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カテゴリ:映画・演劇など( 188 )

ボサノバの神様 ジョアン・ジルベルトが亡くなりました
88歳だそうです。

そこでふと思い出したのですが
私 13年前2006年に東京フォーラムで行われた
日本公演に行っています


2006年11月だったようですね。

その時のことは強烈に覚えています。
なにしろ開園時間になっても さっぱり始まる気配がないんです。
客電も上がったまんま。
「少し遅れます」のアナウンスが20分後ぐらいに流れましたが
状況が分からずざわざわしていると
開演予定時間を50分過ぎたところで
「今、ジョアン・ジルベルトがホテルを出ました」のアナウンス。

会場爆笑ですよ・・・

さすが巨匠

で、そこからは几帳面な日本人スタッフですから
もう実況中継状態

「今 〇〇の交差点付近です」
「今 会場に入りました」
「今 トイレに行きました」
「今 水を飲んでいます」

そして・・・・

ついに御大がステージに現れた時
それはそれは万雷の拍手でした!

この時点ですでに開始予定時間を90分過ぎていました

そこから彼は なんと120分普通にライブをやったんです。

素晴らしい 本当に素晴らしいライブでした

かれの口とギターから あのボサノバの名曲たちが
それこそ糸車で紡ぎだされるように 静かに生まれてくるのです。

いやぁ 感動しましたね。

でも彼の奇行は 冒頭の大遅刻だけではなかったのです。

ジョアン・ジルベルトは
最後の曲を歌い終えたところで ギターに突っ伏して
そこからまた15分 ステージ上で眠ったように動かなくなりました。

普段ならアンコールというところです。
始めは万雷の拍手だったのですが、そのうち
「し、死んだか?」とか「ど、どうしたの?」みたいな
戸惑いの声でざわざわしてきました。

そして拍手が完全に止んで、人々のざわめきも少し収まったころ・・・

彼はスッとおきあがってこう言ったのです。

「僕は町のざわめき、人々の声 そんなものを聴いていた。
 東京・・・この町からは素晴らしい音が聞こえたよ」

そして

♪ BOOM BOOM BOOM・・・・

彼のギターから聞こえてきたのは あの伝説的なメロディ

そう

イパネマの娘だったのです


いやぁ・・・・素晴らしかったですね


巨匠に合掌です・・・。




by AWAchampion | 2019-07-07 22:45 | 映画・演劇など | Comments(0)

2019年6月1日と2日の土日は 私の父 岡田敬二にとって
とても思い出に残る一日になったことでしょう。

『吉崎憲治&岡田敬二 ロマンチックコンサート』がついに行われたのです。


私の父 岡田敬二が演出家として歩み始めたのが1963年
そして演出家デビューが「若者たちのバラード」1967年だったのですが、
まさにその時から今日まで チーフ作曲家として、一貫してお世話になっています
吉崎憲治先生の曲を集めたコンサートが、大阪・梅田にあります
梅田芸術劇場で行われたのです。

私は梅田芸術劇場という劇場は行ったことがなく、どの程度の大きさなのか?
よく知らずに行きました。
行ってみると・・・
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うわ!めちゃめちゃ人が並んでいるじゃないですか!
実はなんと2000人入るホールだそうで、東京で言うと それこそ日生劇場が1800人ですから
それより大きい劇場なんだそうです。

そこで父の名を冠したコンサートを土日で3回公演とは!
いやぁ…本当にありがたい話です。

中に入ると入口すぐのところに 燕尾服を来た吉崎憲治先生が!
ご挨拶をいたしましたら、「おお、倫太郎君。お久しぶりですね」と相変わらず
とてもたおやかな感じでお答えいただき、握手してくださいました。
今年85歳でらっしゃるそうですが 背筋もピンとされていて
握手していただいた手も ピアニストの美しい指で、
全く年齢を感じなかったです。

で、そのすぐ後ろにハットをかぶった父がおりまして、宝塚OGやファンの方々と
交流を深めておりました。
思い返せば父は 宝塚の大劇場公演でも少なくとも私が覚えている限りでは
「魅惑」あたりからは必ず初日に 劇場の入り口に立ち、お客様をお出迎え&お見送りしていたかと
思います。
私が長男だからよく顔を知っていて、覚えている…というだけではなく
結構そういう演出家の方って、珍しいのではないでしょうか?
おかげさまで キャリアの長さもあって父の顔は宝塚ファンの方の中でも
比較的知られている方だと思います。
この日も本当に数多くの方々に 声をかけていただいていまして
大変ありがたかったです。

