2023年 12月 20日
歌舞伎座「天守物語」見ました
中々興味深いラインナップでした。
午前中の第一部は中村獅童さんがメインの
「初音ミク×歌舞伎」の超歌舞伎。
これはデジタルと歌舞伎の融合を目指した、21世紀の歌舞伎で
ロックコンサートみたいになったもので、これはこれで
新しい体験として楽しみました。
第二部は講談から作った新作「俵星玄播」
そして第三部は新作歌舞伎の中の古典ともいえる
泉鏡花作「天守物語」でした。
これは玉三郎さんのライフワークとして知られていますが、
もともとは昭和26年に新派で公演され
その後 歌舞伎に移植されて
玉三郎さんの義父 守田勘弥さんが出演したり
していたそうです。
話は姫路城の天守閣に住み着く魔物の姫と
人間の武士との恋物語なのですが、とにかく
不思議で美しい作品でした。
2時間の上演時間のうち、最初の1時間はほとんど女性ばかりが
出てきて美を競い合う・・。
そのなかで、美しい男性武者の生首を愛で合うというシーンが出てきて
非常に面喰いましたが、よく考えてみれば
オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」がやはり同じ題材ですから
美女が生首を愛でる芝居というのは、耽美派としては
ある題材なんですよね・・。
長年主役を演じてこられた玉三郎さんは、
今回は主役を中村七之助さんに譲り、ご本人は
その妹分の御姫様役。
私は幕見席と呼ばれる、天井桟敷からの鑑賞でしたが
ここから見ると、ちゃんと玉三郎さんが少女に見えました。
芸の力ですねぇ…。
同じゴシックな作品でも
「オペラ座の怪人」では魔物は地下の湖に住んでいましたが
「天守物語」では天守閣に住んでいて、
全てを魅せるミュージカルに対して、光りの変化だけで情景を語る
歌舞伎は本当に対象的でした。
色々と勉強になった作品でした…。
by AWAchampion
| 2023-12-20 03:43
| 映画・演劇など
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