カテゴリ:映画・演劇など( 119 )

越路吹雪のマネージャーとして知られ
「愛の讃歌」「サン・トワ・マミー」などの作詞や
多くの東宝ミュージカルの作詞家として知られた
岩谷時子さんが昨晩亡くなられたそうです。
97歳の大往生でした。

岩谷先生はそれこそ 日本の輸入ミュージカル 第一号
江利チエミ版「マイ・フェア・レディ」から訳詞を手がけ
今帝劇でやっている「レ・ミゼラブル」歌詞も手がけるなど
本当に日本のミュージカルの向上に尽力した第一人者として知られます

何しろ『マイフェアレディ』の『踊り明かそう』
 ♪ 夜明けまでも 踊りたいの 夢をのせて
『屋根の上のバイオリン弾き』の『サンライズ・サンセット』
 ♪ 日は上り 日は沈み 時は行く
『レ・ミゼラブル』の『夢やぶれて』 
♪ 夢を見ていたわ のぞみ高く 生きて
などが同じ人の筆で書かれているって凄いことです。

私の父 岡田敬二も何度かお仕事をさせていただいたようで
彼女との打ち合わせには非常に緊張して家を出ていった様子が
今でも思い返さえれます。
特に宝塚で父が演出した ナツメさんの『キス・ミー・ケイト』
カナメさんの『グランドホテル』などでは、ガッツリお仕事をさせていただいていたようで
25年前 すでに70歳だった岩谷先生と、40代後半だった父の
仕事ぶりを想像すると、今や同業者となった私もなんだか緊張してきます。

本当に日本のミュージカル界の至宝でした

ご冥福をお祈りいたします


偶然ですが
昨日行われた『十八世中村勘三郎 一周忌メモリアルイベント』内で
大竹しのぶさんが 昭和五十二年に勘三郎さんと共演した
『若きハイデルベルヒ』の曲を二曲歌いましたが
その作詞は やはり 岩谷時子さんでした。

寂しがり屋の勘三郎さんが岩谷先生を呼んだのかもしれませんね。
by AWAchampion | 2013-10-28 13:39 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

2020年に東京でのオリンピック開催が決まりましたね!

それで早くも開会式の話が話題となり
『嵐だ、SMAPだ、AKBだ』と名前が挙がっているそうです。

しかし私は思うのです
そういう『個』の力があるポップカルチャーの人は
閉会式で、世界の人たちを躍らせてほしい・・と。

やはり開会式は
無名の人たちのマスゲームや、超最新テクノロジーの限りを尽くして
大きな大きな物語を、考えられる限りの巨大な方法で紡ぎだしてほしいのです。

いくらSMAPや嵐が大スターでも
1万人の人々が作る人海戦術にはかないません。

それこそ50年に一度の大イベントですから、
個性に頼らず演出してほしいのです。

その意味では テレビマンや広告マンではなく舞台演出家や
超大作を作る映画監督みたいな人に演出してほしいなぁ・・・と思います。
by AWAchampion | 2013-09-16 22:41 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

「風立ちぬ」を見ました

さて、現在大変話題になっている スタジオジブリ最新作
『風立ちぬ』を見に行きました。
まだ公開4日目ですから、ネタバレを含むこのコラム
どうぞご覧になってから覗いてください。











ということで、ご覧になった方だけ残りましたか?
では・・・。
ストーリーは 第二次世界大戦中 世界一の戦闘機と言われた
三菱ゼロ式艦上戦闘機  いわゆる ゼロ戦を設計した 三菱飛行機の
実在の技師 堀越二郎さんの半生をモデルに、
そこに「風立ちぬ」などを書いた堀辰雄の「菜津子へ」などのラブストーリーを
織り交ぜて描いた作品です。

物語は二郎の心の中で ジャンニ・カプローニというイタリアの飛行機黎明期の
名設計技師との対話を縦軸に 進行していきます。

パンフレットを見ると 演じた野村萬斎さんは「メフィストフェレスだ」と宮崎さん
から言われたそうですが確かに良いことばかり言うわけではない 
案内人という事で言うと そういう感じでしたね。

見た率直な感想ですが
この映画は見る人を相当選ぶと思います。というのは最近の映画では
かなり丁寧に語られる 時間・場所の移動 などが 結構
「当然会話でわかるもの」として バッサリ飛ばされるからです。

つまり例えば 本郷という地名が出れば この人は東大出身
上野広小路と本郷はそれほど 離れていないから歩いて行ける
東京と名古屋は戦前 特急つばめで大体 5時間ぐらいかかる
などなど 知ってると知らないじゃ大違いなのです。