このコンサートは宝塚OGの 超大物だったトップスターの皆様が
何人も出て下さったコンサートです。
で、何がすごいって・・・
要するに 【本人】が【その曲】を歌うコンサートだったんですね。

つまり剣幸さんが「ラ・ノスタルジー」「ル・ポワゾン」を
杜けあきさんが「ラ・パッション」を
紫苑ゆうさんが「ラ・カンタータ」を
姿月あさとさんが「シトラスの風」を
そして・・・
なんと瀬戸内美八さんが「魅惑」を歌うんですよ!

えええ!
21世紀に「魅惑のサンバ」を瀬戸内美八さんで聞けるとは思いませんでした
だって1982年正月の作品ですよ!
併演は「ミル星人パピーの冒険」ですよ!
うわぁぁぁ!

それによく知られていることですがロマンチック・レビュー第3作目の
「ラ・ノスタルジー」は父の思い入れが最も深い作品なのですが
残念ながらNHKも関西テレビも当時中継をおこなっておらず
劇団が撮った記録用VTRしかないのです。
それが、21世紀に 本人 剣幸さんの声で蘇るとは・・・

いやぁ・・・鳥肌が立ちました。

息子だから良いでしょう?セットリストも載せちゃう!

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いやすごくないですか?
初日と二日目で 出演者が違うので 若干セットリストは違いますが
私がみた 二日目の昼公演では 2時間48曲 びっしりと演奏されました。

演奏はいつも宝塚歌劇団のオーケストラピットで演奏をしてくださっている
宝塚歌劇オーケストラの皆さん

そして指揮は 御年85歳の吉崎憲治先生ご本人がすべてタクトを振ってらっしゃいました。

いや、よく考えてみてください
それぞれ だいたい2~3分はあるんですよ?
それが48曲ですから、2時間公演だと ほぼぶっ通しに近い演奏ですよ。

見てたら譜面をめくるオーケストラの皆さんの顔が鬼気迫る感じで
全く「OGたちが出てきて 近況をたくさん話す 同窓会的なコンサート」 の
ほのぼの感はなく、非常に緊張感のある、コンサートとして素晴らしいものでした。

その吉崎先生の心意気にこたえてか、演出も出演者の人数こそ多くはありませんが
大劇場公演並みの緻密さでした。

そもそも父は 曲を作るときに「この辺で●人踊らせたいから、移動にこのぐらいの
秒数がかかる。だから●小節は抑えめにして、サビでドカンと編成を厚くして・・」みたいな
ところまで初めに吉崎先生と計画して作っていたそうです。

ですから、もともと父の意図が溶け込んでいる曲なので、今回もそれにあわせて
ダンスやコーラス、ライトチェンジが行われ、今見ても劇的な効果があり
さらに当時の大劇場公演のエッセンスも感じられるという
二つの意味で心に響く演出でした。

また、数曲「父の演出ではないけど吉崎先生の代表作」という曲も披露されました。
特に1部の最後 瀬戸内美八さんの「心中・恋の大和路」は
瀬戸内さんがこんなに世話物の男役が似合う人だとは・・というぐらいの
艶っぽさで、さらに曲の演出も 
今や「題名のない音楽会」のディレクターとなりまして
ある程度いっぱしの音楽番組ディレクターになった私が
びっくりするぐらいのピッタリのタイミングで ライトが変わったり
雪が降ってきたりして、いまさらながら父の「音楽シーン演出家」としての
凄腕を見た気がしました。

私は父のキャリア 55年のうち 45年ぐらいは見ています。
で、皆さんの岡田敬二像というと 1984年に始めた
ロマンチック・レビューの雰囲気があると思うのです。

でも今回はその前の 父がまだ青年だった時代の曲もいくつか披露されました。
最も古い曲は 1976年の「ビューティフル・ピープル」
父がイギリス研修旅行から帰ってきてすぐの作品で、
父が35歳 吉崎先生は43歳ですかね?の時の作品です。

当時父は「ギンガムチェックの似合う ショー」を志向していまして
曲も、のちの優美な雰囲気ではなく ロックミュージカル系の若々しいもので
時代を感じ、とても懐かしく当時を振り返ることができました。

