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昨日、JCBに勤める従兄弟から
「実は弊社のOLさんが、宝塚風の劇団に入っているのだが、
その公演があるから、倫太郎くん一緒に見に行かないか?」と
お誘いを受けました。

そこで池袋のとあるホールに見に行きました。
劇団の名前は 劇団クラーナ・ジュネスさん

ポスターを見ると お芝居とレビューの二本立てで
しかもレビューのところに バ~ンと
「ロマンチック・レビュー」と書いてあるではありませんか!

え?ロマンチック・レビューっすか?

ちなみにロマンチック・レビューとは 宝塚歌劇団で
私の父 岡田敬二が提唱する レビューの路線のことであります。

長男の私が知らないロマンチック・レビューがあったとは?
ぬぬぬ・・・?

しかもレビューのタイトルが「アムール・ローズ」ですよ。
おやおや?「Amour それは」と「Rose Garden」という作品が
父にありますよ・・。
もしかして岡田敬二ファンなのでは?

というわけで見てみました。


いやぁ・・びっくりですよ
ちゃんとお芝居を80分 レビューを45分と
本家 宝塚歌劇の本公演の90%ぐらいの分量の公演をやるんですよ。

しかも衣装とかもちゃんと 男性が宝塚風のドレス燕尾服みたいなものを
着ていたり、女性も いかにも宝塚の娘役が着そうなドレスを着ていたり・・。

さらにお芝居で言うと、ちょっとした 宝塚風の変なギャグとかあるじゃないですか?
ああいうのも完コピ。

セットこそありませんでしたが、なんかバウホールの公演を見ているような
気分になりました。

もちろん演者の技量は、そりゃタカラジェンヌと比べるのは野暮ですが
「出来るところは 確実に宝塚クオリティに近づけよう」という意図は
強く感じましたし、思っているよりもずっと良く出来ていました。

レビューの方も 
まあ、そりゃ言えば色々ありますが、構成としては
「ああなるほど、このへんでいつも黒燕尾の羽山先生風の踊りがあるよねぇ・・。」みたいな
事も完コピ。

子供の娘役さんが「私は初恋の魔法使い~♪」なんて歌って、
膝から曲げて両足ジャンプしながら踊るところなんか 爆笑しました。
ありますよねえ・・・中盤あたりにそういうネタって。

宝塚ファンであればあるほど、なんか楽しめる感じでした。

出てらっしゃる方も 微妙に団長さんが汝鳥伶さんに似てたりとか、
なんかそう言う感じで とても面白かったです。

それから タイトルの割には 特別ロマンチック・レビューっぽくはなく
むしろ阿古先生とかを思い出しながら見ていました。
by AWAchampion | 2013-01-12 15:46 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

昨日の11月3日は文化の日でしたね。
いつもの週末は色々と宿題を抱えていて、あまり余裕がないのですが
珍しくこの週末はそれほど宿題がなかったので
思い切って 映画を近くのシネコンで3本見ました。

それが「アウトレイジ・ビヨンド」「アルゴ」そして「エクスペンダブルス2」です!
先の2本の映画についてはコラムを書きました。
そして漢の映画「エクスペンダブルス2」も感想を書いちゃいますよ!
ネタバレします!


けど、まあいいよね。
ネタバレしようがしまいが、結局スタローンと筋肉戦士が暴れて勝つ映画ですよ。
そのままお読みください。

ストーリーは、ざっくり言うと スタローンは民間傭兵チームのボス。
仲間はドルフ・ラングレンやジェット・リー。
彼にヤバめの依頼をするのは FBIのブルース・ウィルス

そして同業者の猛者に、アーノルド・シュワルツネッガーや、チャック・ノリス

今回現れた最強の敵がジャン・クロード・ヴァンダムという
もうありえないオールスターキャスト。

きゃっほ~!

スタローン・シュワルツェネッガー・ブルースウィルスが
3人並んで、マシンガンをぶっぱなしたり、
スタローン対ヴァンダムの戦い
「ロッキー」対「キックボクサー」ですね・・・があったり
もうとにかくいちいち夢!漢の夢!