ただ、まあもともと日本映画ってそんなものでした。
特に小津さんとか成瀬巳喜男さんとかの映画って 極自然な形で
そういう事を会話に入れることで 処理していましたよね?
省略の技法がきわめて 古典的で上品な日本映画らしい作品でした。

ラブストーリーが始まり、やがて九式単座戦闘機を設計していく
後半30分は本当に胸躍りました。かなりいい映画だったと
思います。
あのモネっぽい「パラソルをさした女」こと 菜穂子さんは
良いキャラクターですね。彼女が出てきてから 二郎に人間味が
ぱっと広がるところは 抑揚が効いている分 非常に感情移入できて
そこから二郎がいとおしく思えました。
庵野監督を起用して 押えすぎる演出をしたのがそこで生きていたのは
さすがです・・・。

また、大正末期 震災の復興から第二次大戦突入直前の
大日本帝国のもっともよかった時代の東京をジブリが描き出して
くれたのはとても良かったです。

あの姿がどこまでちゃんと時代考証が入っているのか?は
分かりませんが、見る限り 昭和初期の帝都東京は 確実に昭和30年代の
東京より進んでましたね。

ただ、ジブリで育った 20代とかの人がどこまでわかるか?は
相当疑問です。

そもそもゼロ戦がどの程度革命的だったのか?とか
そういうのは もうわかってる物だと思って話が進行しますからね。

まあゼロ戦じたい ほとんど語られず、堀越二郎さんご自身が好きだった
九式単座戦闘機の事ばかり語られますけどね・・・。

要するに当時のプロペラ戦闘機で、非力な三菱エンジンでありながら
とんでもない俊敏な動きをした戦闘機だったわけです。
ただその代償として ほとんど防弾を考えなかった という飛行機だったのです。

それを知っていると、なぜそういう飛行機を作ったのか?が
分かってくるのです。
確かにちゃんと あのすばらしい レクリエーションのシーンで
二郎自身が語ってはいますが、(ゼロ戦ではないですけど)
その辺の知識が全くないと そもそもよくわからないんじゃ
無いでしょうか?

堀越さんが映画の中で寝ずにつくるのが
「ゼロ戦ではない」というところも セリフでもまるで語られず
後になって エンディングで「ああ、あれのあとゼロ戦作ったのね」と
分かるという かなり思い切った省略技法を使っています。

まあ飛行機の形自体が全然違うんですけど、知らない人は知らないですよねぇ。

ジブリのアニメーションは本当によく出来ています。
出来ているんだけど、実写作品と比べて 一枚の絵のなかにある情報量を
監督が絶対的にコントロールできる分、夢とのカットバックで
質感というか 夢と現実があまり変わらないように見えて 色々
混乱しがちでは?と思いました。
アニメーションはもう少し丁寧に説明すべきメディアなんじゃないかな?と
思います。

賛否両論あるエヴァンゲリオン 庵野監督の主人公起用ですが
周りをうまい人で固めたうえで 一人朴訥とした人を入れるというのは
小津さんにおける笠智衆さんという事なんでしょう。
その狙いは 割とあたっていたと思います。後半ラブストーリーのところでは
ちゃんと 庵野さんも芝居してましたしね。

ただ、ラストがねぇ・・・。
要するに黄泉の国で
メフィストフェレスが「どうだった?」と聞くと
二郎は、「自分が良かれと思って2万機も作った 世界最高の飛行機
ゼロ戦は 結局生きて1機も日本に残らなかった 多くの若者にとって
棺桶になってしまった」と嘆くわけです。

そこで死んだ妻 菜穂子を見て
「死んだ若者は それぞれその瞬間 自分を生きたわけだから
設計者のお前がすべてをしょい込むことはない」
「生きよう」

というメッセージが込められて終わるっていう事なんですけど

一回フワッと見ただけじゃよくわかりません。

これには理由があります
九式単座戦闘機の飛行実験のシーンで
その直前に菜穂子が別れを告げていくシーンが入っていて
しかもそれを気が付いていることを暗示させる 二郎の憂い顔が
入っているので、ラストが落ちていないのです。

あそこは満面の笑みで空への喜びを表現して良かったんじゃないかなぁ?
と思いました。

結構ジブリの作品って ラスト「考えオチ」というか 落ち切らない作品が
多く、あの「カリオストロの城」の超名エンディングを考えた
人と同じとは思えないところがありますが、
今回もきわめてフワッと終わります。
その内容について 色々言いたい人もいるようですが 
私は内容については別にどうとも思いません。ただ
エンディングの強度はもう少し強くてもよかったんじゃないか?と
思いました。

