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カテゴリ:映画・演劇など( 183 )

はじめての国立劇場

さてさて、私はもう東京に住んで 来年で30年になろうとしています。
そして演劇も映画も演芸も好きですから、都内のいろんな劇場に行ってきました。

でも、なぜか国立劇場は縁がなかったのです。

ということで、

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行ってきました!
国立劇場へ!

国立劇場は、日比谷や銀座、新宿、下北沢といった演劇の場所からは
ぽつんと離れた 半蔵門にあります

そもそも正門は駅などをむいているのではなくて
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皇居で、皇族方が実際にお使いになる半蔵門を向いているのです。
つまり本当に庶民のための劇場というよりも オフィシャルな芸を陛下に言上する・・・みたいな
位置にあると考えていいと思います。

大きな敷地内には劇場が3つ
まず、落語の定席としての国立演芸場
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文楽などが行われる
国立劇場 小劇場
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そして歌舞伎などが行われる
大劇場です

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私はせっかく初めて国立劇場に行くんだから
変わったものが見たいなぁ・・・とかんがえまして
チョイスしたのが
前進座公演でした。

前進座?とお思いの方もいらっしゃると思います。
簡単に説明すると、従来の歌舞伎は名優の息子に生まれないと、いい役にはありつけない
世襲制度が強く残る演劇です。
しかし、昭和に入り、それに反発する若手の歌舞伎俳優たちが松竹の興行形態から
独立し、歌舞伎役者たちによる劇団を立ち上げたのです。
それが劇団前進座といいます。

スターとしては 何といっても中村梅之助が挙げられます。
彼は1970年代に「遠山の金さん」で名をはせ、NHK大河ドラマ「花神」で主役をを務めるなど
テレビでもおなじみの時代劇俳優で、私は子供のころ彼のファンでした。

劇団前進座はその成り立ちから戦後、吉祥寺に劇団事務所+劇場+集団住宅+農地を確保し
一種のコミューンを作り上げます。
と、同時に歌舞伎の口語化や、女性座員の登用なども行い、現代劇も行うようになった
とてもユニークな劇団なのですが
歌舞伎はちゃんと伝統的な歌舞伎をやるのです。

私はまだ吉祥寺に前進座劇場があるときから 一回見てみたいと思いつつも
彼らが共産党に近く、ちょっととっつきにくいイメージもあったことから
なかなか見る機会がありませんでした。

で、たまたま彼らの年一回のメイン興行があると聞き
がんばっていってきました

演目は「佐倉義民伝」
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今の千葉県佐倉市あたりの実話だそうですが、
飢饉の上に年貢が前年比200%に上がり、飢え死にするものが
あふれ、たまりかねた佐倉の名主 宗五郎が、何度も殿や老中に訴え出るもかなわず
ついに御法度、死罪確定である将軍への直訴に及び、一族郎党 死罪になるも
年貢は軽減されたというお話です。

これは3幕6場からなるお話なんですが
2幕3場しか普段演じられない演目なんだそうです。
それをこの度 51年ぶりに前進座が通し狂言として上演したというわけです。

見た感想ですが、素晴らしい歌舞伎で、思わず涙するほど感情を揺り動かされました。

主演は嵐芳三郎 河原崎國太郎 山崎辰三郎
う~ん?あまり聞いたことがない歌舞伎役者さんですが、
この、あまり知らない役者さんというのが、逆にとてもよかった気がします。

基本的には 本当に正統的な歌舞伎なんですけど
幾分松竹の歌舞伎より口語的な言い回しになっているようで、普通よりスッと
ストーリーが入ってきました。

多分台本もいろいろ整理されているのでしょう。
形式は完全に従来の歌舞伎でありながら、ちゃんと現代の人にアピールしうる
名演だったと思います。

でも本当に思った以上に正統的な歌舞伎で
当然浄瑠璃もありますし、舞台も回り舞台もあれば、花道で見栄を切ったときには
「豊島屋!」みたいな掛け声もかかります。

歌舞伎というとどうしても歌舞伎座とか、勘九郎さんとか海老蔵さんみたいな
生まれながらのスターみたいなイメージがありますが
プロレタリア歌舞伎とでもいいましょうか、
非常に興味深かったし見てよかったです。

で、なにせ3幕もあるので 休憩時間もたっぷりあります。
国立劇場内を探検しました

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劇場はこんな感じ
多分キャパは1800ぐらいじゃないでしょうか?