肉汁たっぷり漢祭りですよ!

それに 前作は確かにオールスターキャストではありましたが
ぶっちゃけ それだけの作品で
中身はB級というかC級な映画でした。
それはそれで その荒さが可愛かったですけどね。

今回は違います。
前作のヒットを受けて、ちゃんとブロックバスタームービーとして
制作されていて、監督もスタローンじゃありません。
つまりしっかりした映画なのです。

この手の筋肉ソルジャーが みんな高齢化しているのは
ちょい気になりましたが、
それでも 本当に素晴らしい バカ爽快筋肉映画でした!

特に前作オファーを断り
今回満を持して出てきた ジャン・クロード・ヴァンダムは
とてもとても良かったです。

こういうサイズの映画にとにかくあってます。
それに彼のベルギー訛りの英語が
悪役っぽくて素晴らしいです。

こういう映画を見たかったぜぇ!

きゃっほ~!
by AWAchampion | 2012-11-04 15:17 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

「アルゴ」見ました

さてさて、続けて 映画の感想です。
今回は「アルゴ」を見ました。
これもネタバレしますよ。さぁさぁ、早く逃げてください!!








まだいるとネタバレしますよ!








さて、もういいですね?
見た人だけですね。

どう?・・・・・・超良かったですよね?

いや素晴らしい。面白かったですよねぇ。
これが実話って言うんだから素晴らしい。

一応ストーリー概要を書きます。
1979年から始まった イラン革命で
それまでアメリカの後ろ盾で 皇帝の座につき
放蕩な生活を欲しいままにしていた パーレビー国王がアメリカに脱出。
ホメイニ師を信望するイスラム原理主義者の国民たちのあいだに不満がたまり
そして11月、暴徒たちによって 在テヘラン アメリカ大使館が占拠。
60人を越す外交官たちが人質となり、1年半以上軟禁されました。

そこまでは1971年生まれの私は
リアルタイムで知っていました。
私と同い年のベン・アフレック監督もそうでしょう。

しかしその話には続きがありました。
その大使館が占拠された時、6人の大使館員がこっそりと逃げ出し、
カナダ大使の私邸に逃げ込んでいたのです。

しかしイランの革命軍は、その事実を知り血眼で国内をシラミつぶしに
調べました。
そこでCIAが、彼ら6人を救出するためにとった作戦というのが
今回の映画のネタなのです。

CIAのエージェントを カナダ人の映画プロデューサーに仕立て上げ
SF映画のロケハンということでイランに潜入。6人を別便で来た
スタッフということにして 数日後に一緒に何食わぬ顔で出国という
「嘘でしょ?」と思うような作戦だったのです。

これ、実話なんだそうです。
実際エンドロールで 実際の登場人物達の顔が出てくるんですけど
今回の映画が 本当に実話と実際の写真などの資料に
忠実すぎるほど再現されていて、それが 一種ドキュメンタリー映画のような
緊張感を映画に与えています。

これはベン・アフレック監督の大勝利ですね。
実話ではありますが、007だってこんなことはしない、めちゃくちゃな話です。
それが「事実だった」ことに面白みがある訳ですから、
徹底してスーパーリアルに再現して、手持ちカメラのドキュメンタリー風の
構成にしました。
ですから映画的な開放感はありませんが、ジリジリとした緊張感を描くことに
大成功しています。

それでいて、最後の空港の下りは多分創作でしょう。
それまでのとても静かな脱出ミッションに
最後だけ映画的なモーションを加えることで、映画全体の
感情をより大きくすることに成功しています。
全体的にはとても静かな映画なのですが
最後の空港の脱出劇があるおかげで
ものすごく大作のアクションムービーを見たような印象があります。