それは実は アニメーションとしての宿命もあります
もっと最後の黄泉の国を地獄っぽく描くべきなんです。
だって戦争の地獄なんですから。
火が燃えても なんか美しく見えちゃいけないと
思います。多くの飛行機の残骸を歩いて行きますけど あそこももっと
別の質感で生々しくないと辛いんじゃないかな?と思いました。
でもジブリアニメーションにしちゃうと 美しくなっちゃう・・・。
そこはつらいところですね。

ユーミンのデビュー作「ひこうき雲」は、これ以上ないベストマッチです。
あれも含めて映画だという事であれば、素晴らしいエンディングなのですが、
今をさかのぼる事40年前に作られたJ-POPの古典があれほどエンディングに強く
響くってことは 要するに映画のオチが決まっていないから そこに
全て流れ込んじゃうってことなんじゃないかな?と思いました。
by AWAchampion | 2013-07-24 09:42 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

キス我慢選手権 the Movie

いやぁ、見ましたよ 『キス我慢選手権 the Movie』
素晴らしい。
同業者として、最大限の賛辞を送りたいと思います。

全然ご存じない方のために、『キス我慢選手権』について
簡単におさらいしましょう

発端は2005年 まだ30歳になったばかりの テレビ東京のプロデューサーだった
佐久間宣行さんが立ち上げた、深夜の実験的バラエティ『ゴッドタン』の中で
芸人がセクシー女優からのお色気攻撃に、1時間耐えられるのだろうか?
という、きわめてゲスい企画から始まりました。

その企画は、普通に深夜のヤケクソバラエティっぽく進行していったのですが
劇団ひとりの番が来た時に小さな奇跡が起きました。
そこに現れた 当時ロリ系AV女優として人気がある・・・ということでキャスティング
されたにすぎなかった一人の女優との出会いが、劇団ひとりの
アドリブ芝居の才能を開花させたのです。
その女優の名はみひろと言いました。

二人は単にキスをするしない・・・というやりとりを発展させて恋人たちの
切なくも悲しいラブストーリーを即興で作り上げて見せました。

ここまでは、まあ『キャラ合戦』みたいな所もありました
ところが、1年後
レギュラー番組となったゴッドタンが満を持して2回目の『キス我慢』を
行います。
前回同様何も知らされていなかった 劇団ひとりの前に
現れたのは、高校生姿のみひろ。

そこで 本当の奇跡が訪れます。
みひろは劇団ひとりにも制服を着せて、二人は即興で学園ドラマを演じて見せます。
攻めるみひろ・答える省吾。
さらに、それをドラマっぽく撮りだす技術陣。
文字通り筋書きのない即興ドラマは、
誰も分からない結末へと突っ走ったのです。

これこそが、テレビ界でも珍しい、即興芝居バラエティが誕生した瞬間でした。
この第2回『キス我慢選手権』をきっかけに
劇団ひとりとみひろは、数々の名作エチュードを完成させます。

このフォーマットの秀逸な所は
かのヒッチコックが『ロープ』で試した、オンタイム・シームレス映像劇を
本当にオンタイム&アドリブで実現してしまったという所にあります。

つまり、ヒッチコックは舞台劇の中継であるかのように
実験をした映画を撮ったのですが、それをテレビマンたちが真顔で
やってみちゃったわけです。

しかもその『やってみちゃった』きっかけさえも
みひろとひとりの、奇跡の出会いに引きずられて決まっちゃったという
全てがまさに偶然の産物なわけだったのです。

その『奇跡の偶然』はついに、テレビ東京の深夜バラエティをスクリーンにのせてしまいました。

この『キス我慢選手権』は
主演男優は何も知らないまま、アドリブで動くという事のほかに
それを 同時におぎやはぎやバナナマンが、見てコメントをしているという
通常の映画の何倍も大変な企画です。

つまり どう動くか分からない主演男優をとらえるべく
20台近いカメラが構えていて、
それが相互に映らないようにしつつ、当然音声マイクや照明も
映らないようにして、
それでいて、その映像を同時にモニタールームに送らなくてはいけないのです。

映像を同時に中継車に送るためには
映画のフィルムカメラと違って、テレビカメラは中継車とケーブルで
物理的に繋がっています。

つまりカメラマンはケーブルを引っ張った状態で
四方八方にいる自分の同僚のカメラを映しこむことなく
どう動くか分からない劇団ひとりを映していたわけです

さらに、当然カメラマンが動けば足音がします。
ケーブルが地面につけば、引きずった音がします。
そんな雑音をカットしつつ、音声をクリアーに録音した
音声マンは、今回奇跡的な仕事をしたと思います。