歌舞伎の劇場らしく
ちゃんとでかい食堂があります。宝塚大劇場もこういう食堂ありますよね?
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でも団体客で大変なことになっていたので私は
幕の内弁当を買いました。
まさに「国立劇場で幕合いで食べる弁当」ですから
これが本当の「幕の内弁当」ですよね
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そんなこんなで 3時間たっぷり楽しんだ一日でした。



by AWAchampion | 2019-05-21 03:57 | 映画・演劇など | Comments(0)

木村進 亡くなる

木村進が亡くなりました…

といっても多くの方にとって あまり馴染みのない名前かもしれません。
しかし彼こそが、1970年代に すい星のように現れて
間寛平とともに 大阪で革新的な笑いを生み出した天才喜劇役者
〈浪速のバスターキートン〉なのです。

大阪には2つの大きな喜劇の劇団がありました。
人情噺の松竹新喜劇と、爆笑ギャグの吉本新喜劇。

松竹新喜劇は巨人 藤山寛美が泣かせて笑わせる
練りこまれた人情芝居で人気を集め、
吉本新喜劇は労働者、やくざなどが大衆食堂で織りなす
どぎついギャグで人気を集めました。

ただどちらも、まあ舞台の上で普通に歩いて芝居をしていたのです。

そこに現れたのが、当時まだ20そこそこの 木村進と間寛平でした。
彼らは舞台を縦横無尽に使い、書き割りセットだろうがなんだろうが飛び越えて、
体躯の動きとマシンガントークで、大阪の笑いにアクロバットな動きを加えました。
今の人にわかりやすく言うと、明石家さんまがジャッキー・チェンの動きで
笑わせに来る・・・というのが正解でしょうか?

ドリフが、綿密なる美術チームとの連携で、すばらしい立体喜劇を作り上げていましたが、
木村進・間寛平は 時にアドリブでセットの屋根に上ったり、おじいさんの杖で
セットぶち壊したりと 予定調和になりがちだった大阪の喜劇に革命を起こしました。

ただ木村進は1985年ごろを境に、体調を崩してフェイドアウトしていきます
それは 吉本新喜劇冬の時代とリンクしています。

今の吉本新喜劇は、間寛平の薫陶を受けた辻本茂雄座長の勇退とともに
コント世代の小藪座長に主役の座がバトンタッチし、面白さのフォーカスが体躯から
ストーリーに移っています。

長い不在によって忘れられた存在ではありましたが
確実に日本のお笑いに一時代を築いた天才だったと思います。
ご冥福をお祈りいたします。












by AWAchampion | 2019-05-21 03:19 | 映画・演劇など | Comments(0)

旧共産圏SFナイト

5月4日の土曜日は 有名名画座の池袋 新文芸座で
『旧共産圏SFナイト』というオールナイト興行が行われました。

ラインナップは
「不思議惑星キン・ザ・ザ」(1986年 ソ連)
「イカリエXB1」(1963年 チェコスロバキア)
「惑星ソラリス」(1972年 ソ連)
という素晴らしさ

で、見てきました!
『不思議惑星キン・ザ・ザ』は日本公開当時 1987年あたりに
キネマ旬報誌上などで大特集が組まれていた カルト映画です。
しかしその当時私は受験生だったこともあり
また大阪は意外に(マア私は兵庫県民ですが)そういうアート系
単館映画館が当時はなかったので 見る事が出来ませんでした。


というわけで 有名な映画で 旧ソビエトでは1800万人もの人が見た
超メジャー映画らしいですが、初見でした。

いやぁ~素晴らしかった。
ある日突然ソ連の街角から 砂漠の惑星に飛ばされた中年男とバイオリンを持った青年が
変な階級社会である惑星キン・ザ・ザで生き抜いていく・・という映画なのですが
終始オフビートコメディな中に、風刺も含まれつつ、ヘッポコスチームパンクな感じも
あって、
「ジム・ジャームッシュが作ったスターウォーズ」
「ラピュタの登場人物が全部サザエさんになった感じ」みたいな素晴らしさ!
35年越しの念願が叶って見て良かった。