1970年代の岡田敬二をご存じの方は、
「アメフトのQBとさえない眼鏡のチアリーダーの恋」
「銀色のつなぎを来たスターたちの宇宙的なシーン」
「男役が必ず途中で〝女装”する」など
当時の若々しいショーのイメージがあると思います。その頃の曲も
「ビューティフル・ピープル」「センセーション」など聞けて
古くからのファン・・・としてはそこもうれしかったです。

そして最後の曲の時に 父も舞台に呼び込まれ
めちゃくちゃ照れながら 一曲皆さんと一緒に歌っていました。

父曰く「劇場に演出家が出ていくのはあまり良いことではないから
控えめにしていようと思っていたが、紫苑ゆうが歌わそうとするんだよなぁ・・・」とぼやいていました

まあそういうところも含めて
とても感慨深いコンサートでした。

ツイッターでもいろいろ意見を拝見しました
「この内容ならもっとお金払うよ!」と書いてくださった方もいて
皆様が楽しんでくださったのがよくわかりました。

この前例のない 演出家と作曲家の記念コンサートですが
父に聞くと5年ほど前から 歌劇団に企画を持ち込んで
粘り強く交渉したそうです。

宝塚歌劇団は、私自身も実は取材番組企画を4回持ち込んで
その都度断られているのですが、どうやら新しい企画には慎重な会社のようです。
しかし今回は父の信念が このコンサートを実現させたといえるのかも
しれません。

そしてその思いをくみ取って ご出演いただいたスターの皆様や
スタッフの皆様
そして何より駆けつけて下さった皆様に心からお礼を言いたいです。
ありがとうございました。














by AWAchampion | 2019-06-07 04:19 | 映画・演劇など | Comments(0)

先日公開された「空母いぶき」を見てきました。

これはモーニングで今も連載されている かわぐちかいじ作の漫画が原作で
日本の空母が 第三国に襲われて、いやおうなしに戦闘状態に投げ込まれた・・・
その時どうする?

というシミュレーション・ウォー小説の作品でした


監督は若松節郎さん。私がお世話になることが多い 共同テレビのエース監督として
長い事知られていましたが、今はフリーでフジテレビ系のドラマを中心に撮っていらっしゃる
生粋のテレビドラマ監督です。

主演は西島秀俊と佐々木蔵之介
かなり男臭い(まあ軍隊ものですからね)映画ですが
本田翼が、たまたま空母の取材で乗り込んだ webニュースの記者ということで
出てきています。

ストーリーは原作とずいぶん変更されているそうです。
原作は 与那国島が中国軍によって占拠され、日本が
それを奪還するために 外交的戦略を立てつつ、空母いぶきを現場に向かわせて
自衛権を行使する。
しかしそのためには多くの「覚悟」が必要であった・・・というお話のようです。

で、映画はというと
近年 フィリピンルソン島あたりを根城とする 東亜連邦という国家を名乗る
集団が表れて、太平洋の国境を再画定しようと画策していた。
そんななか、日本の領土である 初島(架空の島です)に東亜連邦の船団が
上陸。日本領土を占領する形となった。そこで日本政府は空母いぶきを中心とする
船団を派遣し、終戦以来初めての戦闘状態に陥る

というかなり改変したストーリーになっていました。

見た感想はちょっと複雑です。
単純に 日本の自衛隊が交戦するというミリタリー趣味の側面については
知らないことも多いので「へ~こういう兵器があるんだ」とか「こういう風に指揮するんだね?」
みたいな ミリタリー初心者へのわかりやすい「海上自衛隊ハウツー」としては
面白かったです。

ただ、「シン・ゴジラ」の手法というか、戦闘状態の背景で日本の法律・憲法下で
なんとか国を守るためにギリギリの選択を迫られる政治家・官僚たちがメインで描かれる・・・という
構図がなんともおさまりが悪い気がしました。

「シン・ゴジラ」は意図的に膨大なハンコをもらわないと弾丸一発も打てない日本の政治システムというのを
徹底的に取材したうえでリアルに表現しつつ、こういうやり方なら国難を防げるよ?という
解決策まで見せたという映画でしたが
この作品は、そこまで踏み込んだんだろうか?という疑問が残ります。

また「シン・ゴジラ」は、まあゴジラ映画ですから戦争状態に突入することというよりも
「日本に3発目の核爆弾を落とさせない」という人間ドラマとして描かれており、まあそれは
日本人の心の中にある正義として理解できる気がしたのですが
今回の「空母いぶき」は 何度も「最低限の戦闘しかしてはいけない。相手の護衛艦に決定的な
ダメージを与えるのではなく、砲台やミサイルをピンポイントで狙って、相手の人命を失わないように
反撃せよ!」という指令が出ます。