普通の映画は一カットずつ撮って編集すればいいわけで
カメラはいくらでも逃げられます。
でも、この映画はそうは行かないのです。

それをオールロケで、ほんとに24時間でやりきった
制作・技術スタッフの苦労話は、パンフレットに載っていますが、
正直言って、それも爆発的に面白いです。

この映画は、だれも分からない結末に向かって
運命だけが引っ張っていくという意味で
まさに『お笑い地獄の黙示録』です。

そして『地獄の黙示録』のメイキング『ハートオブダークネス』が
現場の混沌と狂気を描き出しているのと同様、
現場スタッフのコメントからも、同じような 濃厚な狂気があふれ出ていました。

是非DVDにはメイキングをつけて欲しいです。

映画自体のクオリティ云々については、
この作品が 撮影形式における革命性 を持っているという
その一言に尽きます。

なにしろ 映画120年の歴史の中で
『主演男優が何も知らない』
『オーディオコメンタリーを同時に撮影する』
こと自体が無かったことなのですから。

実は手の込んだテレビバラエティをちゃんと作りこむことは
映画を撮るより難しいわけで、
今回 ゴッドタンのすべてのスタッフは、その難題をクリアーして見せました。
その情熱が全てだと思います。

私は同じテレビマンとして、彼らに最大限の賛辞を送りたいと思います。
by AWAchampion | 2013-07-06 21:48 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(1)

今日、シルク・ド・ソレイユの「マイケル・ジャクソン イモータル」ツアーを
見に、横浜アリーナへ行ってきました。

これは、マイケル・ジャクソンの様々な曲に合わせて
シルク・ド・ソレイユのサーカスショーの世界が繰り広げられるというものです。

で、ネタバレと言う感じのものでもありませんので感想書いちゃいますね。

マイケル・ジャクソンの曲は素晴らしいものばかりで、
シルク・ド・ソレイユも演者が素晴らしいアクロバットを見せるわけで
まず、悪いわけはありません。

その事を念頭に置いたうえでの話ですが
元々マイケル・ジャクソンが数々のスーパークリエーターと
作り上げたPVの世界が凄すぎて
正直 シルクの世界とシナジー効果を出していたとは言えない感じがしました。

たまにものすごくいいシークエンスもあるんですが
全体的には、どちらかと言うと、後ろで流されている映像の素晴らしさに
見とれて 
マイケル=カレー
シルクのパフォーマー=福神漬け ぐらいの差がありました。

理由は多分、演出家がマイケルの歌の歌詞に引っ張られ過ぎて
世界観を作り出しているので、どうもファンキーじゃないんですよねぇ。
元々はモータウンの人なんだし、もっと理屈じゃないカッコよさを追求して
欲しかったなぁ・・・・。と思いました。

後半15分。
ジャクソン5の「I'll be there」から以降は畳み掛けるのが
とても良かったですが、そのテンションが初めからあればなぁ・・・と思いました。

あと、「I want you back」とか「off the wall」とか「Rock with you」が
出てこないってどういう事ですかね?
もっとファンキーに行きましょうよ!特にマイケルのソロデビューアルバム
「off the wall」からほとんど曲がチョイスされてないのがアカンですよ!

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ここから先は賛同者がいないかもしれないので
余談で書きますが、マイケル存命中の時
マイケルが「heal the earth」とか言っても あまり好まれなかったじゃないですか?
私もその口です。正直そういう事を言い出す前の、ペプシのCMでやけどする前の
マイケルが大好きでした。
1970年代~1984年ぐらいまでのマイケルは最強です。
その頃のKING of POPだった、黒人カラーの強いマイケルの
ショーが見たいです!
by AWAchampion | 2013-05-19 21:27 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

いやはや 封切から3か月たって ようやく見ることが出来ました。
映画版「レ・ミゼラブル」です。

この映画はミュージカルとして全世界で大ヒットした
キャメロン・マッキントッシュ制作版「レ・ミゼラブル」の映画化です。
もう皆さんのほうが先に見てるでしょうから、ネタバレしますけど
良いですよね?

