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歌謡曲スタンダードナンバー その15 「スローモーション」

歌謡曲の埋もれさせたくない名曲を綴るコラム 「歌謡曲スタンダードナンバー」

しばらく渋い1970年代の楽曲が続きましたので、今回は1982年のヒット曲から
中森明菜のデビュー曲である「スローモーション」です。

この年1982年は空前のアイドル当たり年といわれ、
女性アイドルだけでも
前年12月にデビューした ボンドの松本伊代「センチメンタルジャーニー」
ホリプロの 堀ちえみ「まちぼうけ」
芸映の 石川秀美「ゆれて湘南」
サンミュージックの 早見優「夏色のナンシー」
バーニングの 小泉今日子「素敵なラブリーボーイ」
オスカーの 北原佐和子「月曜日のシンデレラ」
など、キラ星のごとく、スターが集中していました。

そんな中、研音の 中森明菜はこの、ちょっと静かで大人っぽい曲
「スローモーション」をデビュー曲に持ってきました。



作詞 来生えつこ 作曲 来生たかお のコンビで書かれたこの曲は
非常に落ち着いていて、当時キョンキョンの大ファンだった僕の耳には
地味すぎる風に聞こえました。

ところが、よく聞くと、いい曲なんですよねぇ。

特に2番
♪ストライド 長い足さき ゆっくりよぎってく
 その後を かけるシェパード 口笛吹くあなた
なんて、夕日の渚の情景がくっきりと浮かんできて、まるで「男と女」のワンシーンのようです。

詞の世界も、恋の喜びを抑え気味に描いていて、当時16歳の明菜ちゃんが歌うには
確かに地味でした。でもアイドルの曲をガキ向けに書かないで、ちゃんと大人の鑑賞に
耐える曲として発注した当時のVAPレコードのディレクターさんは、本当にいい仕事を
したと思います。

明菜ちゃんの音域にもぴったり合っていて、「歌手」として育てられた事が良く分かる
楽曲ですね。

彼女は結局 2曲目の「少女A」 
作詞 売野雅勇 作曲:芹澤廣明(「ギザギザハートの子守唄」チェッカーズでおなじみですね)
いわゆる性典ソングでブレイクするわけですが、
3曲目では、また来生たかお路線にもどり、名曲「セカンドラブ」を発表します。

この曲も アイドルの曲なのに
 ♪ 恋も2度目なら~すこしは上手に 愛のメッセージ 伝えたい
と始まる相当大人っぽい曲でした。

今は彼女はすっかり見ることがありませんが、80年代の歌手として、
非常に重要な位置にいる人だと思います。
by AWAchampion | 2008-11-07 02:58 | 歌謡曲スタンダードナンバー | Comments(0)