最小限度だけファンタジーというスパイスを効かせた
脚本家の腕は相当素晴らしいですよ。

ベン・アフレックが自ら演じるCIAのエージェントも
決して感情を爆発させない、極めて静かな描かれ方をしています。
「作戦に協力しない」という外交官を説得するのも
別に英雄のように振舞うわけでなく、極めて冷静に、人間らしく
説得をする様子が、とても丁寧に描かれます。

さらに、本国から土壇場になって「作戦中止」を言われて
ホテルに戻ったあとの描写は、素晴らしいですね。
何も起こらない。何も起こさないんです。
でも時間が過ぎる。
・・・他国に潜入したスパイが怒鳴り散らしたりするはずもありませんから
本当にリアルです。

この映画は本当にアメリカ映画の底力を見ました。
いろいろ有名な人も出ているんですが、それをきちんと実際の人物に
ものすごく似せて、「映画のためのキャスティング」をしています。
そこも素晴らしいです。

素晴らしい脚本があったとき
それに対して最善を尽くした すべてのスタッフに敬意を感じました。
わたし的にはこれは アカデミー賞を取るべき作品だと思います。
by AWAchampion | 2012-11-03 20:26 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

北野武監督最新作 「アウトレイジ・ビヨンド」を見てきました。
このあと、深刻なネタばれをしますので、これから見る人は
とにかく逃げてェェェェ!











逃げました?
ここから先は見た方だけが読んでいいブロックですよ。
マジ ネタばれしますよ。



さて、前作「アウトレイジ」から五年後、
関東の巨大暴力団 山王会は、先代北村総一朗を殺してのし上がった 
二代目三浦友和のもとで急成長。
その影には 山王会の三部組織の武闘派組 大友会の下で修行を積んだ
若くて頭の切れる 加瀬亮が、山王会全体の若頭に抜擢され
経済ヤクザとして生まれ変わったことが大きかった。

その力は政界にまで及び、山王会の天下だと思われたとき
警視庁 暴力団担当の刑事 小日向文世が、刑務所で死んだと思われていた
ビートたけしを出所させる。

という物語です。

前作「アウトレイジ」は「全員悪役」というキャッチコピー通り
なにか 暴力描写先行で、闘鶏が戦いあっているのを
眺めているような感じがしましたが、今回はビートたけし扮する大友や
中野英雄扮する木村。小日向文世の片岡刑事。
花菱会や山王会の動きなど、全て納得できる動機があり
非常に完成度の高い脚本で練られた、人間ドラマでした。

特に加瀬亮扮する 石原が、分不相応に大きくなってしまったが故に
去勢を張り、怒鳴り散らす様子や、
引退した二代目会長 三浦友和と 三代目会長 名高達男の
上座をめぐるちょっとした小競り合いなど、本当にキャラがしっかりしていて
正直前作とは比べ物にならないほど いい作品でした。

たけしさんがそれほど物語の中で 多くの時間出ていないのも良いですね。
ご自分が監督として、ちゃんと引いた目で見られたが故に
非常に密度の濃い 人間ドラマになっていました。

ギャングスター作品で、我々が感情移入するのは
やはり「恨み」とか「復讐心」を暴力で晴らすという
日常では出来ない構図なのです。

そこで武さんは 今回その恨みの根源をしっかりと描いたことで
出演者たちにぐっと感情移入できました。

今回の作品はご自分が「仁義なき戦い」以来のスタンダードを作った
とおっしゃっていましたが、それはその通りで、
冷たい現代社会のヤクザの、綺麗事ではないリアルな損得勘定や
「恨み」の構図を描いたという点で ヤクザ映画の新しい
地平だと思いました。

北野武 初期暴力三部作
「その男、凶暴につき」
「3ー4x10月」
「ソナチネ」
の系譜に確実に入る、四作めの傑作だと思いました。

もちろん「キッズ・リターン」とかもいいけど
ちょっとたけしさんの コント作家っぽい人情劇が入っている
のですが、今回の作品はあくまで冷たく、そして理にかなった
良質のフィルム・ノアールでした。
ヨーロッパがしびれたキタノブルーは ようやく復活しましたよ。