映画はほぼ ミュージカルと同じように
セリフの部分がなく 歌ですべてが進行します。
その歌もほぼ 舞台どおりですので イントロとか間奏の部分などは
サイズが違いますが ほとんど舞台の時間通りに進みます。

舞台では 何もない回り舞台の上に囚人たちがつるはしを使って
炭鉱で働かされている様子から入りますが
この映画では 巨大な船舶の艫綱を引いている囚人たちの
描写から入ります。

その後はシークエンスの頭とお尻だけ「修道院」「パリ」「パリ郊外のある市」など
の引きの絵が入り、あとは殆ど人間のアップで構成された世界の中で
役者たちが 実際にカメラの前で歌い、演じます。

MGM映画の昔から 本来ミュージカルはリップシンクと言い
事前に録音した音源を流しながら 口パクするのが普通です。
というのは、別にそれは楽をしているからではなく、映画は1台のカメラで
様々な角度を何度も撮っていくものなので
毎回ブレスの位置などが違っては 合わなくなってしまうからです。

映像の、特に照明を最高のクオリティに保つためには 1カメラで撮るのが
最適ではありますが、テレビドラマなどでは 数台のカメラで一度に
ワンシーンを撮る 「マルチカメラシステム」というのを採用しています。

これを映画で最初にやったのが 黒澤明監督の「天国と地獄」で、
今ではテレビ出身の映画監督も増え、カメラのコストなども下がったことから
映画もマルチカメラで撮られることが多くなりました。

で、この映画はどうやら一度に毎回3台のカメラで撮り、役者はちゃんと
歌をワンフレーズ歌いながら撮影していたようです。

やはり感情を入れて歌い切るには そう何度も出来るものではありませんし
曲をある程度の長さ歌ったほうが良いわけです。

ということで、ほとんどのカットがクローズアップになるという
ミュージカルとしては非常に珍しい映画となりました。

これはこれで良いと思いました。
丸刈りの女性(アン・ハサウェイ)を見て 誰もが無声映画の傑作
カール・ドライヤー監督の 「裁かるるジャンヌ」を思い浮かべたことでしょう。
これほど力のある役者、完璧に近いキャスティングをしたので
あとはアップを撮っていくというのは、映画の一つの割り切りとしては
アリだと思いましたし、私も何度も何度も泣きました。

それを大成功だと思いつつも しかしそれは私が既に
舞台版「レ・ミゼラブル」を最前列でも一番後ろでも 東京でもロンドンでもNYでも
述べ30回ぐらい見ているから、流れも話も人の配置も分かってるからなんじゃないかな?
とちょっとした疑念もあることはあります。

まあ世界で既に6000万人が見た ここ30年で最高のミュージカルなんだから
見ている人向けに作っても良いとは思いますが
テレビマンとしては、もう少しシーンや 背景、今 おかれている空間的配置などについて
説明が丁寧にあっても良かったんじゃないかな?という気もしました。

私自身 見ていて 舞台の素晴らしいスペクタクルな場面をまず想像し
その出演者を鹿賀丈史からヒュー・ジャックマン  村井邦夫からラッセル・クロウに
置き換えてみていました。

舞台の素晴らしい演出ありきのクロースアップ映像なんじゃないかな?という
気はします。

その意味では ヴィクトル・ユーゴーの長大な小説「ああ無情」を
休憩を含めて3時間半に閉じ込めて、前半を役者の肉体中心で、
後半を巨大なバリケードのセットを絡めて スペクタクルだけどシンプルで象徴的な
素晴らしい演出をした
ロイヤル・シェークスピアカンパニーの 鬼才演出家 トレバー・ナンと
カナダ人演出家 ジョン・ケアードの二人の仕事の凄さについて
改めて驚嘆せざるを得ないのです。

私がミュージカル「レ・ミゼラブル」を帝国劇場に見に行ったのは
1991年 当時お付き合いしていた カナコちゃんに連れられて行ったのが最初ですが
彼女の事をすっかり忘れるぐらい感動したのを覚えています。

映画も素晴らしかったですけど、やはりあの時のファーストコンタクトの
「とんでもないものを見た!」感は 舞台版の感動を超えられない気がしました。

「超A級の映画だし 見るべきだし アリな手法だけど
全ては ミュージカルを見てからじゃないと始まらない」というのが私の感想ですね。


多分マリウスが バリケードから助けられたけれども ジャン・バルジャンだとは
気が付かない・・・とか、
ジャン・バルジャンは市長として大変尊敬されていた。だから逆に
ジャベールに目をつけられた。とか
そのあたりの描写は飛ばし過ぎな気がしました。

あと舞台では 第一部の最後になる 素晴らしい「One day more」も
アップショットの積み重ねだとああなりますよね・・・。
あそこは はっきり舞台の方が良かったと思いました。
もっとドイツ映画の傑作 「会議は踊る」の
「ただ一度だけ」のシーンみたいにすれば良かったのに?という気はしました

舞台は 全体が見えて 視点の変化は観客が勝手に想像力で行うんですけど
映画は 観客の視点を支配してしまうだけに、もう少し象徴的な美しい引きの絵が
多くても良かったんじゃないかな?とは思いました。