「戦闘と戦争は違う。」

これがこの映画のキーワードで、公開前に佐藤浩市さんが「気弱で腸の弱い首相役の役作りをした」と
発言してちょっと右っぽい人の間で炎上しましたが、
確かにこの映画の思想に沿うのであれば、最後までためらう 悩み続ける総理像は
演技プランとしては正解だと思いました。

なんですけど…

戦力の暫時投入というのは、最もダメな作戦だという事は昔から言われてきましたし
最近ではAIによる ゲームシミュレーションの場面でも よくそういう場面が出てきます。

つまり、初めに敵の数を見誤ると 局地戦で負けるので 負けた分だけ ちょっとずつ兵力を投入していく・・・
すると結局ずっと 相手よりも戦力が少ない状態がキープされるので、
ドカンと戦力を増やさない限り
ただこちらが無駄に人が死んでいく・・・という理論です。

これは旧日本軍というか、元寇ぐらいからの日本のダメな伝統とも言えます。
ミッドウェー海戦も インパール作戦も 乃木大将の旅順攻防戦も とにかく1対1的な
事にこだわって、戦力を劇的に増やさなったことによる 戦略上の無駄死にが
多くの悲劇を生みました。

この映画はまさにそれが繰り広げられて、どんどん窮地に追い込まれますが、
いろんな偶然から 一応ハッピーエンドに結びつきます。(まあ映画ですからね)

しかしこれは日本国内としては「正義」に入るのかもしれませんが、
実際それで海上自衛隊の兵隊さんが亡くなる描写も出てくることを見ると
むしろ「こういう 憲法の守り方の描写はかえって誤解を招くのでは?」との
思いを強くしました。

ウォーシミュレーション小説として、これは甘いのでは?
というモヤモヤがものすごく残って、ストーリーとしては疑問符がたくさん頭の中に
浮かび上がる結果となりました。

ただ、途中出てくる斉藤由貴はとてもかわいらしくて
御年50歳とは思えない感じで そこは楽しめました・・・。





by AWAchampion | 2019-05-31 23:44 | 映画・演劇など | Comments(0)

いやぁ~知らなかった。
いや実は、今まで見たことなかったので 国立劇場で文楽を見てみようと
今日のんびり向かったわけですよ。

だって文楽ですからね?

500人ぐらい入る国立劇場・小劇場ですが
言うても文楽ですから、当日券余裕であるでしょ?と思ってたんです。

ところが・・・・

え?


えええ?


えええええっ!


なんと週末4公演 すべて超満員札止め
一枚の余裕もなく完売ですよ。


いやー正直文楽の集客をナメてました。実は大人気なんじゃないですか?
知らないというのは恐ろしいものです。

でも文楽にとって、これは喜ばしいことでもありますね。

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by AWAchampion | 2019-05-25 11:54 | 映画・演劇など | Comments(0)

さてさて、ようやく5月の20日にホールでの外タレ&オーケストラの収録が終わり
ほっとしております。

そこで映画をボチボチ見ております

1)「アメリカンアニマルズ」
 これはかなり話題になっていた映画なので、時間ができて真っ先に見に行きました
実話をもとにした・・・というよりも実話の映画(と冒頭で宣言されます)なんですが
2003年にアメリカ・ケンタッキー州で起きた 大学生による絵画強奪事件を
本人たちのインタビューと ドラマをカットバックして見せていくという映画です。


監督はイギリス人のバート・レイトン。
イギリスではドキュメンタリーなどを作ってるテレビ監督さんらしく
そういう凝った構成になっていました。

内容は 4人の「イケてない」満たされない大学生活を送っている学生たちが
生きている実感を求めて、でっかいことをやろうと言い出して
大学の図書館にある10億円の書籍を盗み出そうと計画します。

映画「レザボアドッグス」やら「オーシャンズ11」やらを見て
悦に浸る彼ら、しかし実際は杜撰すぎる計画と、罪なき図書館司書を傷つける
ことになって、動揺します。
そして、悲劇が訪れました・・・。