そしてラストが良い。

まさかねぇ・・・。前作から見ているとわかりますが
彼が殺されるとはねぇ・・・。
だって彼は、リア王でいえば 道化の役で
破滅する王国を笑いながら見ている狂言回しなんですけど、
今回「ちょっと出過ぎているかな?」と思ったらこの結末。

いやぁ、北野武という人の 脚本家としての
才能は今一度評価されるべきだと思いますね。
by AWAchampion | 2012-11-03 20:00 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

ミュージカル「レ・ミゼラブル」の新演出版の制作が日本でも発表され、
エポニーヌにアイドル声優の平野綾が選ばれたりして話題となりました。

そこでちょっと、旧演出版について小さな疑問があります。

私がレミゼを初めてみたのは1990年前後
その頃 レミゼの演出は「トレヴァー・ナン」だと言われていました。

彼はロイヤル・シェークスピア・カンパニーの芸術監督で
キャメロン・マッキントッシュとは「キャッツ」の演出でも
タッグを組んだ とても有名なイギリスの演出家です。
映画も撮っていて、ロンドンではものすごく有名な
日本で言う蜷川さんみたいな人物です。

ところが、日本版では10年ほど前から
クレジットでは演出は ジョン・ケアード氏が上に来ています。
彼も日本でもベガーズ・オペラをやってりして有名な方なのですが
例え共同演出といっても そうやって序列が変わるということは
トレヴァー・ナンはマッキントッシュと揉めたりしたんでしょうかね?

レミゼにかなり重要な役で出ていた、私の古くからの友人に
聞いてみたところ「いや?演出はジョン・ケアードだよ?」と
言われてしまい、ますます謎は深まります。

私はファンでしかないので、カンパニーの一員がそう言われているということは
公式に序列が変わっているということだとおもいます。
不思議です・・・。何かあったんでしょうか?
by AWAchampion | 2012-10-16 10:03 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

宝塚歌劇団で2010年から演じられている「ロミオとジュリエット」は
非常に高い評価を得て、男性のキャストを入れた日本オリジナル版という
公演もされています。

その元となったフランスのミュージカル「ロミオとジュリエット」が渋谷に来たので
見に行ってみました。

このあと大阪にも行くそうなので未見の方は今すぐ逃げてください!
「ロミオとジュリエット」だからネタバレしてもいいのかもしれませんが
見る前に読むコラムではありませんよ!




















というわけで、見に行ってみました。
舞台はイタリア ヴェローナ
対立し合う モンタギュー家とキャピレット家がありました・・・というところから
ストーリーは始まります。
暗い舞台に
いきなり ド~ンというオーケストラヒットが鳴ると、サスが当たり
その中に赤い服を着た一団が一瞬だけ見え
続いて ド~ンという音と共に 今度は青い服を着た一団が見え

その二つの色をまとったダンサーたちが、対立の踊りを踊りだす・・・。
というなかなかスピーディでいい感じの導入でした

セットは背景に 斜めになった回廊があり、その中にいる人たちの服の色によって
モンタギューの屋敷、キャピレットの屋敷とわかるようになっています。
その前に3階建ての円筒形のセットが時折出てきて、例のバルコニーなど
主にジュリエットの屋敷を表現していました。

ストーリーはシェークスピアの原作に基本的には忠実で
その後 ロミオとジュリエットは恋に落ちることになります。

音楽は基本的にはロックテイスト
衣装も、かなり現代風のダンス衣装のようなものを使用していました。

見た印象ですが
とてもスピード感が有り、歌手と踊りのアンサンブルが分かれている事もあり
元々極めて宝塚っぽい構成なんだなぁ・・。と思いました。

が、テイストが全体的にロックミュージカルっぽいのが、私はあんまり好みでは
ありませんでした。
私の父の岡田敬二はことのほかロックミュージカルが好きで「PIPIN」や
「TOMMY」に衝撃を受けたと言っていましたが、私はどうも苦手で・・。