特にエポニーヌのソロ 「On my own」ですよねぇ・・・。
あそこは 島田歌穂さんが 舞台を一人歩きながら歌うほうが良いですよねぇ・・・・。
いや、映画は映画で良いのよ。
良いんだけどね・・・。あの舞台と比べちゃうとねぇ・・・、

特に曲調に合わせて 舞台では照明が変わったりするんですよね
それが舞台のスペクタクルを醸し出しているんですけど
そういう所は 映画でも導入しても良かったんじゃないかな?と思いました。

「In the rain. the pavement shines like a silver」ですからねぇ・・・
やっぱりペイブメントは シルバーに光って 川のようにもう少し見えても
良いんじゃないかな?というのは 誰しも思いましたよね?
頑張ってはいましたけどね・・。痛いほどやりたいことは分かりましたけどね。
そこまでリアリズムじゃなくても・・・って気もしませんでしたか?
そぼ降る小雨の中、一晩中マリウスの事を思いながら歩く・・・って歌なんですから
夢の部分は夢でもいい気がしました。 

舞台版では 照明はすべて赤っぽいロウソクの明かりっぽくしてあるんですが
登場人物が死ぬと 真っ白な「天上界からの光」が当たって 「天に召された!」
という感じを サス照明一本で表現しているんです。

それが最後の ジャン・バルジャンの死のところなんか 
とんでもなく効果的になってるんです。
照明部に関しては はっきり舞台の方が良かったかなぁ・・・。
by AWAchampion | 2013-04-18 16:15 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

クェンティン・タランティーノ監督の新作で、
今年のアカデミー賞の「オリジナル脚本賞」を
受賞した「ジャンゴ 繋がれざるもの」を見てきました。

例によってバッチリネタバレしますよ!見てない人はとにかく逃げて!











はい!
ということで、タランティーノも早いものでもう8作目なんだそうです。
今回は西部劇。それもマカロニ・ウェスタンに
強くインスパイヤーされた作品です。

何しろ「ジャンゴ」は、「続・荒野の用心棒」以来の 
イタリア製西部劇のメインキャラクターですからね。
冒頭から「続・荒野の用心棒」の英語版テーマソングがかかります。

ストーリーは南北戦争の5年前、当時神聖ローマ帝国下で、
欧米列強唯一アフリカの黒人奴隷と
縁のなかったドイツ、デュッセルドルフ出身の 
賞金稼ぎ キング・シュルツが
賞金首を探すために、奴隷として売られる最中の
ジャンゴを強引に買い取るところから始まります。

シュルツは黒人奴隷には反対で、
ジャンゴを同等のパートナーとして扱い
彼に馬と服を与え、同じ宿で泊まります。 
当然南部の人は驚き、彼を殺そうとしますが
シュルツは素晴らしい腕で、そういう南部の人々をバンバン殺していきます。

またシュルツはジャンゴに射撃を教えます。
ジャンゴは筋が良かったようで、どんどん習得し
やがて早打ちではシュルツに負けるとも劣らない腕となります。

シュルツはジャンゴと、目的の賞金首を倒すことに成功。
そしてジャンゴの、引き裂かれた妻を探すために、
南部の中でも最も差別の厳しいミシシッピー州の
さらにひどいプランテーションに向かいます。
そこには サディスティックな主人 キャンディと
、彼の忠実な黒人執事 スティーブンがいて
やがて彼らとの闘争に発展していくのです・・・。

という話で、南北戦争前のミシシッピーで、
もし黒人の「賞金稼ぎ」がいたら?という
相当なおとぎ話です。

しかしとにかくタランティーノは、極端な設定の中で
キャラクターを生き生きと動かすことが
得意です。今回も登場人物はそれぞれ
ちゃんと動機を与えられており、(それがまた
いちいち極端ではありますが)見ていて引き込まれていきます。

タランティーノは基本的に都会派で、会話劇の人です。
マカロニ・ウエスタンはどちらかというと、
メキシコ国境あたりに舞台が設定されていて
簡単な英語で事が進むようなものが多いですが・・・
(書いてる本人がイタリア人ですから)
タランティーノは 西部開拓時代ではなく、西部劇の中でも比較的近年の方の
南北戦争あたりの、南部プランテーションに物語を設定することで
西部劇とはいえ、かなりの会話劇に仕立ててあります。

もちろん黒人がある程度人として扱われる時代に
話を持ってこないとダメですから
時代考証的にこの設定となったのでしょうけれど、
結果としてタランティーノは
やりやすかったのではないでしょうか?

