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「ブラタモリ」について

今日はNHKが満を持して送り出した散歩番組 「ブラタモリ」について書いてみたいと思います。

もともと、タモリさんが町歩きマニアだというのは、
名番組「タモリ倶楽部」で知れ渡っていることです。
そんなタモさんがブラッと
町歩きをしたらどんなに楽しいんだろう・・・・・。

と、思って見るとかなり肩透かしを食いますよね?

正直、あまりタモさんが楽しそうじゃないです。


これは、町番組「東京ウォーキングマップ」を撮って来た私なりに
分析すると、NHKの制作側が先に台本をガッチリ書きすぎだと
思いました。

「ちい散歩」にせよ「東京ウォーキングマップ」にせよ
「ぶらり途中下車の旅」にせよ、事前にディレクターは
必ずその町を歩きます。
現代の東京では撮影には、いちいち撮影許可が要りますからね・・。

で、その上でいかに、さりげなく散歩する人が興味を持つような
ものを、散歩のコース上に置いておけるか?というのが
いわばディレクターの腕の見せどころともいえます。

逆に言うと、散歩人は別の事に興味を持つ事だって
当然あるので、あくまでそういうのは、番組を作る上での
保険として持っているべきであって、基本的には散歩する人の
その日のアンテナに任せるべきだと思います。

でも、「ブラタモリ」は『タモさんがせっかくNHKに出てるんだから
変なものは作れない!』という気持ちが強すぎて、
江戸時代の再現CGを作ったり
町の長老を仕込んだりと、肩に力が入りすぎです。
それが結果として、事前リサーチのやりすぎにつながっているのです。

タモリさんは、町田忍さんと非常に似たところがあって、
『着眼点が人と違うこと』それ自体を楽しんでいるところがあります。
だから、もっと野放しにしたほうが面白いと思いますよ。
そもそもタモさんは即興の方が面白い芸人さんですからね。

タモさんが、浅草で町の長老に、ひょうたん池があったころの
想い出を聞いても、タモさんがそのひょうたん池に全然思い入れが
ないので、跳ねていませんでした。
さらに江戸時代の芝居町 猿若町にある歌舞伎の小道具会社の
蔵に行き、小道具のオヤジに説教されるというシーンも
タモさんじたいが歌舞伎に興味が無いので、いまいちでしたね?

結構タモリさんで散歩番組を作るって、難しいことなんだと
思います。
ディレクターもリサーチャーも頑張っていると、画面からひしひしと
伝わってきましたが、これはプロデューサーさんの肩に
力が入りすぎているんだと思います。
私もNHKさんで仕事をしたことがありますから、良く雰囲気が
分かりますが、『町の物語』を作ろうとしすぎだと思います。


というのは、偉そうに語っていますが、
実は私も同じ事を、亡くなった師匠 久世光彦から言われた事が
あるのです。だから意外とちゃんとしたアドバイスだと思いますよ。


逆説的に「タモリ倶楽部」という番組が、いかにすごい番組かと
いう事ですよね?
一回タモさんを放し飼いにして、台本に無いことだけで
一本作った方が面白いですよ。
少なくとも視聴者はそっちを望んでますよ。

それにタモさんほどの大スターが来れば、撮影を断る店は
無いと思いますよ。事前リサーチなしで撮ってみてはどうですか?

あと、あの若い女子アナさんは、頑張ってるけどミスキャストですね。
50代ぐらいの女子アナさんと歩いた方が絶対面白いですよ。
「タモリ倶楽部」では、必ず暴走するタモさんに突っ込む人がいますよね?
「なんでそんなこと知ってるの?」みたいな・・・。
その役をあの若い女子アナさんに負わせるのは酷過ぎます。

期待が大きいだけに大変だと本当に思いますが、現時点だとなかなか厳しいですネェ・・。
by AWAchampion | 2010-01-21 23:38 | テレビ | Comments(0)