で、見ていて「衣装を、宝塚っぽく丁寧なあつらえにしたり、踊りをもっと
宝塚っぽくソフトにしたりすれば、さぞかし良いんだろうなぁ。」と思いました。

それに、やはり脇役のキャラ設定がとても気になりました。
キャラ設定って言うんでしょうか?脇役が自分のことを語る独唱が所々で
入るんですが、それがことごとく場所が違うような気がするんです。

例えばロミオとジュリエットがパーティで運命的な出会いをして、
世界がピタリと止まった次の瞬間に
いきなりジュリエットに恋をしている粗暴な甥(ウエストサイドで言うティノですね)が
「俺は愛されずに育ったぁぁぁ~~~」みたいな歌を歌ったり、
ジュリエットの乳母が、ロミオに伝言を届けにきて、散々敵の男達に
恥ずかしめを受けてから「私はジュリエットを愛している~~~」と
歌い上げたり、
まさにロミオとジュリエットが天に召された後、
神父さんの「私は神父として~~~~」みたいな歌が入るんです。

つまり事件が起きた後、脇役の独白が入るんですけど
逆ですよね?事件が起きる前に脇役の独白が入らないと、
メインストーリーの流れが止まるし、メインストーリーに深みを与える
こともできません。

私は小池修一郎さんが脚色された宝塚版も日本オリジナル版も見てませんが
パンフレットによると、そのへんのことをガッツリ直されたそうです。
わかります。このままだとちょっと構成がおかしいですからね。

それから、小さなことですがカーテンコールで4曲歌うんですけど
多すぎ!
それにノリはいいけど「この世は争いの地獄さ!」みたいな歌を
カーテンコールで歌うのはどうかと思いますよ?
愛は永久にって感じの歌を一曲歌って終わりというのが
普通ではないでしょうか?

聞くところによると 初演は10年前で当時は
レダという方が、演出と振り付けを担当されたようですが
今は多分あまりイイ関係ではないらしく、クレジットが外され
「演出:合議制」と書いてあり、その経緯が説明されていました。

役者とか音楽家がきもちいいけど、演出としては手綱が外れてるって
状態は旅公演などで結構どの劇団でもあることです。
なんとなくそういう状態を思い浮かべました。

これは小池さんの日本版をぜひ見ないといけないです。
相当ガッツリ直したみたいですからね・・・。
by AWAchampion | 2012-10-12 08:23 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日、池袋で話題の映画「ダークナイト・ライジング」を見てきました。
ネタバレの部分もあります。
まだ公開初週ですから、みんな逃げてェェェェ!



















はい、いいですか?
さて、この映画はクリストファー・ノーラン監督のバッドマン三部作の完結編で
「ダークナイト」「バットマン・ビギニング」に続く作品です。

私は「ダークナイト」をつい最近見て、勉強して見に行きました。

この作品は 普段めったに映画を褒めない 芝山幹郎さんが
絶賛していた作品で、彼の批評はいつもいつも的確なので、とても期待して行きました。


例によって 人物描写は巧みで、単純な善人を作らないというところが素晴らしいと
思います。さらにストーリーも抜け道がとても少ないように思え
非常に観客が感情移入しやすい よく考えられた作品で クオリティの高さを感じました。

しかし、正直言って わたしはあまり好きではありません。

というのは、ストーリーや人物描写のヌケがない代わりに
私が欲しい大きなものが、この映画には無い気がするのです。

それは、「希望」です。

このストーリーの中で、そして「ダークナイト」もそうですけれど
悪人の悪巧みはほとんど100%成功します。
この「ダークナイト・ライジング」でも、確かに中性子爆弾は市内で爆発
しないかもしれませんが、沖合で爆発すれば核の雨だって降るでしょ?
それに、彼らが本当に目指した「悪徳を人の心に植え付ける」という
事は 100%以上大成功しているわけです。

ジョーカーの企みだって ほぼ100%大成功していて、しかも
彼自身は死んでいないんですよ。他の主な登場人物はみんな死んでしまっているのに。

はっきり言ってゴッサムシティは 悪が毎回毎回大勝利してますよ!