『イカリエXB1』は1963年に当時のチェコスロバキアで作られたハードSF作品で
造形やストーリーがその後のキューブリックらの作品に色濃く影響を及ぼしたと
される幻の作品です。
2016年に アイスランド・チェコ・ノルウェーの協力によってオリジナルネガからの
修正が行われ、非常にクリアーな形での上映が実現しました。
昨年日本で公開されて かなり話題になった作品でもあります。


もう造形からして メッチャカッコ良い!この時代の共産圏は資本主義国家とは
違った科学の進歩をしていて彼らが思う近未来造形は、我々からしたら
未知のもので、非常に興味深かったです。

同時代の日本のSFでいうと東宝の名作「妖星ゴラス」(1962)が挙げられます。
これはゴラスと言う星が地球に激突しそうになり、地球連合軍がゴラス爆破か?
地球の軌道を変えるか?みたいな事を繰り広げるという名作です。
(昨年殆ど同じストーリーの作品が中国でパクり?公開されて大ヒットしたそうです)

東宝に代表される日本のSFはもっと爆破やらビームやらが出てきて 
ゴジラもそうですが、「受難と克服」という感じのストーリーが多いのですが、
(多分それは日本人の戦争観が投影されているのでしょう)

「イカリエX51」は地球から派遣された数十人の隊員が宇宙船イカリエにのって
異星人がいるであろうと思われる 小熊座の星雲に飛んでいくというストーリーで、
「人民の意思により、新しい地平が開拓される」という共産圏的な理想が描かれます。
そんなところも 違いが見えて面白いなぁと思いました。

で、本来ならその後
かの巨匠アンドレイ・タルコフスキーの超名作「惑星ソラリス」があったのですが
そりゃ夜中の3時からあんな沈思黙考型の映画を見たら 100%寝ます
しかも見たことあるし・・・。
と言うことで今回はパスして 歩いて帰ってきました。
朝になってTwitterを見てみたら
「ソラリス見たかったけど寝落ちした」報告多数でした(笑)



by AWAchampion | 2019-05-05 11:44 | 映画・演劇など | Comments(0)

余り詳しく書かず 自分への忘備録として 平成最後に見た映画を描きます

1)「狼たちの午後」
 「12人の怒れる男たち」で知られる密室サスペンスの名手 シドニー・ルメット監督の
1970年代中盤の作品。私は多分40年ぶりぐらいにしっかり見る。
アル・パチーノの熱演で知られている作品で、銀行強盗に入ったソニーが、なぜかマスコミに
時代の寵児のように祭り上げられる。と言う作品。
 途中でソニーには男性のパートナーがいると言う描写がある。40年前は私自身にも日本全体にも
LGBTへの理解は全く無かったので、ゲイであること自体が「アメリカの病根」みたいに見えて
極めてセンセーショナルだったが、
21世紀になってみると、その辺の理解が進んだせいか「ふ~ん」ぐらいの感想になる。
 素晴らしく面白い映画ではあるが、プロになって見ると相棒のキャラをもう少し詰めても
良かったんでは?とも思った。
 

2)「大統領の陰謀」
 これが平成最後の映画。新文芸座は7割五分ぐらいの入りで、新文芸座自身が
GWで「狼たちの午後」と「大統領の陰謀」という 結構自信のある番組編成なのに
意外に満席ではない・・・とTwitterで語っていた。



 この映画はアメリカ映画の撮影監督の巨匠 ゴードン・ウィルスの代表作の一つでもあるので
映画の教科書に必ず載っている作品だが、私は初見だった。
乗りに乗ってる時期のダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォードが ワシントン・ポスト誌の
記者になり ウォーターゲート事件を追い詰めていく作品。
 この映画の公開が1976年、ウォーターゲート事件発覚が1972年、ニクソン退陣が1974年だから
メチャメチャホットな時代の作品と言うこともあり、時系列を追って丹念に事実が明かされていく。

