2019年 05月 31日
「空母いぶき」を見ました
先日公開された「空母いぶき」を見てきました。
これはモーニングで今も連載されている かわぐちかいじ作の漫画が原作で
日本の空母が 第三国に襲われて、いやおうなしに戦闘状態に投げ込まれた・・・
その時どうする?
というシミュレーション・ウォー小説の作品でした
監督は若松節郎さん。私がお世話になることが多い 共同テレビのエース監督として
長い事知られていましたが、今はフリーでフジテレビ系のドラマを中心に撮っていらっしゃる
生粋のテレビドラマ監督です。
主演は西島秀俊と佐々木蔵之介
かなり男臭い(まあ軍隊ものですからね)映画ですが
本田翼が、たまたま空母の取材で乗り込んだ webニュースの記者ということで
出てきています。
ストーリーは原作とずいぶん変更されているそうです。
原作は 与那国島が中国軍によって占拠され、日本が
それを奪還するために 外交的戦略を立てつつ、空母いぶきを現場に向かわせて
自衛権を行使する。
しかしそのためには多くの「覚悟」が必要であった・・・というお話のようです。
で、映画はというと
近年 フィリピンルソン島あたりを根城とする 東亜連邦という国家を名乗る
集団が表れて、太平洋の国境を再画定しようと画策していた。
そんななか、日本の領土である 初島(架空の島です)に東亜連邦の船団が
上陸。日本領土を占領する形となった。そこで日本政府は空母いぶきを中心とする
船団を派遣し、終戦以来初めての戦闘状態に陥る
というかなり改変したストーリーになっていました。
見た感想はちょっと複雑です。
単純に 日本の自衛隊が交戦するというミリタリー趣味の側面については
知らないことも多いので「へ~こういう兵器があるんだ」とか「こういう風に指揮するんだね?」
みたいな ミリタリー初心者へのわかりやすい「海上自衛隊ハウツー」としては
面白かったです。
ただ、「シン・ゴジラ」の手法というか、戦闘状態の背景で日本の法律・憲法下で
なんとか国を守るためにギリギリの選択を迫られる政治家・官僚たちがメインで描かれる・・・という
構図がなんともおさまりが悪い気がしました。
「シン・ゴジラ」は意図的に膨大なハンコをもらわないと弾丸一発も打てない日本の政治システムというのを
徹底的に取材したうえでリアルに表現しつつ、こういうやり方なら国難を防げるよ?という
解決策まで見せたという映画でしたが
この作品は、そこまで踏み込んだんだろうか?という疑問が残ります。
また「シン・ゴジラ」は、まあゴジラ映画ですから戦争状態に突入することというよりも
「日本に3発目の核爆弾を落とさせない」という人間ドラマとして描かれており、まあそれは
日本人の心の中にある正義として理解できる気がしたのですが
今回の「空母いぶき」は 何度も「最低限の戦闘しかしてはいけない。相手の護衛艦に決定的な
ダメージを与えるのではなく、砲台やミサイルをピンポイントで狙って、相手の人命を失わないように
反撃せよ!」という指令が出ます。
「戦闘と戦争は違う。」
これがこの映画のキーワードで、公開前に佐藤浩市さんが「気弱で腸の弱い首相役の役作りをした」と
発言してちょっと右っぽい人の間で炎上しましたが、
確かにこの映画の思想に沿うのであれば、最後までためらう 悩み続ける総理像は
演技プランとしては正解だと思いました。
なんですけど…
戦力の暫時投入というのは、最もダメな作戦だという事は昔から言われてきましたし
最近ではAIによる ゲームシミュレーションの場面でも よくそういう場面が出てきます。
つまり、初めに敵の数を見誤ると 局地戦で負けるので 負けた分だけ ちょっとずつ兵力を投入していく・・・
すると結局ずっと 相手よりも戦力が少ない状態がキープされるので、
ドカンと戦力を増やさない限り
ただこちらが無駄に人が死んでいく・・・という理論です。
これは旧日本軍というか、元寇ぐらいからの日本のダメな伝統とも言えます。
ミッドウェー海戦も インパール作戦も 乃木大将の旅順攻防戦も とにかく1対1的な
事にこだわって、戦力を劇的に増やさなったことによる 戦略上の無駄死にが
多くの悲劇を生みました。
この映画はまさにそれが繰り広げられて、どんどん窮地に追い込まれますが、
いろんな偶然から 一応ハッピーエンドに結びつきます。(まあ映画ですからね)
しかしこれは日本国内としては「正義」に入るのかもしれませんが、
実際それで海上自衛隊の兵隊さんが亡くなる描写も出てくることを見ると
むしろ「こういう 憲法の守り方の描写はかえって誤解を招くのでは?」との
思いを強くしました。
ウォーシミュレーション小説として、これは甘いのでは?
というモヤモヤがものすごく残って、ストーリーとしては疑問符がたくさん頭の中に
浮かび上がる結果となりました。
ただ、途中出てくる斉藤由貴はとてもかわいらしくて
御年50歳とは思えない感じで そこは楽しめました・・・。
by AWAchampion
| 2019-05-31 23:44
| 映画・演劇など
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