2019年 03月 15日
アカデミー作品賞「グリーンブック」
『グリーンブック』を見てきました。
この作品は1962年のアメリカの実話に基づいています。
ストーリーは
ニューヨークのブロンクスにすむ、ナイトクラブの用心棒で
粗野なイタリア系 トニーが、新しく得た仕事というのが
カーネギーホールの上にすむ 超セレブな天才ピアニストを
連れて 南部へ8週間運転手をせよというものでした。
しかしその天才ピアニストは・・・黒人だったのです。
ソビエトのレニングラード音楽院に留学した経験のある
ドクター・シャーリーはホワイトハウスでも演奏をし、
当時の巨匠 ストラヴィンスキーから激賞されるほどの才能の持ち主。
しかも品格にあふれ、上流階級の貴賓を身にまとっています。
そんなシャーリーが、まだ強く差別の残る南部諸州で
コンサートを開くというのです。
そこで、シャーリーは、トニーのような「トラブルを腕力で片付ける」
実力のある粗野な白人を雇ったと言うわけなのです。
旅を続けるにつれ、差別や危険なことに出会う二人
そのうちに、全然違う境遇だった二人のあいだに奇妙な友情が芽生えるのです・・。
という、お話を監督のピーター・ファレリーはとても人情深く
基本的にはコメディでありながら、ジンワリと心にしみる
弥次喜多道中に仕上げています。
そこで、ファレリーという名前を見ていたら・・・
ん?
あれれれ??
そうです、あのファレリー兄弟なんです。
あの、というのは ファレリー兄弟と言えば
1994年頃 デビュー作で、当時の超人気コメディアン
ジム・キャリーを、ほぼドリフのバカ兄弟みたいな役にした
不謹慎バカ映画「ジム・キャリーはミスターダマー」(原題は Dump & Dumper
ですが、これはスラングで「うんこたれ」的な意味があります。)とか、
当時キラッキラのアイドル女優だった
キャメロン・ディアスにドエロギャグをやらせまくった 下ネタ映画
「メリーに首ったけ」などの、不謹慎バカ下ネタ監督というのが
一般的なイメージじゃないでしょうか?
しかも彼らのジョークは大体障碍者だの、精神的にちょっと弱い人だの
汚物だのを使う、ホントにオゲレツ監督と言っても良いイメージでした。
それが、初めてちゃんとしたドラマを作ったそうですが
こんなに良い脚本の、しみじみとした映画を撮るとは・・・。
日本の監督で例えると、それこそ 東映のチンピラとトルコ嬢と酒とホルモンと・・・みたいな
「トラック野郎」シリーズを撮ってた鈴木則文監督が
いきなり「幸せの黄色いハンカチ」を撮るみたいなモンです。
イヤでもホント、基本的には深刻な人種差別に合う不条理な怒りを孕んだ作品の
はずなんですけど、とにかく人物描写が上手く、対比も効いていて
とても心が温かくなる映画でした。
脚本賞も取ったそうですが、それは非常に納得出来ます。
人間誰がどうなるか?分からないモンですねぇ・・・。
by AWAchampion
| 2019-03-15 23:53
| 映画・演劇など
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