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10月に見た映画 その2「スパイの妻」「ランボー ラストブラッド」

さて、前回に続いてですが
10月に見た映画 その2です

◆「スパイの妻」
ベネツィア国際映画祭で 「もう一人のクロサワ」として
海外で知られている黒沢清監督が銀熊賞を受賞した
話題の作品です。

ストーリーは昭和10年代
戦争の色が濃くなる神戸で、海外向けの商社を営む優作は
出張先の満州で、偶然恐るべき人体実験の様子を見る。
そこで義憤に燃えた彼は、秘密裏にその様子を収めたフィルムを
アメリカに持ち出そうとする。
その優作の事を、横浜育ちの新妻 聡子は、「どうも様子がおかしい?」
「私に何かを隠している!」
と疑い始める。すれ違う夫婦の絆、その先にあった結末は!
という戦前サスペンスです

いやこれ、素晴らしかったですよ。
スパイの妻役を、蒼井優さんが演じているのですが
彼女は若手30代女優きっての映画マニアとして知られています。
更に黒沢清監督も、元東大総長で映画評論家だった
蓮見重彦さんが、その昔立教大学で持っていた伝説のゼミの門下生です。

ですから、シネフィル同志、色々話したのでしょう。
蒼井優さんははじめ、完全に戦前の山の手言葉で、所作も当時の女性っぽく
ふるまいます。
なので、声だけ聴いていると田中絹代とか杉村春子みたいに聞こえるのです。
そんな、普通の戦前のお嬢さんが、正義と愛情に目覚めて
どんどん現代女性の自我を獲得していく中で、言葉までもっと情熱的に
変えていく様は見事でした。

彼女は少女時代の可憐な役の印象がありましたが
いまやテクニック的に唸らせる、すごい女優さんになられましたね。

また前述のとおり黒沢清監督は
元々映画マニアというか、映画を理論で習ったうえでホラー映画などを
多く撮っていた、自主映画上がりの星の一人です。
そういう人は得てして、カットを細かく一人よがりに構成したがるのですが
今回は、蒼井優の名演とNHKの豊かな時代考証に支えれれた美術があり
引きの画で頑張り、ここぞ!というときにだけ、ギラッと光る画面構成を
仕掛けました。

テーマ的なものも含めて、ベネツィアで銀熊賞に値する
映画だったと思います


◆「ランボー ラストブラッド」
『スパイの妻』のような良い映画を見た後は、バカ映画を見たくなるのが私…。
御年75歳の老マッチョ シルベスター・スタローンが何と新作のランボーに
出演しました。

ストーリーは
ベトナム戦争のグリーンベレーだったランボーは帰国後、戦争の悪夢にうなされる
フラッシュバックに悩んでいた。
その彼は、おのれの意思とは関係なく、北朝鮮やアフガンなどで多くの救出作戦に
身を投じていたが、今はアリゾナの牧場で静かに余生を過ごしていた
父が残したこの農場には、メキシコ人の祖母と娘がお手伝いさんとして住んでおり
ランボーは 娘を自分の本当の娘のようにかわいがっていた。
彼女も18歳。美しく聡明に成長した。

そんな娘は大学に行く1週間前に、10年前自分を捨てた実父がメキシコシティに
住んでいるという手紙を、旧友からもらう。
「今更そんな男と会うな」というランボーの言葉を振り切って
娘はメキシコシティに行くのだが、そこで女衒マフィアに誘拐されてしまうのだった!
娘を救え!ランボー!

というストーリーなんです…。

けどね…。

ハッキリ言います

ランボーはもう年寄りなので、はじめにメキシコに行ったときは
マフィアにつかまって半殺しの目にあいます。
で、それがもとで、何と娘は、ボコボコに殴られて
顔にデカいナイフ傷をつけられて、ヒロインなのにヘロイン漬けにされて
悪漢の棟梁に手籠めにされた上に、売春宿で死にます

ええええええ!

マジか!

今の時代 なかなかこんな女性に対して酷い映画って無いですよ。
70年代東映の、池玲子とか杉本美樹が出てた
「赤い手錠 0課の女」みたいな酷さ!

そして娘が死んだことにブチ切れたランボーは
もう、そこから先は、ゾンビ映画というか何というか
無敵すぎて…
めっちゃくちゃ残酷な殺し方で マフィア皆ごろしですわ!

だってね、一人目を殺すときは
自分の指で相手の肩をぐ~~~っと握って
なんと素手で鎖骨を抉り出して 片手でボキって折るんですよ。

そんなんできるかっ!
久々にエログロナンセンスの極致を見ました。

いやぁ…
同じスタローン物でも「ロッキー・ザ・ファイナル」って
ロッキーシリーズの中でも超名作なんですよ。
だけど ランボーったら…。






by AWAchampion | 2020-10-29 20:56 | 映画・演劇など | Comments(0)