というお話なのですが、まあ再現ドラマとインタビューのカットバックというのは
結構日本のテレビ手法っぽい感じで、意外に日本人の目からは目新しさは感じませんでしたが
だからこそ、そのクオリティもよく見えるわけで、この手法の再現ドラマとしては
とても演出も頑張っていたと思います。
手立てとしては この再現ドラマをドキュメンタリーっぽく撮るやり方もあるんですが
レイトン監督は、ちゃんとエッジのきいた映像演出を加えます。

まあネタ的にも、同世代のイギリスの監督ダニー・ボイルの「トレインスポッティング」や
「シャローグレイブ」が頭にあったことは確かだと思いますが、そういう意図は伝わりました。

ただ、実際の彼らの計画があまりに杜撰で、おバカちゃんなので、
凝った再現ドラマも、インタビューの中のかっこいい言葉も「笑ってはいけない〇〇」みたいに
見えてしまうという弊害がありました。
これは仕方ないんですけどね…。この手法をとる限りは。
でももう少し頭のいい人たちを題材にとっても良かったのでは?
もしくは、さすがに誰もが突っ込む計画上の弱点は フィクションでなんとかごまかしたほうが
よかったのでは?という気もしました。


2)「居眠り磐根」
 今、書店に行くと時代小説の棚が文庫のところにものすごく大きなスペースを取っています。
これはすべて、もともとカメラマンだった佐伯泰英が「書きおろし時代小説文庫」を始めて
当たったというところに端を発しています。
その佐伯泰英の代表作にして シリーズ累計2000万部という金字塔を打ち立てたのが
「居眠り磐根」。私も5冊ぐらいは手にしている作品です。
 テレビドラマとしてはNHKでありましたが、この度 映画化
監督は松竹の撮影所上がりの最後の世代 本木克英さん。


この話は40巻ぐらい続き、一話完結の形をとりながら徐々に登場人物たちの関係性が変わっていくという
平岩弓枝方式を取っています。
その中の本の1~2巻分だけを映画化したものですが、
もともとのストーリーがとても波乱万丈なので、映画としては楽しめました。

が、まあ正直な感想を言えば、本木監督はとても手堅いお仕事をされる方で
しかも松竹のご出身ということもあり、時代劇の変態的な美学をお持ちの方ではありません。
なので、演出も画面構成も、何もかも極めて「わかりやすく」テレビ的に撮っていらっしゃる
感じがしました。

良いんですよ?
分かりやすくていいんですけど、それはやっぱりお茶の間で見るテレビでの話。
せっかく映画館まで来ているのですから、もう少し作家性を前に出してらしても
良いのになぁ・・・という感じがしました。

特に照明や画角ですが、本来行燈の明かりを表現するためには 暗くていいんです。
でも暴れん坊将軍の末期みたいな、パッキパキの明かりで、テレビ的な中央に持ってくる
画角だと、美しくないんですよねl…。
監督さんのこだわりがもう少しみえてもよかったのでは?と思いました。

主演は松坂桃李さんですが、彼はハンサムでよかった‥という印象です。
むしろ 助演女優の木村文乃さんが 時代劇初めてということだったそうですが
すでに当代一の若手時代劇女優の貫録を見せていました。

さらに柄本明、佑親子が素晴らしい。

加えて元前進座の中村梅雀さんがベストアクト

この辺が映画を支えていたと思います。

それとは別に個人的な印象ですが、ヒロインの芳根京子さんが、どう見ても
若い時の中島ひろ子さんにそっくりで、『櫻の園』でパーマかけてきちゃう
演劇部長がカツラつけてる風に見えて、面白かったです。
というのは中島ひろ子さんは、数少ない私の、女優さんの友人なので
そんな印象になりました・・・。



by AWAchampion | 2019-05-24 13:29 | 映画・演劇など | Comments(0)

はじめての国立劇場

さてさて、私はもう東京に住んで 来年で30年になろうとしています。
そして演劇も映画も演芸も好きですから、都内のいろんな劇場に行ってきました。

でも、なぜか国立劇場は縁がなかったのです。

ということで、

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行ってきました!
国立劇場へ!

