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私的忘備録 3月に見た映画

余り詳しく書かずに 忘備録的に 3月に見た映画を描きます

◆「運び屋」
御大 クリント・イーストウッドの最新作
なんと90歳の麻薬の運び屋の実話を 御大が10年ぶり?に
自分の映画に主演という形で出ました。


特に何も起きないというか、設定が派手な割に淡々とした
映画なのですが、その中で90歳の爺さんが「家族の価値」を
ギャングや捜査官、それから知りあった全ての人に
淡々と説いていく姿が、最後にしみじみとした花を咲かせます。
上手いなぁ・・

◆「ブラック・クランズマン」
黒人映画の巨匠 スパイク・リー久々の作品
1970年代 南部のアリススプリングスで、黒人警官が
なんと白人至上主義秘密結社 KKKに覆面捜査官として潜入!?という
これまた奇想天外ですが実話を元にした話だそうです


スパイク・リーの映画は「マルコムX」でも「DO The Right Thing」でも
「白人と黒人は基本わかり合えない。黒人よ戦って権利を獲得せよ」
という思いが大きくあふれています。

『マルコムX』のあるシーンで、白人の活動家が、マルコムXに
「白人の私たちが黒人解放運動のために働けることはありませんか?」と
尋ねたら、一言「Nothing」と返すシーンがありますが、まさにそう言うことです。

KKKとブラック・パンサーがカットバックして描かれる構図は
まさに1970年代の雰囲気なんですが、実はその話は全て
今のトランプ政権に繋がっている・・・というストーリーで
「差別は終わっていない」という事を深く暗示させるストーリーでした。
スパイク・リーらしいし、今の日本でも色々思うところはある映画でした。

◆「ベルリン・天使の詩」
1986年に制作され、全世界的に大ヒットした ヴィム・ヴェンダース監督の
ドイツ映画で最も知られた映画です。
まだ分裂している頃のベルリンで、人の悩みを悠久の昔から見つめている
天使がある女性に恋をして、人間としての生き方を選ぶというものです。



私が高校生ぐらいの時に キネマ旬報などで大特集が組まれ
アート系映画を支えた大事な映画です
私も大学生の時に何度も見ましたが、そのお膝元早稲田松竹で
再び上映されたので見てきました

この映画ほど都市の孤独を描いた作品は他に無いですね。
私は今、独身で単身でフリーランスとして東京に長く住んでいますから
ズシンと響きました・・・・

映画を見ていて、やっぱりいろんなシーンを思い出しました。
そして一番思い出したのが、あの主役のブルーノ・ガンツの心を奪う
サーカスの女性が、実際にはヴィム・ヴェンダースの心を奪っていて
その次の「till the end of the world」では私的なパートナーであり
彼の演出面にも大きな影響を与えたと言うことですね・・・。
懐かしい。

◆「暗殺の森」
1970年に、巨匠ベルナルド・ベルトリッチ監督が作った
彼の代表作にして世界映画でも有数の映画です。
また撮影監督は カメラマンの神様 ヴィットリーオ・ストラーロ
本当に 頭からお尻まで全ての画に意味が濃厚に込められた
隠喩に満ちた 傑作中の傑作です。



ベルトリッチは他にも『暗殺のオペラ』なんかも見てるんですけど
圧倒的にこっちの方がイイ

最近の映画は、マルチカメラシステム(多くのカメラで一気に撮る)
もしくはマルチアングルシステム(何度も何度もいろんな角度から撮る)
というテレビ的な手法が、主に予算面から勧められていて
これほど 画一枚一枚に濃厚に意味を込めた作品はありません。

なので最近の映像のプロの端くれとして、とても恥ずかしくなりました。
スゴイ映画です・・・。

by AWAchampion | 2019-03-25 04:32 | 映画・演劇など | Comments(0)