 のだが・・・私は正直ウォーターゲート事件は概略ぐらいしか知らないので、同時代の人がワクワクして
見たような感覚は得られなかった。出てくる人名の誰が誰の高官なのか?ドコが繋がっているのか?は
70年代の人ならバッチリ分かったんだろうけど、記者の会話劇でそれを読み取るのは21世紀には
難しい・・・
 だけど先日見た『バイス』もそうだが、ウォーターゲート事件のわずか4年後、全貌が分かって
2年後に公開と言うことは、分かってすぐ台本を書き始めて、それが企画として通るアメリカは
なんだかんだ言ってもスゴイと思った。



by AWAchampion | 2019-05-03 14:32 | 映画・演劇など | Comments(0)

「バイス」を見ました

さて、令和の1本目に選んだ映画は「バイス」です。
もう殆どの所で 公開時期が終わっている映画ですが
コレが面白かった!


2001年にアメリカ大統領になった 息子ブッシュ大統領の下で
副大統領となったディック・チェイニーが主人公なのですが、
彼を『能なしの大統領を意図的に担いで、悪意を持ってアメリカの権力を
一手に握った悪の権化』という風に描いている映画です。

当然ブッシュ大統領やらパウエル国務長官、ライス首席補佐官など
みんな実名!ラムズフェルド国防長官なんか メチャメチャ下品で悪玉ですよ!

これを「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本家だった アダム・マッケイが監督
『ダークナイト』でバッドマンを演じた クリスチャン・ベイルがチェイニーを
特殊メイクと30㎏の増量によって そっくりに演じます。
(私より実年齢が若いと知り、ビビりました)

いやほんと 面白い。
要は『リチャード3世』なんですけど、元々ウィスコンシン大学の平凡な学生で
イェール大学に行くもドロップアウトして、電気工をやっていたチェイニーが
同級生で有力者の娘であり野心家の妻を持つ事で、ニクソン政権下で
インターンから徐々に謀略でのし上がっていく様子が
皮肉に満ちた笑いと 超絶テクの編集で描かれます。

で、遂にバカ息子を大統領に頂き、戦時下の特別法で
全ての権力をチェイニー副大統領が実質的に掌握。自分がCEOを勤める石油会社が
狙っていたイラクの油田を手に入れるために、イラクに難癖をふっかけ 
サダム・フセイン政権を打倒してしまうまでを、克明に描いています。

考えてみればデスよ・・・今だって共和党政権なわけです。
そのトランプ大統領の前の政権を完全に馬鹿にした映画を全て実名で作るって
クレイジーすぎます。
もちろん無許可なんだそうです。
「本人の許諾を得ると伝記として本人が法的に直す権利が出てしまう。だから
調べ尽くして訴えられても大丈夫なようにした」って・・・・

いくらハリウッドがリベラルで民主党寄りって言ったって
限度があります。
スゲー。日本ではまず無理です。
うらやましくもあり、うらやましいというか・・・破天荒さにビックリしましたね。
面白かったです。

by AWAchampion | 2019-05-03 00:21 | 映画・演劇など | Comments(0)

さてさて、GW1本目に選んだ映画は『キングダム』でした。
これはマンガが原作ですが、何と累計4000万部も売り上げていて
連載も13年目に突入するという作品だそうです。

私は劇画を読む習慣が全く無いので、「そういうマンガが今売れてる」という
現象は知っていましたが、内容は全く知らない状態で見ました。

やはり『世界力3』でご一緒した大沢たかおさんが、なにやら将軍の役で出てるという
事だけが事前の情報でした。

で、これからネタバレを含む書き込みを展開します


時は中国の春秋戦国時代。中国は7つの国に別れて500年にもわたって
戦争を繰り返していました
奴隷の子として売られた少年 信と漂は成り上がる唯一の方法である剣の腕を
磨こうと、キツい強制労働の合間に二人で剣術に励んでいた。

ところがある日 漂が大臣にその腕を認められて王宮に上がることになった
兄弟以上の仲であった二人は 引き裂かれることとなる。
信は一人になっても「いつの日か天下を揺るがす大将軍になる」事を夢みて
剣術に励んでいた。