これは監督が意図してそうしているわけで、元々こういう作品を作ろうとして
作ったわけです。
だから、企みとしては大成功ですけど、例えば「スターウォーズ」とかの方が
私の好みとしてはず~~~っと上です。

もちろん「ヒーローなんて無力だ」というメッセージですから、
いいんですよ。でも 観客としてはスッキリしません。
色々観客の思いを裏切ってくれて良いんですけど、最後はスッキリさせてくれないと。

まあ、そもそもそういうブロックバスタームービーにしたくなくて
こう言う暗い作品にしている確信犯ですから、監督や製作者の企みとしては
完全に成功なんですよね。

でも、全然見終わったあとスッキリしないっす。

とてもとても精密な絵なんですけど、「感動する映画」であるような
泣き節とか、力強い希望とか、そういうものが一切ない(確信犯的に排除している)ので
見たあとの感触がとても淡白です。

いや、何度も書きますが、これは監督や脚本の質の高さの証明でもあるんです。
だって「ヒーローが希望をもたらすなんて ナンセンスだ」って所から始まってますから・・・。
そして、そういうストーリーに、全力でクオリティを上げるべく 才能を惜しみなく
注いでいますからね・・・。映画としては質が高いんですよ。
そりゃそうなんですけど、まあでも、ぶっちゃけ、バットマンですからねぇ・・・。
もう少しスっとしたくないですか?

今回だって、街をあれだけ破壊すれば 悪人としてはもう、大成功中の大成功でしょ?
バットマン・・・・出てくるの遅いよ・・・・。
それにバットマンの正体も悪にバレるし、武器は奪われるし
好きになったネーチャンには刺されるし、アメフトスタジアムは破壊されるし、人民裁判は行われて多くの人が
人民の手で死んじゃうし、核爆弾は爆発するし、副本部長は死ぬし
本部長の名誉は地に落ちるし、
いいでしょ?もう悪の勝利で。

これは、理由が二つあります。
そもそも このストーリーの中で 悪人の悪巧みは100のうち99までは 成功します。
バットマンが止めるのは最後の一つだけです。

それに、普通の悪人は 
「街を混乱に陥れるために 前説的に何か小さな脅しの企みを成功させる」
という感じですが
このシリーズで出てくる悪人は、
「善人の仮面をはがす」とか「バットマンの富を奪う」
とか「人のあいだに不信感を植え付ける」
「主人公が一番大切にしているものを奪う」みたいな
それぞれ ちゃんとした目的の悪巧みを仕掛けていて、
それが全てちゃんと成功しちゃっているんです。
だから最後の一つを止めたところで
カタルシスが全然ありません。
だって、既に99個の目的は達せられているわけですから。

いや、それもこれも、要はヤリすぎだと思いますよ。

どう考えても ゴッサム市民は、このあと とんでもない悪党だらけの
デカダンスな生活になるでしょうよ・・・?
バットマン・・・・あんた、さすがにもう少し活躍したらどうかね?と思っちゃいます。

まあ、完全に好みの問題ですけど、そういう印象をもちました。


付け加えると、かなりバットマンの勝率がいい「バットマン ビギニング」は
3部作の中で 一番好きというか、スッとしました。
やっぱり勝って欲しいっすよ。
まあバットマンビギニングは「少林寺木人拳とか、少林寺三十六房みたいだなぁ」と思って
前半を見ていました。それもツボです。
by AWAchampion | 2012-07-31 21:09 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

橋下市長と文楽

今日の毎日新聞で 橋下市長が文楽を見て
「演出や台本が古すぎる、改善せよ」と苦言を呈したとありました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120726-00000099-mai-soci

まあもちろん私はその会見を見たわけじゃないので
色々バイアスがかかった記事だとは分かりつつも、
さすがに ちょっとこれは 橋下さんに賛同できない気がします。

これは放送人形劇の演出家としては、
「そういう現代的な手法の人形劇は、テレビで私がやるべきもので
文楽の方がやるべきものではない」というのが基本的なスタンスです。

