ベルイマン「仮面・ペルソナ」

「スゴ~イデスネ視察団」は、もともと4年ほど前 12月もクリスマスを迎えようか・・・
 もう今年は仕事納めかしら・・・何て思っていたときに 旧知だった共同テレビのSプロデューサーから
「岡田さん、助けて」と電話があり、12月25日にチームに入ってみたら1月4日からのロケの
台本どころか取材もろくにしていない状態で、12月26日に局と元請け制作会社の方に初めてお会いしたら
いきなり怒られまくって、そこからスケジュールを切ったりロケの流れを作ったりして
なんとかかんとか濁流に巻き込まれるように仕上げたのが 最初でした。

 そんなバタバタで、ぶっちゃけ全く上手く行かなかったので、さすがにもう無いかな?と思っていたら
プロデューサーの稲垣さんに「次もお願いします」とお声がけいただき、そのままズルズルと?いや喜んで番組に入れていただいて 今に至っています。
で、9月1日放送の回が久々に番組に入れていただいたので、旧知を温めると言う感じで稲垣さんと
何度かサシ飲みさせてもらいました。
 元々 立命館大学の映画研究会の方だったというのは知っていたのですが、ゆっくり話してみると
私より少しお若いのですが、私も早稲田大学映画研究会の部長でしたし、なんというか非常に懐かしい感じのする映画マニアでした。
 聞けばぴあ・フィルムフェスティバルに呼ばれて 対談トークショーをするそうで
(9月16日 17時15分からだそうです 詳しくはPFFのHPをご覧下さい)
そんな映画マニアと飲めば 当然のように映画の話になります。
特に9月1日の放送は 黒澤明だの小津安二郎だのが出てきた回です。そりゃそんな話になります。

で、そんな中で彼が「最近ベルイマンを見返したんですが、『仮面・ペルソナ』を見て、ああこんなに
刺激的な撮り方をしてた人なんだなぁと思いました」とおっしゃるものですから
見に行きました・・・

東京は「ベルイマンの作品が見たい」と思ったら スッと見られる 素敵な町ですね。



私は もちろんスウェーデンの巨匠 イングマール・ベルイマンの作品は何本か見ていますが
「野いちご」「処女の泉」「第七の封印」「夏の夜は三度ほほえむ」辺りの初期作品が
メインで、その頃の彼の作品は かなり端正な映像というイメージが強く
決してアバンギャルドな感じはしませんでした。
(よく見ると『野いちご』なども バーンアウトしての回想入りとか 無人の町の表現とか 
 いろんな格好良い表現があるのですが、内容の強さが印象的でした)

で、『仮面・ペルソナ』ですが
舞台上で言葉を失ってしまった有名女優と、彼女の担当になった若い看護婦との対話劇が
90分にわたって ほぼ二人だけ,ほぼクロースアップで構成された画の中で展開されます。

が、・・・そうです、片方は言葉を失っているのです
だからほぼ独白で構成された 作品と言うことになります。
しかもモノクロ作品なんです。

ただベルイマンはそれを、二人の構図や影などを利用して
考えに考え尽くすことで 独白が誰の独白なのか?
しばし混乱させようとします。
光と影、構図 それらを突き詰めまくった結果、もの凄く劇的な効果を上げていました。

また、その映画の中で主題として語られる 女優の自意識自体が、実は映画の中で語られている
物に過ぎない・・・と暗喩させる表現も数多く出てきて、それがアバンギャルドの粋を尽くしている
表現なのです。

顔にこだわる映画というと シネフィルならまずはカール・ドライヤーの作品
『裁かるるジャンヌ』が浮かぶでしょう。 ジャンヌダルクの進撃から裁判、そして火刑までを
彼女の顔だけで表現した 映画黎明期の記念碑的作品です。
ベルイマンの頭の中にこの映画があったことは間違いないでしょう。

また、ニューヨークインディ映画の巨匠 ジョン・カサベテスの『フェイシス』も
こんな主題の作品でした。ジーナ・ローザンスが、とある舞台の稽古のあいだに自意識と役との
間で揺れ動く様を、こっちは揺れ動く手持ちカメラで徹底的に顔を中心に追うという作品で
明らかに「ああ、この映画の影響があるんだなあ」と改めて感じました。




ウッディ・アレンは昔からベルイマンへの愛情を公言しています。
でも「野いちご」とか「処女の泉」には ウッディ・アレンがどこから影響を受けたのか?
一寸分かりにくい所がありましたが、この『仮面・ペルソナ』は なるほど~~
こういう作品を作りたかったのね?と腑に落ちる物がありました。

意外に『マンハッタン』は『仮面・ペルソナ』なんじゃないか?と思ったりもしました。
あの作品は 40歳の作家が、17歳の高校生に恋をして、様々のことを教えているつもりが 
自分の自意識を彼女に意識させられて、最後彼女から「あなたは大人になるべきよ」と
諭されるという、なんともウッディアレンっぽい映画ですが
あれを17歳の女の子にしたのは、やっぱり 語り続けることで、
逆に自意識に気づかされるという構図を作りたかったんでしょうね。
やっと、22年前に読んだ彼の自伝「Woody Allen on Woody Allen」の意味が分かりました。









 

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by AWAchampion | 2018-09-12 09:19 | 映画・演劇など | Trackback | Comments(0)