ある夜 信の小屋に瀕死の漂が駆け込んできた。彼はいまわの際で一枚の地図を手渡す
彼がその地図の場所に行ってみると そこにいたのは漂にうり二つの王 政(後の始皇帝)
だった・・・。

と言う話です。

既に54巻も出ているマンガだそうですが、出だしは端折った感じも無く
キャラクターも非常にイイ感じで描けていて、テンポも良く、ストーリーも奇想天外ながら
割と無理のない展開でとても好感を持ちました。
また中国の広大な大地を活かした撮影も日本人監督らしからぬスケールで
農家の昼の室内の影はちゃんと暗くするリアルな照明プランも、「ちゃんと作ってる」感が
ありました。

なので少なくとも2時間半の映画の内 初めの1時間はとても良いと思いました。

ただ・・・まあマンガだからしょうが無いんですけど
後半 合戦になってから ある大きな問題があるのです。
それは・・・
善玉は切られても切られても全く死なないのです。

私の理解が正しければ 咸陽の王宮で 8万の敵にタイして 50人で立ち向かい
しかも途中で10人と40人二手に分かれてるんです。

で、思いっきり矢を浴びせられて まずいきなり10人ぐらい死ぬんです。
でも・・かけ声をかけると みんないきなり生き返り それ以降破竹の勢いで
勝ち進むんです。相手8万人ですよ?

これはいくら何でも 戦闘シーンのインフレ化が酷い!
『中国歴史ゾンビ映画』になってしまっています。

で、監督さんのプロフィールを見たら
なんと!和製ゾンビ映画として異例の大ヒットをした「アイアムアヒーロー」の監督さんじゃ
ないですか!
わはははは。
そんなオチだったとは・・・。

さて、役者陣ですが
まず大沢たかおさんは とてもミステリアスな敵とも味方とも分からない
豪傑を演じます。原作では一番人気のキャラクターらしく ファンの間では
賛否両論あるとも聞きますが、私は素晴らしいと思いました。身体も十分に作り上げ
それでいて不気味な知性も感じさせる・・・さすがです。

あと山の民(山岳民族)の女王役の 長澤まさみさんも素晴らしかった。
凜とした強さは光りました。

黒澤映画なら確実に左卜全がやるであろう、スターウォーズで言うR2D2の役を
アイドルの橋本環奈ちゃんがやっていました。
可愛くて良かったですけど、これは21世紀だなぁ・・・という感じでしたね。

あと、日本映画全体とも言える大問題が、この映画の中でも起こってしまっていました。
それは クライマックスになり、主人公が絶体絶命のピンチになると
いきなり時間の流れがゆっくりになって
敵と味方が「夢を見るなんてバカバカしい。現実を見ろ小僧」
「夢をみて・・・何が悪い!!」みたいな 
物語の根幹に隠れた作者の意図っぽい事を互いに演説し合うという 
変なクセがここ30年の日本映画にはあります。

黒澤明の『七人の侍』で三船敏郎が死ぬとき、そんな演説しましたか?
打たれてあっけなく死んで、雨で尻の泥が流れていっただけだったですよね?

多分これは映画版「宇宙戦艦ヤマト」白色彗星の所なんかが源流なんじゃないか?
と思うのですが、主人公が死にそうで死なないで演説するというのは
『蒲田行進曲』でも揶揄されています。

これは例えば『海猿』の映画でやっぱり主人公が大ピンチになったときに
こういうモノローグが入るシーンがあるそうなんですが、NYで上映会をしたとき
『そんなバカな!」ど大爆笑が起きたというエピソードがあります。

これは辞めた方がイイ。
クライマックスこそ リアルに。
演説は最後に一言だけ。
コレこそが日本映画を救う道なんじゃないでしょうかね?