もちろん江戸時代、文楽は同時代性を得た演劇形態だったワケですが
今は、その「300年前の人を熱狂させた 台本&演出」が、今に通じると
信じてやっていらっしゃる方々の集団なわけです。

実際 「心中天の網島」「女殺し油の地獄」などは、現代でも何度も映画化されていますし
歌舞伎の演目にも、ものすごく多くの文楽由来の演目があるというぐらい
この文化は独特でエバーグリーンなものなのです。

ただ、確かに21世紀としては 刺激は少ないかもしれない
でも守るべき価値のあるものだと思います。

橋下さんは、私より高校で一学年上 名門北野高校、大学は同門ですが、
わたくしは第二文学部 橋下さんは法学部と、
常に私より頭のいい場所におられた同世代の方なのに、どうして
そんな簡単な 嗅覚がないのか?ちょっと不思議です。

この「台本が古い」という指摘も
黒澤監督が以前ぼやいた
「俺が赤い絵を描いているのに、青くないと文句を言われても困る」
というのに似て、そもそも 橋下さんの視点がずれています。

ただ、ここまで来ると 橋下さんは古典が好きじゃないということが
はっきりわかります。

だったら、文楽を京都か東京に持ってきませんか?
東京に持ってきてくれれば 私は嬉しいです。

彼は「文楽は税金で守るべきものではない」の一点張りなんでしょ?
同時代性があるなら、民間で守れるはずだ・・・ということなんでしょう。
じゃあ東京で守りましょうよ。
by AWAchampion | 2012-07-27 09:54 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日、渋谷の東急文化村「ル・シネマ」で
ドキュメンタリー映画 「クレイジーホース・イン・パリ」を見ました。
これは、1951年開業の フランスのレビューシアター
(ヌードがある方のレビューです)「クレイジーホース」の
バックステージをベテランドキュメンタリスト フレデリック・ワイズマン監督が
描いた作品です。

レビューといえば、日本を代表するレビュー作家の息子としては
これは見なくては・・・と見に行きました。

イメージとしては 極彩色に彩られたステージで 華やかに踊る
鍛え上げられたダンサーたちのパフォーマンスを堪能できると
思っていたのですが、
映画は想像以上にバックステージ寄りでした。

「クレイジーホース」の演出家さんが 女性の美しいボディラインを表現する
照明やセット、衣装など考え出すのに苦悩し、
「創作は一日ではできないんだよ!」と愚痴をこぼすのですが、
映画の中では その舞台シーンで お尻・足・顔といった踊り子さんの
パーツの撮影がことのほか多く、せっかく演出家さんがひねり出した
アイデアがよくわからない 編集となっていました。

う~ん?

私は基本ドキュメンタリストではないので、畑違いではありますが
受け取る側としては、バックステージ物は、
オンステージが美しく撮れていていればいるほど、その舞台裏の
描写が生きてくると思うんです。

しかしオンステージを、演出家の意図とは違い、女体そのものに
ガッツリフォーカスしてしまうというのは、ちょっと違う気がしました。

極彩色の映画化と思っていたのですが、思いのほか肌色の
映画でした。

しかし女体にフォーカスするなら、日本のテレビの感覚だと
バックステージで描くのは ダンサーたちの節制や、
世界で最も美しいボディラインを保つための努力というところを
描くことになるでしょう。

そうでなくてクリエイター側の葛藤を描くなら
やはり 舞台は引きで撮影しないといけないんじゃないの?と
思いました。
by AWAchampion | 2012-07-16 17:14 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

今日、下北沢の本多劇場でミュージカル「リトルショップ・オブ・ホラーズ」を見てきました。
このミュージカルは 1982年にオフブロードウェイで初演され、以来大ヒットを飛ばした
カルトミュージカルです。

