「万引き家族」を見ました

少し前になりますが 今年のカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した
是枝監督の「万引き家族」を見てきました。

もう公開もほぼ終わりかけなので ストーリーも含めて書きます

安藤サクラとリリー・フランキーの夫婦は
樹木希林が亡き夫と住んでいたぼろ屋に
息子と、樹木希林の孫 松岡茉優と5人で住んでいた。

リリー・フランキーは息子に 万引きの手伝いをさせていて
一家はそれで生計を立てていた。
リリーは一応 工事現場で解体屋の下働き
安藤サクラは クリーニング工場でパート
松岡茉優はJKリフレの店でいかがわしいバイト
樹木希林は 亡き夫の後添えの家庭を定期的に訪れてユスリ。
それぞれひっそりと暮らしていた。

そんな冬のある日 リリーと息子が万引きを終えて自宅に帰る途中
虐待を受けている5歳の少女を見つけた
やるせなくなり その少女を自宅に連れて帰る二人。

彼女の身体の傷を見て、そのまま彼女を家に帰さずに6人目の家族として
迎えたのだった・・・。


と言う話なのですが
話が進むにつれ、実はリリー&安藤サクラの夫婦と樹木希林、息子とも血縁がなく
要するに二人が拾ってきた【万引きされて連れてこられた疑似家族】だという
ことが明らかになっていきます。

それが是枝さんの淡々とした、テレビドキュメンタリーのリアリティとも少し違う
それでいて昔の東映の「作られた汚らしい貧困描写」とも違う、
まさに 戦後すぐの イタリアの巨匠 ヴィットリオ・デ・シーカの
ネオリアリズモみたいな筆遣いで描写されていきます。

多分着想としては 尼崎の疑似家族殺人事件みたいなモノだったんだと思いますが
それを、今村昌平監督なら「人間は結局欲で生きてるのよ」みたいな 
「身もふたもない」動機から生まれる悲劇のような喜劇を描いて、その下品さで
ハッとさせるのでしょうし、
今井正監督なら「名も無く貧しく美しく」貧者のプライドみたいなモノを前面に出すのでしょう。
しかし、是枝監督は 今平さんほど 人間を虫眼鏡で見る感じでは無く
かといって今井監督のようにガラス細工にするわけでもなく、
まさにテレビカメラぐらいの 「2週間に一日ずつ 1年追います」みたいな
距離感で 良い頃合いで描いてきます。

それが可哀想じゃない 貧しさを描いていて良かったと思いました。
ちゃんとフィクションだと思いますし、ちゃんとフィクションの技法で
詩的に昇華しようとしていた部分がたくさんある、映画だと思いました。

イタリア映画でも 多分これがデ・シーカじゃなくて フェリーニなら
安藤サクラはもっとデブおんなで、近所の男の子に性の手ほどきをしまくってるんでしょうし
ベルトリッチなら 安藤サクラはパート先のクリーニング店の亭主と情を交わし
クリーニング店に釣ってある色とりどりの衣装が、なぜか絡み合う二人の上に落ちてきて
色彩鮮やかなシーンに仕立て上げるのだと思いますが、是枝さんはとにかく
上品に描き出しました。

正直パルムドールとしては物足りない気もしないではないですが
良い映画である事は疑いも無いと思います。



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by AWAchampion | 2018-08-03 14:31 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)