2022年 05月 29日
最近見た映画 「トップガン・マーヴェリック」「ハケンアニメ!」
◆「トップガン・マーヴェリック」
まず1本目は つい先日公開になった
「トップガン・マーヴェリック」
これは、1986年の映画「トップガン」の30年ぶりの続編です。
いやぁ~~。楽しかった。
ワハハハハ。
いやね、ほぼ30年前とおんなじ!
トム・クルーズが60代になっただけで
戦闘機!スピード!バイク!イイ女!空母!友情!
プライド!海!
いぇ~~い! という作品です。
前作のトニー・スコット監督はずいぶん前に亡くなっていますが
彼が撮ったのか?と思うぐらいテイストも似せていましたし
80年代の続編としてはこれで十分だと思いました。
内容はほぼ前作と同じです。
そしてかかる曲も前作と同じ。
冷静になると色々ストーリーに「え?」と思うところがあるけど
トム・クルーズだけ見てれば 140分ハッピー!という
まさに80年代の「アイドルスター映画」そのもので
私の世代にとっては胸が熱かったです。
ちなみに見ている人たちも 多分50代60代の
私と同世代の「シルバーご夫婦」が殆どでした。
それは微笑ましかったですね。
◆「ハケンアニメ!」
そして次に見たのが日本映画「ハケンアニメ!」です。
これは私がとても信頼するシネフィル(映画狂)の
共同テレビ 平野プロデューサーが、腰の手術を受けられて
3週間後ぐらいにお会いして「大丈夫でしたか?」と
お話していたら、
「イヤね、岡田さん私、退院した後とにかく映画見たくて
1日で5本見たんですよ。そしたらねこの「ハケンアニメ!」が
メチャクチャよかったの!これは是非見てください!」と
激推しされていた作品でした。
これは若き直木賞作家 辻村深月さんの原作を
CM畑のご出身の吉野耕平さんが監督。
(CGクリエイターだそうです)
吉岡里穂さんの主演でした。
これは確かにビックリするほど良かったですね。
私はここ最近それほどたくさんの日本映画を見ているわけでは
無いので、少ないサンプル数ですが、多分ここ3年でベストですね。
話は テレビで放送されるレギュラーのアニメ番組業界の話。
1クールで50本も作り出される日本の基幹産業の中で
土曜の17時枠という テレビでは破格のいい枠に
片や 天才監督7年ぶりの作品。
片や 県庁を辞めてアニメ業界に飛び込んだ新人監督のデビュー作が
がっぷり四つにぶつかって、視聴率戦争を繰り広げる…!
という内容です。
これを 原作の辻村深月さんは、アニメ業界の内幕の群像ものに仕上げつつ
何と 両者のアニメの内容もちゃんと書きこんでいて
信じられないぐらいの 才能を感じました。
こういうお話って、普通は何が良くないって
「対立した 二人の映画監督」みたいな構図だけは提示できるんですけど
その内容が不明・・・という事が一般的なんです。
でも辻村さんは、二人のクリエイターがお互いに作品で影響をうけあって
どういうエンディングを作って、それをどういう風に変更させたのか?
と言うところまできちんと書きこんでいるんですよね…。
これがスゴイ。
いや、辻村さんはまだ40歳そこそこの作家さんですが、才能がちょっとエグイです。
で、そこまで書きこんである原作を
CGクリエイターご出身の吉野監督は、ちゃんとアニメ業界どういうものか?
分かりやすく頭から説明しつつ、
画はポップに、でも感情は丁寧に描いてらっしゃいました。
このポスターの真ん中に書かれている言葉がキーワードなんですが
この映画では、視聴率や放送時間帯から凡庸でハッピーエンドを望むテレビ局や
疲弊する撮影現場のプレッシャーを 監督やプロデューサーが跳ねのけて
どうしても「誰かに刺さるものを作る!」とおのれをつらぬき通す
演出家の苦悩が描かれています。
う~む
わが身を反省しましたねぇ。
私はテレビマンですし、特にフリーランスのテレビマンです。
その場合は 基本的にそういうプレッシャーや事情をすべて飲み込んで
全部忖度して物を作って来たからこそ、今でも仕事があるんです。
私はここまで 頭を下げて物を作ってきました。
それが職人というものです。
だからスケジュールもすべて守るし、クオリティとタイムコントロールの
バランスも絶妙だと自負しています。
でもねぇ、人生で一回ぐらい,
この映画の新人監督さんみたいに テイク18とか出して
主演女優泣かせて、こだわり抜いた作品を作ってみたいもんですよ…。
かなり身に沁みましたねぇ。
東映の製作ですが、東映はアニメーションも素晴らしいですから
東映がちゃんと誠心誠意作るとちゃんとこういうものが作り上げられる…。という
東映東京撮影所久々の快作だったと思います。
で、ワタシ思ったんですが
先日観た「シン・ウルトラマン」もそうですが
アニメとかCG監督がちゃんと絵コンテを書きこんた映画は
やっぱり監督の意図が絵に乗っていて良いですよね。
私達テレビマンはどうしても「割り台本」と言って
台本に線を入れて、それでカットを作っていくんですが
それは マルチカメラシステムという 複数台のカメラを使って
手早く、役者さんの演技をまとめて撮れるように考え出された
カットの割り方なんです。
これはこれで、昔のテレビみたいに
ちゃんと全てリハーサルを事前に綿密に出来て、
役者と演出家の対話が深くなされていれば
役者の演技をぶつ切りにすることなく
きちんと感情を掬い上げられる優れた撮り方ですが
現在のテレビ、特に私に与えられる環境では
リハーサルなんてほとんどありません。
そうなると、単にスピードだけが取り柄になってしまいます。
でも、ホント、映画の画は当たり前ですけど一個一個吟味して
作るべきなんですよね。
カメラ一つで…。
この映画は監督さんが書かれた絵コンテも公開されていました。
色々と反省をしましたねぇ。
ただ…先日Yahoo!ニュースで
「記録的不入りで早めに打ち切り」と書かれていました。
これは可哀そう。
ちゃんと作られた映画はちゃんといろんな方に「刺さって」欲しいですね。
by AWAchampion
| 2022-05-29 06:30
| 映画・演劇など
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