『七人の侍』で演説めいた言葉は
「勝ったのは我々ではない。農民だ」だけでしたからね・・・。


決してダメな映画では無いと思いますし
マンガっぽく見れば楽しめます。でもこれが今の日本映画の総力を結集するような
映画だとしたら
問題ある映画だったとも思いました







by AWAchampion | 2019-04-27 01:16 | 映画・演劇など | Comments(0)

音楽劇『ライムライト』

さてさて、月曜日ですが 東京・日比谷のシアタークーリエでやっている
音楽劇『ライムライト』を見てきました


これは私が今、『題名のない音楽会』でご一緒している 石丸幹二さんが主演の
音楽劇で
かのチャップリンの名作「ライムライト」のミュージカル化です。

演出は元宝塚歌劇団の荻田浩一さん

4年ぶりの再演だそうで、老道化師に愛されるバレリーナ役は 元宝塚の実咲凜音さん
という作品でした

私はもちろん石丸さんが出てらっしゃることもあるのですが、
この作品のアシスタントプロデューサーを勤めている 東宝制作部の柴原愛さんも友人なので
じゃあ・・・と言うわけで見に行ってみました

石丸さんは実年齢は52歳とまだまだお若く、しかもハンサムで声も明るいのですが
老境に入った道化師を熱演します。
チャップリンに比べるとハンサム過ぎるという意見もあるようですが、
相当な力演で、彼の誠実な人柄とコミカルさや明るさが とても良い風に出ていたと思います

関係者に知り合いが多い舞台ですので、終演後 石丸さんにもちろんご挨拶に行きまして
マネージャーさんともお話をし、さらにAPの柴原さんにも 陣中見舞いをお渡しし
さらに 初対面ではありましたが 実咲さんは父の作品にたくさん出ていらっしゃる方ですので
ご挨拶をしまして、なんだかいろんな人にご挨拶が出来た一日でした。

by AWAchampion | 2019-04-23 23:46 | 映画・演劇など | Comments(0)

「多十郎殉愛記」

4月は第1週と第4週に、例のテレビ朝日の老舗音楽番組の担当が入っていまして
その関係でかなり自宅で編集などを強いられていました

が、金曜日にようやく楽になったので 土曜日にまずは1本映画を見てきました
それがこれ『多十郎殉愛記』



これは東映の太秦撮影所育ちとしては最後の世代に当たる 中島貞夫監督
「極道の妻たち」が代表作ですね・・が御年84歳で、20年ぶりに
メガホンを取ったという作品です。

主演は 高良健吾と多部未華子という 時代劇には余りなじみのない
若手の二人
監督補として 『鬼畜大宴会』などの監督 熊切和嘉さんが付き
次世代に自分のチャンバラの技術を継承していくんだ・・・という思いが
あふれる布陣となりました。

上に貼り付けた公式予告編は結構前から劇場でも流れていて
イイ感じでしょ?そう思った人も多かったみたいで
土曜の夕方の回は over60のカップルが多く入っていました

実際テレビドラマの時代劇も激減してしまった今
東映京都で守られてきた時代劇の撮影方法は風前の灯火です。
だからこそ 集団でチャンバラの魅力を・・・という事で
中島監督が撮られたその熱い思いは伝わってきました

照明・美術・撮影・殺陣などは昨今のテレビ時代劇とはちがい
ちゃんとしていました。
一膳飯屋がちゃんと仄暗いというのはとても重要ですし
また チャンバラは構図の美学なわけですが
それをちゃんと作り上げているという労力は
その熱意の表れだったと思います。

まあこの映画はそう言う評価で良いと思います。

正直言うと・・・
脚本がかなり粗いまま撮影に入った感じは否めません

形としては 昔の『血煙高田馬場』みたいな
後半にドカンと長い大チャンバラシーンが入るので
ストーリーも人物造形も何もかも そのチャンバラシーンに最終的に集約される。
という形の 古い時代劇の脚本スタイルなんですが・・・

まあTwitterを見ても「どういう愛に殉じているのか?が甘い」という
コメントが多かったと思います。
マアとにかく 粗を洗い出すと
『絵師設定が不完全』
『ニヒリズムに陥った剣客が再び剣を取る動機が弱い』
『気の強い一膳飯屋の 後家の多部ちゃんがそこまで惚れるところの
 描き方が甘い』
『最後の僧侶と白痴の妻は謎?』など
色々あります

