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映画「ザ・マペッツ」を見ました

さてさて、ディズニー映画「ザ・マペッツ」を見てきました。

日本制作版 セサミストリートの演出家として、セサミワークショップから公認を得ていて、
自他ともに認める 日本の映像パペットショーの専門家ですからね。ワタクシこれでも。
そこで真剣にじっくりとみてまいりました。

例によってネタバレしますので、またご覧になっていない方は
逃げてくださいね!











というわけで、見てきました。

もともとセサミストリートや、スターウォーズの「ヨーダ」、ミュージカル「アベニューQ」でおなじみの
【マペット】とは、1950年代半ばに ジム・ヘンソンによって作られた同時録音人形劇の
人形を表す言葉で マリオネットとパペットを合わせたものでした。

ジム・ヘンソンはその後 1969年に教育番組「セサミストリート」を立ち上げ、
世界的に大ヒットさせます。

初めのころのセサミストリートの主役は 
今いるビッグバード・クッキーモンスター・アーニー&バートと
カエルのカーミットでした。

その後カーミットはセサミだけでなく パペットの象徴的な存在となり
「パペット・ショー」の成功とともに
セサミストリートを離れます。

セサミでは1980年代に天才パペティア ケビン=クラッシュが操る 赤いパペット
エルモがエキストラから主役に抜擢され、今は主役となっています。

70年代にエミー賞までとった カーミットはその後、
ディズニーにキャラクターを買われますが
そこであまりぱっとしない 21世紀を迎えます。

そして・・・・・今回の映画となるわけです。

ストーリーは パペットショーにあこがれる小さな町生まれのパペット ウォルターが
兄と兄の婚約者とともに ハリウッドを訪れるところから始まります。

ウォルターにとって夢の工場であったパペットシアターはいまや寂れ、閉鎖寸前。
悪いお金持ちに 騙されて地上げにあいそうになっています。
それを救うためには 1000万ドルのお金を集めなくてはいけない!
偶然それを知ってしまった ウォルターは ハリウッド中を駆け巡りカーミットを探します。

ハリウッドの片隅に住んでいたカーミットは、仲間を集め
資金を集めるために再び「パペットショー」をやろうとしますが、すでに忘れられた
時代遅れの存在であるパペットたちは なかなか賛同者が集まりません・・・

なんとか「パペットショー」開催にこぎつけたのですが・・・。

というお話です。

このお話を貫いている「パペットは時代遅れ」というメッセージは
私をグサリと傷つけましたよ。
まあ、判ってはいますが
「アメリカのご本尊が自分で言わないでよ」という感じです。

劇中で カーミットたちが テレビ局を回って「パペットショーをやらせてくれ」と
直談判するシーンがあります。
あれは、まさに私の日頃の活動そのものなのです。
日本版セサミストリートが 志半ばに終わり、
あの時のスタッフやキャストもバラバラになってしまった中
私は 自分に権利のあるパペット ルルノンとララノンを連れて
さまざまなテレビ局や出版社に 今も持ち込んでは 「パペットショー・・・・・ねぇ。」と
プロデューサーさんたちにため息をつかれています。

ですから、なんだか「本家はそういうこと言わないで!」と叫びたくなっちゃいました。
ちょっとこのネタだと、私は作品に対して適切な距離が取れないです。

その後 パペットショーが大成功するシーンは
本当に 私の身にもこういう事が起こればいいなぁ・・・・という事ばかり考えていました。

私自身 この中のパペットショーと同じようなことを作る演出家です。
正直言って 中のパペットレビューに関しては
「俺のほうがいい物作るなぁ」とは思いましたが、
しかしアメリカでちゃんと こういう映画が
作られることに関しては本当にうらやましかったです。

ただ、お話はちょっとねぇ・・・。
セルフパロディが多いのが気になりました。
「今更 パペットミュージカルをやる」ということにちょっと照れがある気がしました。
同じパペットショーの演出家としては、そこは胸を張ってやってほしかったです。

もし同じチャンスが私にあれば もっといいものを作ります!
これは断言できます!

でも、話はともかく、パペットショーの理想を映画に込めた
ジム・ヘンソンスタジオの皆さんの熱意にはとても打たれましたし、
私も勇気が出ました。
私だけが荒野を走っているわけじゃないと 思いましたよ!
by AWAchampion | 2012-05-28 19:56 | 映画・演劇など | Comments(0)