そのため、いわゆる無言で打ちまくるマカロニウエスタンというよりは
「黒いジャガー」などの1970年代 
黒人映画の趣のほうが強かったように思います。
実際 使われている音楽も モリコーネっぽいエレキギターとかくちぶえでなく
ヒップホップだったりしましたからね。

そして役者が非常に良いですね
前作に続いて オスカーを受賞したドイツ人俳優 クリストフ・ヴァルツ
ジャンゴ役の ジェイミー・フォックスはとてもいいですし
もちろんデカプリオやサミュエル・Lジャクソンは良い仕事をしています。

これも要するに極端でわかりやすい
キャラづくりを与えられているところが大きいです。

いろんな意味でタランティーノの映画は漫画っぽいんですけど
それが、彼のダイナミックな脚本で、
「こんな話ねえだろ!」という話が生き生きとするというのが
不思議な作家です。
 
この題材はアメリカの恥部であり、今も根強く残る問題なので
どうしても彼も政治的な話をさせられているところもありますが、
はっきり言ってタランティーノは
黒人問題とかあまり興味ないと思います。

とにかく変わった題材で、変わった映画を撮れる喜びを
純粋に感じているんじゃないでしょうか?

彼は現場でもう1テイク行きたいときに こういうそうです。
「なぜ、もう1テイクあえて撮るのか?それは俺たちが映画ファンだから!」
これは良い言葉ですね。


あえてぶっちゃけ言ってしまうと、本当はこのストーリーなら
ジャンゴは初めてキング・シュルツと一緒に泊まった宿で
リンチにあって殺されてますよ。
だって、ミシシッピーって今でも黒人と白人の区別はかなり明確にあるんですから。
まあ、でも、ほんとおとぎ話ですから・・・その辺は目をつぶりましょう。
by AWAchampion | 2013-03-08 11:20 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

ああ・・・大島渚が亡くなってしまった。
確かに10年以上も闘病生活を続けていた方ではあったが
心のどこかで復活して、「雪舟」を撮って欲しかった。
ショックが大きすぎて 何を書いていいのか分からない。



私は、大学時代に大島渚監督の映画を
文芸座などの名画座で本当に良く見ました。
大島監督ご自身のトークショーにも足繁く足を運び
サインなどもいただいちゃうような、大島渚の大ファンでした。

彼の映画は本当にすべての映画が革新的で、
今まで見たこともないものばかりでした。田舎から出てきた
純朴で、頭でっかちの映画青年は、彼の映画を見るたびに
ドキドキさせられていました。

特に「新宿泥棒日記」で、閉店後の紀伊国屋書店が世界中の言霊で
満ち溢れるシーンや、
「絞死刑」の、演出の巧さ。
「日本春歌考」の、ただならぬ難解さと、そこに漂うかっこよさ。
「戦場のメリークリスマス」に溢れるリリシズム。

本当に素晴らしい映画監督でした。

大島渚監督はフランスではレジェンドとして
知られていますが、日本での再評価は進んでいないように
おもいます。

今こそ大島渚の作品を掘り返すべきです!

そこには世界一トンガった映画監督の
みずみずしい映像が詰まっているからです!

大島監督の作品を3つ挙げます。
是非機会があればご覧下さい。

「絞死刑」 死刑を執行された死刑囚が死なずに記憶喪失になってしまった。
       刑法では罪を覚えていないものを死刑には出来ないとある。
       そこで死刑執行官や牧師たちが、彼に罪を思い出させるために
       即興劇を演じてみるのだが、
       演じれば演じるほど矛盾が浮かび上がってくる・・・という一幕物

「新宿泥棒日記」 学生運動が盛んで、さらに色んなアングラ芸術が
           グツグツと生まれていた1968年の新宿を
           横尾忠則主演で描いたドキュメンタリーとドラマの
           あいだの物語。

「戦場のメリークリスマス」 世界の北野武を映画の世界に導いた作品
                 坂本龍一・デビッド=ボウイなど国際キャストで描く


「絞死刑」予告編


以前の記事
「日本春歌考・・・そのかっこよさ」
http://rokada.exblog.jp/13023132/  
               
故人のご冥福を心よりお祈りいたします。
by AWAchampion | 2013-01-15 20:38 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

昨日、JCBに勤める従兄弟から
「実は弊社のOLさんが、宝塚風の劇団に入っているのだが、
その公演があるから、倫太郎くん一緒に見に行かないか?」と
お誘いを受けました。

そこで池袋のとあるホールに見に行きました。
劇団の名前は 劇団クラーナ・ジュネスさん

ポスターを見ると お芝居とレビューの二本立てで
しかもレビューのところに バ~ンと
「ロマンチック・レビュー」と書いてあるではありませんか!