まあ、ぶっちゃけそう言うことを細かく言うのは無粋なんでしょう。
チャンバラとしてはもの凄く 熱く出来ています
それを楽しむ映画かも知れません

あと多部ちゃんは いわゆる美女ではありませんが
謎の美しさがあるなぁ・・・というのはよく言われることですが
この作品はその花が咲き誇ります
なんですかね?体型がスラッとしていて、清楚で凜とした感じが
全体としてとても良いですよね。彼女はとても良かったと思います。







by AWAchampion | 2019-04-23 23:35 | 映画・演劇など | Comments(0)

いやあ・・・3月下旬から4月中旬までは例のテレビ朝日の
老舗クラシック番組の編集が2本分入っていて大変でした。

なにしろ前の東京オリンピックから続いている番組ですから、
ローカルルールがたくさんあるのです。
いわゆるトーン&マナーというやつですが
テロップの入れ方だの画の構成だのが、いちいち経験則で決まっているようで
明文化されていないので、チームに入ってわずか1ヶ月のディレクターが
差配するのはいささか酷な状況でした。

で、ようやく昨日ちょっと時間が空いたので映画館に行きました
見たのはこの2本

◆「アンダーグラウンド」
 1995年にカンヌ映画祭でパルムドールを取った、セルビアの映画監督
エミール・クストリッツァ監督の傑作です。

 公開当時から傑作の呼び声が高く、映画ファンの熱狂的な支持を集める
映画でしたが、1995~6年はわたくしロンドンにおりまして、
このユーゴスラビアの国の3時間の寓話を英語字幕で見る自信がなかったので
今まで見ずにいましたが、早稲田松竹で上映されたので初回に見てきました。

もちろん200席ほどの映画館は札止め超満員!

いやあ~素晴らしかった。
1カット目から3時間 圧倒されっぱなし。
内容は 第2次大戦から今日までのスラブ国家を寓話的に描く作品で
1941年のセルビアへのナチス侵攻を機に、文字通り地下に潜り抵抗を続けた
村人が、戦後20年経っても「戦争は続いている」と思い込む。という
あらすじで、その中に 
戦後いったんはユーゴスラビアという国で統一されたのだが
チトー大統領が無くなると、また国が分裂し、今も戦争が継続している・・・という
セルビアの状況を寓話的に描くものでした

と書くととても固い作品に思えるのですが、それを今村昌平ばりの
黒くて重たいコメディにしたてあげているので、見ていて飽きないうえに
それが実は一つ一つ比喩になっていて、最後まで見ると大きな物語が紡がれているという
「七人の侍」もかくや・・・というぐらいのエンタメ大河ドラマでした。

こりゃすげぇ・・・

で、そのことをFacebookに書いたら、レコード会社とかCG会社とか
いわゆる『オシャレ業界』にいる私より5歳ぐらい若い人達から
「岡田さん!私の人生ベスト映画です!」とじゃんじゃか連絡が来ました。
ようやく宿題をちょっと果たした気分です。

◆『ダンボ』
 ディズニーアニメ 不朽の名作が、まさかの実写化ですよ!
しかも監督は「シザーハンズ」などの名匠ティム・バートン。コレは期待するでしょ?

で、見てきました。

う~ん?

Twitterとかでは結構良い評価で、私の知り合いの映画マニアプロディーサーさんも
『良かったですよ』とおっしゃっていたのですが・・。

良いところは、ダンボが可愛いところですね。
今のCGは恐ろしいですよね?本当にリアルで、本当に表情豊かで
とてもキャラクターとして可愛かったです

ただ今回は実写ということで、よりサーカス団など人間サイドの物語も
色々と描かなきゃと制作陣は思ったようです。
その結果 ダンボが楽しげに空を舞う・・・とか
ダンボが自発的に空を舞う・・・という感じでは無く
「さあ、ダンボ飛べ!飛ばないとこの興業はおじゃんだ!飛びやがれ!」
みたいな状況に毎回追い込まれて
あげく テントのメチャクチャ高いところに連れて行かれて
「ああ、ダンボが落ちて死んじゃう!・・・ぎゃぁ~~!
 ん?
 あ!
 たまたま耳が長くて飛べて助かった!
 興業も大成功!」
みたいな感じなんです。

だからダンボが飛ぶこと自体が サーカスの動物の悲哀を出し過ぎてて
見てて悲しい!

