2010年 04月 29日
「幸福の黄色いハンカチ」デジタルリマスター版を見ました
10時半から晴れて休みに突入しました。
そこでふと東劇を見ると、なんと
「幸福の黄色いハンカチ」のリバイバル上映がやっているでは
ありませんか!
もちろん日本映画の名作ですし、見たことはあります。
でもその昔、子供のころにテレビで見ていたので
劇場で見たことはありませんでした。
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そういえば・・・。
この映画をテレビでやると
一緒に見ていた父が必ず、
「な!これいい映画だろ?」
「あのな、このあと武田鉄也がこけるぞ!ほら!コケタ!面白いだろ?」
と、興奮してか、ことごとく展開を先回りして解説するので
非常にうっとうしく、良い想い出がなかった事を、
今思い出しました・・。
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良い機会ですし、ぜひシネスコで見たいと
11時からの回を見ました。
この映画を大スクリーンで見ると、意外と
ストーリーはあっさりとしていて、撮影&編集はざっくりして
いることに気がつきます。
いわゆる映像の錬度に関しては、結構荒い感じがしました。
それでもこの映画がすばらしい光を放っているわけは、
やはり役者のすばらしさにありますよね。
とにかくキャスティングがすばらしい
いやぁ、武田鉄也。さすが出世作で
田舎臭いです。
何をやっても「気をつけろ!この百姓!」って叫ぶ辺りも
田舎臭くてすばらしい。
でも変なハイテンション芝居ではなく、本当に田舎臭い
感じでリアルです。
それに輪をかけて桃井かおりのイモ臭さもすばらしい!
もともとロンドンでバレエ留学したお嬢様で
「青春の蹉跌」で鮮烈なヌードを披露したりした
直後で、本当は最高にイケてるはずの時期に、
まぁ~~~田舎臭い!
もともと山田洋次監督自身の作風が
田舎臭くて垢抜けない、松竹大船調ともちと違うものなのですが、
そのひとが「田舎臭く」演出したわけですから
それはそれは イモ臭くてすばらしいです。
そのカップルと対比する高倉健&倍賞千恵子夫妻は
凛としていて、それでいて不器用で
さすがです。
キャラクターを掘り出せば、荒くてもすばらしい映画になる!
という見本のような映画でした。
しかし散々荒いなどといいましたが
逆に黄色いハンカチが吊ってあったあたりからの演出は抑制が
効いていて、実は前半のロードムービー部分の荒さが
わざとであったことが良く分かります。
健さんと倍賞千恵子の再会を、ドンビキで
音声なしで見せるんだから素晴らしい。
ポランスキーも言っていますが、
「映画では一番見せたいものは
隠すものだ・・・。そうすると観客はそれをどうにかして見ようとして
自分達から映画の中に入ってくる」
まさに山田監督の術中にはまりましたね。
今の映画だと・・・特にテレビ局でディレクターを経験した
私のような演出家だと、そこを360度円形レールとか使って
超盛り上げようとしますが、それは実は逆なんですよねぇ。
by AWAchampion
| 2010-04-29 19:10
| 映画・演劇など
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