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【7日間ブックカバーチャレンジ】の軌跡

今、自粛生活が長引く中で、ネット上では色々と、人から人へ
リレー形式でいろんなことをさせるという【チャレンジ】企画が流行っています

で、私の所には
【7日間ブックカバーチャレンジ】なるものが回ってきました
これは、今苦境にある書店や出版社を守るために
一日1冊 本の表紙をSNS上で公開するというものでした

で、私が先週フェイスブックとツイッター上に上げた本は
こんなラインナップでした

まずは1日目は
ジャズの成立を描いた絵本「リズムがみえる」
よく見ると 翻訳が金原瑞人 監修ピーター・バラカンという
なかなかの重量級ラインナップ!
こどもむけとは思えない絵本からスタート
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2日目は
90年代 日本に限らず世界中の映画青年のバイブルだった
「マスターズ・オブ・ライト」
これは、映画の撮影監督のインタビュー集で、
貴重な証言がいっぱい。映画とは写真なんだということを改めて気づかせてくれました。

イギリスの映画学校にいるときに
アメリカの学生は、ゴッドファーザーの撮影監督ゴードン・ウィルス推しで
ノルウェーの学生は暗殺の森の撮影監督 ヴィットリオ・ストラーロ推しということで
ワイワイやってたのをとても懐かしく思い出します

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三日目はこれ
葉室麟「蜩の記」
私は以前「宮崎美子のすずらん本屋堂」という書籍紹介番組をやってましたが
そのなかで、私が担当する1本目に紹介したのが、この本でした。
葉室さんはそのころはまだご存命で、直木賞をとられたばかり。
もともと北九州の地方新聞の記者さんが、一線を退いた後に時代小説を
書き始めたということで、私もインタビューをさせていただいたのですが
「地方の骨太報道マン」という風情だったのがとても印象的でした。

彼はその後 「現在の藤沢周平」と言えるような傑作時代小説を連発しますが
残念ながら志半ばに 60代前半でお亡くなりになりました。

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4日目はこれ
こちらも「宮崎美子のすずらん本屋堂」からの一冊。
私が担当しているときに本屋大賞の発表があり、当時この本も
ノミネートされていました。
辻村深月 「島はぼくらと」
直木賞作家である辻村深月は まさに青春映画の巨匠。
現在の高校生たちに絶大な人気を得ています。
私たちが大林宣彦監督に熱狂したように、今の高校生は
辻村美月に熱狂するのでしょう。この作品は離島の高校生たちのひと夏の思い出を描いた
素晴らしい作品です

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5日目はこれ!
いしいしんじ「ぶらんこ乗り」です。
いしいしんじは、まさに「現代の宮沢賢治」の名をほしいままにする
素晴らしい児童文学作家です。
彼の紡ぎだす 想像力豊かな摩訶不思議ワールドは
ファンタジー版「百年の孤独」
彼には「トリツカレ男」という作品もありますが
代表作である「ぶらんこ乗り」を上げました。私が最も敬愛する作家のひとりです

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6日目は プロレスの本から
柳澤健「1964年のジャイアント馬場」
これは 400ページを超える大著なんですが
とかく「アパー」と、晩年の馬場さんのコミカルな部分ばかりが強調されますが
実はジャイアント馬場は、戦後20年たたないアメリカの
スポーツエンターテインメントで、トップを張った
「50年早いイチロー」だったのです。
そのジャイアント馬場のアメリカでの活躍は、実はプロレスファンの中でも
あまり詳細には語られてこなかったのですが、この本では徹底的な取材で
一つ一つベールをはがしていきました。
そこには、当時力道山と日本テレビが作り上げた神話とはまた別の物語が
隠れていました。

プロレスを通じて 戦後のアメリカ&日本の闇社会なども描いた
刺激的な一冊です

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最後の7日目は やはりこれにしました
岡田敬二「岡田敬二 ロマンチック・レビュー」
これは 私が父に5時間インタビューをして書き起こした
5万字インタビューが基本となっています。

一人の演出家の ほとんどすべてのキャリアを俯瞰した
インタビューをプロのテレビマンである息子がやるというは、なかなか無いことで
「やって良かったな」と少し親孝行ができたのでは?と
感慨深かった一冊です。
それに、「レビュー演出家」という、ちょっと一回聞いただけでは
よく実像がつかめないものを、じっくり解き明かした一冊だと思います。
手前味噌ですが、ぜひ早稲田大学の演劇博物館には入れてほしいと思います。

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という7日間でした。
まあ もっと小説とかを乗せても良かったのかもしれませんが
変わった本が好きで雑学王の私としてはこういうラインナップも
良かったのでは?と思います





by AWAchampion | 2020-05-04 12:23 | 書籍・マンガなど | Comments(0)