コレを私は声を大にして言いたいです。
ファンタジーとリアリティのバランスが悪い気がしました。

アニメの方がフォーマット的になじむんだろうなぁと思います。







by AWAchampion | 2019-04-14 08:12 | 映画・演劇など | Comments(0)

余り詳しく書かずに 忘備録的に 3月に見た映画を描きます

◆「運び屋」
御大 クリント・イーストウッドの最新作
なんと90歳の麻薬の運び屋の実話を 御大が10年ぶり?に
自分の映画に主演という形で出ました。


特に何も起きないというか、設定が派手な割に淡々とした
映画なのですが、その中で90歳の爺さんが「家族の価値」を
ギャングや捜査官、それから知りあった全ての人に
淡々と説いていく姿が、最後にしみじみとした花を咲かせます。
上手いなぁ・・

◆「ブラック・クランズマン」
黒人映画の巨匠 スパイク・リー久々の作品
1970年代 南部のアリススプリングスで、黒人警官が
なんと白人至上主義秘密結社 KKKに覆面捜査官として潜入!?という
これまた奇想天外ですが実話を元にした話だそうです


スパイク・リーの映画は「マルコムX」でも「DO The Right Thing」でも
「白人と黒人は基本わかり合えない。黒人よ戦って権利を獲得せよ」
という思いが大きくあふれています。

『マルコムX』のあるシーンで、白人の活動家が、マルコムXに
「白人の私たちが黒人解放運動のために働けることはありませんか?」と
尋ねたら、一言「Nothing」と返すシーンがありますが、まさにそう言うことです。

KKKとブラック・パンサーがカットバックして描かれる構図は
まさに1970年代の雰囲気なんですが、実はその話は全て
今のトランプ政権に繋がっている・・・というストーリーで
「差別は終わっていない」という事を深く暗示させるストーリーでした。
スパイク・リーらしいし、今の日本でも色々思うところはある映画でした。

◆「ベルリン・天使の詩」
1986年に制作され、全世界的に大ヒットした ヴィム・ヴェンダース監督の
ドイツ映画で最も知られた映画です。
まだ分裂している頃のベルリンで、人の悩みを悠久の昔から見つめている
天使がある女性に恋をして、人間としての生き方を選ぶというものです。



私が高校生ぐらいの時に キネマ旬報などで大特集が組まれ
アート系映画を支えた大事な映画です
私も大学生の時に何度も見ましたが、そのお膝元早稲田松竹で
再び上映されたので見てきました

この映画ほど都市の孤独を描いた作品は他に無いですね。
私は今、独身で単身でフリーランスとして東京に長く住んでいますから
ズシンと響きました・・・・

映画を見ていて、やっぱりいろんなシーンを思い出しました。
そして一番思い出したのが、あの主役のブルーノ・ガンツの心を奪う
サーカスの女性が、実際にはヴィム・ヴェンダースの心を奪っていて
その次の「till the end of the world」では私的なパートナーであり
彼の演出面にも大きな影響を与えたと言うことですね・・・。
懐かしい。

◆「暗殺の森」
1970年に、巨匠ベルナルド・ベルトリッチ監督が作った
彼の代表作にして世界映画でも有数の映画です。
また撮影監督は カメラマンの神様 ヴィットリーオ・ストラーロ
本当に 頭からお尻まで全ての画に意味が濃厚に込められた
隠喩に満ちた 傑作中の傑作です。



ベルトリッチは他にも『暗殺のオペラ』なんかも見てるんですけど
圧倒的にこっちの方がイイ

最近の映画は、マルチカメラシステム(多くのカメラで一気に撮る)
もしくはマルチアングルシステム(何度も何度もいろんな角度から撮る)
というテレビ的な手法が、主に予算面から勧められていて
これほど 画一枚一枚に濃厚に意味を込めた作品はありません。

なので最近の映像のプロの端くれとして、とても恥ずかしくなりました。
スゴイ映画です・・・。

by AWAchampion | 2019-03-25 04:32 | 映画・演劇など | Comments(0)