え?ロマンチック・レビューっすか?

ちなみにロマンチック・レビューとは 宝塚歌劇団で
私の父 岡田敬二が提唱する レビューの路線のことであります。

長男の私が知らないロマンチック・レビューがあったとは?
ぬぬぬ・・・?

しかもレビューのタイトルが「アムール・ローズ」ですよ。
おやおや?「Amour それは」と「Rose Garden」という作品が
父にありますよ・・。
もしかして岡田敬二ファンなのでは?

というわけで見てみました。


いやぁ・・びっくりですよ
ちゃんとお芝居を80分 レビューを45分と
本家 宝塚歌劇の本公演の90%ぐらいの分量の公演をやるんですよ。

しかも衣装とかもちゃんと 男性が宝塚風のドレス燕尾服みたいなものを
着ていたり、女性も いかにも宝塚の娘役が着そうなドレスを着ていたり・・。

さらにお芝居で言うと、ちょっとした 宝塚風の変なギャグとかあるじゃないですか?
ああいうのも完コピ。

セットこそありませんでしたが、なんかバウホールの公演を見ているような
気分になりました。

もちろん演者の技量は、そりゃタカラジェンヌと比べるのは野暮ですが
「出来るところは 確実に宝塚クオリティに近づけよう」という意図は
強く感じましたし、思っているよりもずっと良く出来ていました。

レビューの方も 
まあ、そりゃ言えば色々ありますが、構成としては
「ああなるほど、このへんでいつも黒燕尾の羽山先生風の踊りがあるよねぇ・・。」みたいな
事も完コピ。

子供の娘役さんが「私は初恋の魔法使い~♪」なんて歌って、
膝から曲げて両足ジャンプしながら踊るところなんか 爆笑しました。
ありますよねえ・・・中盤あたりにそういうネタって。

宝塚ファンであればあるほど、なんか楽しめる感じでした。

出てらっしゃる方も 微妙に団長さんが汝鳥伶さんに似てたりとか、
なんかそう言う感じで とても面白かったです。

それから タイトルの割には 特別ロマンチック・レビューっぽくはなく
むしろ阿古先生とかを思い出しながら見ていました。
by AWAchampion | 2013-01-12 15:46 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)

昨日の11月3日は文化の日でしたね。
いつもの週末は色々と宿題を抱えていて、あまり余裕がないのですが
珍しくこの週末はそれほど宿題がなかったので
思い切って 映画を近くのシネコンで3本見ました。

それが「アウトレイジ・ビヨンド」「アルゴ」そして「エクスペンダブルス2」です!
先の2本の映画についてはコラムを書きました。
そして漢の映画「エクスペンダブルス2」も感想を書いちゃいますよ!
ネタバレします!


けど、まあいいよね。
ネタバレしようがしまいが、結局スタローンと筋肉戦士が暴れて勝つ映画ですよ。
そのままお読みください。

ストーリーは、ざっくり言うと スタローンは民間傭兵チームのボス。
仲間はドルフ・ラングレンやジェット・リー。
彼にヤバめの依頼をするのは FBIのブルース・ウィルス

そして同業者の猛者に、アーノルド・シュワルツネッガーや、チャック・ノリス

今回現れた最強の敵がジャン・クロード・ヴァンダムという
もうありえないオールスターキャスト。

きゃっほ~!

スタローン・シュワルツェネッガー・ブルースウィルスが
3人並んで、マシンガンをぶっぱなしたり、
スタローン対ヴァンダムの戦い
「ロッキー」対「キックボクサー」ですね・・・があったり
もうとにかくいちいち夢!漢の夢!

肉汁たっぷり漢祭りですよ!

それに 前作は確かにオールスターキャストではありましたが
ぶっちゃけ それだけの作品で
中身はB級というかC級な映画でした。
それはそれで その荒さが可愛かったですけどね。

今回は違います。
前作のヒットを受けて、ちゃんとブロックバスタームービーとして
制作されていて、監督もスタローンじゃありません。
つまりしっかりした映画なのです。

この手の筋肉ソルジャーが みんな高齢化しているのは
ちょい気になりましたが、
それでも 本当に素晴らしい バカ爽快筋肉映画でした!

特に前作オファーを断り
今回満を持して出てきた ジャン・クロード・ヴァンダムは
とてもとても良かったです。

こういうサイズの映画にとにかくあってます。
それに彼のベルギー訛りの英語が
悪役っぽくて素晴らしいです。

こういう映画を見たかったぜぇ!

きゃっほ~!
by AWAchampion | 2012-11-04 15:17 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)