映画もとても有名ですが(監督は あのパペット界の巨匠 フランク・オズ)
ミュージカルも 日本で何度も上演されていて、今回でなんと9回目だそうです。

で、見てきました。

主演は「テニスの王子様」などに出ていた 相葉裕樹さん
ヒロインは小池修一郎さんの秘蔵っ子 フランク莉奈さん
それに「仮面ライダー キバ」の悪党役 新納慎也さんという若い3人
それに尾藤イサオさんがわきを締めます。

演出は 「カムカム・ミニキーナ」主宰の松村武さんです。

ストーリーは
ニューヨークのスラム街にある古ぼけた花屋さんが舞台。
吹き溜まりのような街で、希望もなく生きている花屋に
ある時、不思議な鉢植えがやってきます。
その鉢植えを育てているうちに、どんどんその花屋は運が向いてくるのですが
実はその鉢植えは 恐怖の人食い植物だったのです・・・。

というお話です。

もともとはロジャー・コーマン制作のホラー映画なんですが
それが笑いたっぷりのストーリーになりつつ、ラストはホラー風味も残すという
良い感じのお話になっています。

このミュージカルがカルトミュージカルでありえた理由って、「ロッキーホラーショー」とかとも
同じで「バカバカしいけど面白い」ってところだと思うんです。
ほんと よくこんなストーリーをミュージカルにしようと思ったなぁ・・・って感じの
B級感あふれるお芝居なんですけど
それがオフブロードウェイの魅力なんですよね。
「面白い」ってことが第一に来るお芝居が、こういう小規模の演劇でも浸透しているのが
このミュージカルのいいところだと思います。

そしてその オフブロードウェイの古典ともいうべきお芝居を
松村武さんはとても B級感たっぷりに、劇場での空気を面白くすることに成功しています。

実は松村さんと私は早稲田大学の 同じ年あたりに入学した同窓生です。
私が早稲田大学にいる頃、演劇クラブの「カムカム・ミニキーナ」は、すでに有名で
しかも 私の親友のH口Mよしくんの彼女が 当時のカムカムの女優さんだったりしたので
凄く親近感があります。

で、当時 同じころ早稲田大学には もう一つ有名な劇団「双数姉妹」があり
こちらは演劇研究会の小池竹見さんが主宰されていました。

「双数姉妹」は、どちらかというと第三舞台系の流れをくむ正統的な小劇場演劇だったのですが
「カムカム・ミニキーナ」は 名前を見てもわかるとおり かなり当時から砕けていて
エンタメ色の強い芝居をしていました。

実は結構早稲田大学にいて エンタメ色を押し出した 演劇やら映画をやるっていうのは
異色のことなんです。普通はもっといろいろ小難しいことを言いたい盛りですし
実際先輩方なども そういうのが良しとされていたわけです。
でも、そんな中で「人に面白い空間を与える」ことを追求してきた 松村さんは
今から考えると 凄く腹が据わっていた人だったんだなぁ・・・という気がします。

まさに 筋金入りのエンタメ職人 松村さんが演出されたお芝居は 
とても小ネタ満載で、いい意味で小劇場の 肩の凝らない 気軽な空間を作り出しています。

さらに メインの3役を演じておられるのが みなモデルさん出身の役者さんということもあり
とても爽やかで、それでいて面白い いい意味で青いお芝居だったと思います。

私はこの若い3人の役者さんを存じ上げなかったのですが、それぞれ良いですね。
今後いろんなところで見かける気がします。

今までこのお芝居は 青井陽治さん 中村龍史さん 上島雪夫さん と松村武さんが演出されたそうです。

1970年代のオフブロードウェイミュージカルを積極的に翻訳してきた 青井さんは、
その頃のグリニッチビレッジの空気をとらえた、とてもさわやかな作風、
マッスルミュージカルの創始者 中村龍史さんは 肉体派。
テニスの王子様 ミュージカルの上島雪夫さんは 
イベントとしてミュージカルをとらえるのが上手い方。
そして 小劇場で一貫してエンタメ道を貫いてきた 松村さんは 
身の丈に合った オフブロードウェイの魂を一番持っている方なのかもしれませんね。
by AWAchampion | 2012-06-14 23:09 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)