで レスリー・キャロンが他の男にとられてしまうのを悲しく見つめながら
妄想するシーンでした
今回も、ミアとセブの間に悲しい事が起きた時に、あのシーンになるのです
ここが良かったですね

正直ハードコア ミュージカルファンは
前半15分で「あれ?」と思うと思います
賞賛されている冒頭のシーンは、マニア的にはそうメチャメチャ
ハイクオリティには思えないと思います
でもそこを乗り越えて!
30分したら良くなります!

それから「ミュージカル的要素」ばかりが言われますが
ストーリーがとてもジンと来ます
「夢だけでは食えない」「でも夢を見るのは大切」
ロスに消える夢の数々・・
それを21世紀版にしたらこうなるという感じです。
ミュージカルって、本来「人生の幸せな部分を歌に乗せる」話です
でも、この映画の中では「もし私が別の人生ならば・・・」という思いとともに
使われて
「風向きは 二人のためには吹かなかったけど、それでも悪くない人生なんじゃない?
あんたも頑張れよ」って感じが良かったですね
ちょっと「アニーホール」を思い出しましたよ
ウッディアレンが 舞台の脚本家で、ダイアンキートンが歌手だったでしょ?
あれはニューヨークからロスに来る話
その逆って事ですね
それにアニー・ホールは嬉しいとき こう言うんでしょ?
そう
「LA DI LA」ってね。

とにかく「萌え」を感じながら見ていると
後半尻上がりに良くなります

是非ご覧下さい

ついでに
「ロシュフォールの恋人たち」から双子姉妹の歌

「トップハット」からアステアの砂のタップ(2:30あたりから)


「巴里のアメリカ人」からレビューシーン





by AWAchampion | 2017-03-16 14:06 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今とても話題になっている 『この世界の片隅に』片渕須直監督 を見てきました

いやぁ素晴らしかった

ビックリするほど素晴らしい映画でした

まず特筆すべきは 能年玲奈さんの素晴らしさですね
彼女の朴訥とした雰囲気が、本当に主人公の受動的な人生と合っていて
北條すずさんは彼女じゃ無いと考えられないですね。
彼女の素晴らしい演技力には圧倒されました

それから脚本が素晴らしいです
その昔 時代小説の大家平岩弓枝さんが 北方謙三さんに
直木賞選考会の席上で語ったという逸話があるのですが
山本一力さんの「あかね空」を平岩さんが推す理由として
「北方さん、一力さんは『布団を干すと どうもホコリっぽく
なったので パタパタとはたいた』としか書いていないけど
実はこの日 浅間山が噴火して江戸に火山灰が降ったのよ。
でも歴史的事実を生活に落とし込むって こういうことなのよ
ホコリよ、ホコリ」と言ったそうです

これは非常にわかりやすい例えで、今となってはそのとき何が
起きていたのか?過去を俯瞰して見ることが出来ます

でも 当時生きている人には生活が全てなんです
その生活のディテールをきっちり積み重ねることで 戦争を浮かび上がらせるという
原作と脚本の力が素晴らしかったです

正直私も 太平洋戦争を題材にした映画は山ほど見ています
でも 今回 初めて知ってハッとさせられることは
山ほどありました

そういうリアルな部分と アニメーションとしての
美しい表現のコントラスト、メリハリが素晴らしかったです

結果として とても美しい作品でありながら
戦争の怖さ、残酷さをどの映画よりも胸の奥に届けられて
それでいて 温かいという 奇跡のような感情を
観客に届けられる作品になっていました

いやぁ これは 大人であればあるほどぐっとくるアニメーションだと
思います
是非ご覧になって下さい


by AWAchampion | 2016-12-16 08:18 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

『君の名は』について

新海誠監督の「君の名は」が記録的なヒットを続けています
私は公開2週目ぐらいに見ました

当時 劇場は満杯で 殆どが中学生か高校生のカップル
2割ぐらいそのほかの世代という雰囲気でした

内容については もう大ヒットした映画ですから書きません
私の感想だけを書きます

第一印象はとても美しい映画ですね
実写にとても寄せているのですが 彗星の破片が降るという
表現や この世の終わり感は アニメーションならではの
とても美しい表現だったと思います

また川村元気さんがよくおっしゃっている
「美しい東京」が とても印象的でした
瀧が生きているエリアは私も頻繁に通うエリアですが
あんなに美しい風景を見たことがありません

思春期に見ると一生を決定づけるような映画というのがあります
この映画はそういう映画でしょう
多分18歳ぐらいの人が見ると 何度も何度も見てしまう映画なんじゃ無いか?
と思います

それが私にはよく分かるのです
というのは 昭和46年生まれの私にとって
そういう映画は 尾道にありました

特に1981年の「転校生」は 男女の入れ替わりモノと言うこともあり
この映画と比較されることも多いのでは?と思います


で、この映画をみて 私が思ったのは
「君の名は」は、アニメであることで、思春期の男女の肉体を意図的に
スルーしているのでは?ということです

確かに三葉が瀧と入れ替わって 自分の胸を揉んだり
股間を見たりというシーンは出てくるのですが
結構あっさりその辺が乗り越えられてしまう感じがします

でも本当は 思春期の男女の入れ替わりモノの最も大きなポイントは
「お互いが知らなかったお互いを知る」という所にあります
それは 「君の名は」では田舎と都会という差にさらりと変えられて
いますが、本来 もっともっと汗臭いのでは?と言う気がしてしまうんです

「転校生」で当時13歳だった 小林聡美は なんとパンツ一丁になって
(本当にパンツ一丁ですよ。)大熱演しています
それを見ていると、どうしても「君の名は」を見ると悪い意味で「少年少女向けのアニメだなぁ」
と思ってしまいました。

あと、曲がとても印象的ではあるのですが・・・・

アニメ映画である故にというか 日本語で歌われた歌詞があり、それが
全て新海監督と濃密にコミュニケーションを取って作られたモノであるが故に
合いすぎていると思いました

つまり 野田さんの歌声がナレーションっぽく聞こえるのです

で、瀧君と三葉の物語の中に 明らかに彼らより年上の男性の声で
ナレーションというか心情を先に引っ張るような 歌詞が聞こえるので
どうしても 作者の意図を強く感じてしまって
しかもある意味ちょっとネタバレっぽくもあり
相当気になりました

ここまで ボーカル曲が多くなくても良かったのでは?と
私は思いました

もちろん「それが良いんじゃん」って人も、特に若い人の中には
多いのかも知れません。

確かにたとえば映画「卒業」なんかも
ミセスロビンソンと不倫したところで「Mrs Robinson」がかかったりするので
ところどころは同じなんですけど
全体的にもう少し 歌詞と映画の流れは離れていて、別にスカボロー祭りに
行くわけではありません

歌詞付きの歌を乗せるなら もっと抽象的な内容にした方が良かったのに・・・という
感じがとてもしました

あと、頭でアバンタイトルっぽく 「前前前世」に乗せて
その後の内容が短く 編集されているところがあります
あれは とてもテレビ的だなぁ・・・と思いました

あれ、確かにあるとわかりやすいデスけど
ネタバレっちゃぁ ネタバレですよね?
不思議な構図だなぁ・・・とは思いました

とにかく 全体的に
私にとっては映像の語り方が
親切すぎる感じが少ししました。

話が入り組んでいるので
親切な語り口にしたのかも知れませんね

それがヒットの大きな原因だと思いますが
もう少し「想像」の部分を残してくれていたほうが
私としては好みかも知れません。









by AWAchampion | 2016-12-08 22:23 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)