国立劇場は、日比谷や銀座、新宿、下北沢といった演劇の場所からは
ぽつんと離れた 半蔵門にあります

そもそも正門は駅などをむいているのではなくて
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皇居で、皇族方が実際にお使いになる半蔵門を向いているのです。
つまり本当に庶民のための劇場というよりも オフィシャルな芸を陛下に言上する・・・みたいな
位置にあると考えていいと思います。

大きな敷地内には劇場が3つ
まず、落語の定席としての国立演芸場
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文楽などが行われる
国立劇場 小劇場
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そして歌舞伎などが行われる
大劇場です

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私はせっかく初めて国立劇場に行くんだから
変わったものが見たいなぁ・・・とかんがえまして
チョイスしたのが
前進座公演でした。

前進座?とお思いの方もいらっしゃると思います。
簡単に説明すると、従来の歌舞伎は名優の息子に生まれないと、いい役にはありつけない
世襲制度が強く残る演劇です。
しかし、昭和に入り、それに反発する若手の歌舞伎俳優たちが松竹の興行形態から
独立し、歌舞伎役者たちによる劇団を立ち上げたのです。
それが劇団前進座といいます。

スターとしては 何といっても中村梅之助が挙げられます。
彼は1970年代に「遠山の金さん」で名をはせ、NHK大河ドラマ「花神」で主役をを務めるなど
テレビでもおなじみの時代劇俳優で、私は子供のころ彼のファンでした。

劇団前進座はその成り立ちから戦後、吉祥寺に劇団事務所+劇場+集団住宅+農地を確保し
一種のコミューンを作り上げます。
と、同時に歌舞伎の口語化や、女性座員の登用なども行い、現代劇も行うようになった
とてもユニークな劇団なのですが
歌舞伎はちゃんと伝統的な歌舞伎をやるのです。

私はまだ吉祥寺に前進座劇場があるときから 一回見てみたいと思いつつも
彼らが共産党に近く、ちょっととっつきにくいイメージもあったことから
なかなか見る機会がありませんでした。

で、たまたま彼らの年一回のメイン興行があると聞き
がんばっていってきました

演目は「佐倉義民伝」
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今の千葉県佐倉市あたりの実話だそうですが、
飢饉の上に年貢が前年比200%に上がり、飢え死にするものが
あふれ、たまりかねた佐倉の名主 宗五郎が、何度も殿や老中に訴え出るもかなわず
ついに御法度、死罪確定である将軍への直訴に及び、一族郎党 死罪になるも
年貢は軽減されたというお話です。

これは3幕6場からなるお話なんですが
2幕3場しか普段演じられない演目なんだそうです。
それをこの度 51年ぶりに前進座が通し狂言として上演したというわけです。

見た感想ですが、素晴らしい歌舞伎で、思わず涙するほど感情を揺り動かされました。

主演は嵐芳三郎 河原崎國太郎 山崎辰三郎
う~ん?あまり聞いたことがない歌舞伎役者さんですが、
この、あまり知らない役者さんというのが、逆にとてもよかった気がします。

基本的には 本当に正統的な歌舞伎なんですけど
幾分松竹の歌舞伎より口語的な言い回しになっているようで、普通よりスッと
ストーリーが入ってきました。

多分台本もいろいろ整理されているのでしょう。
形式は完全に従来の歌舞伎でありながら、ちゃんと現代の人にアピールしうる
名演だったと思います。

でも本当に思った以上に正統的な歌舞伎で
当然浄瑠璃もありますし、舞台も回り舞台もあれば、花道で見栄を切ったときには
「豊島屋!」みたいな掛け声もかかります。

歌舞伎というとどうしても歌舞伎座とか、勘九郎さんとか海老蔵さんみたいな
生まれながらのスターみたいなイメージがありますが
プロレタリア歌舞伎とでもいいましょうか、
非常に興味深かったし見てよかったです。

で、なにせ3幕もあるので 休憩時間もたっぷりあります。
国立劇場内を探検しました

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劇場はこんな感じ
多分キャパは1800ぐらいじゃないでしょうか?

歌舞伎の劇場らしく
ちゃんとでかい食堂があります。宝塚大劇場もこういう食堂ありますよね?
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でも団体客で大変なことになっていたので私は
幕の内弁当を買いました。
まさに「国立劇場で幕合いで食べる弁当」ですから
これが本当の「幕の内弁当」ですよね
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そんなこんなで 3時間たっぷり楽しんだ一日でした。



by AWAchampion | 2019-05-21 03:57 | 映画・演劇など | Comments(0)

木村進 亡くなる

木村進が亡くなりました…

といっても多くの方にとって あまり馴染みのない名前かもしれません。
しかし彼こそが、1970年代に すい星のように現れて
間寛平とともに 大阪で革新的な笑いを生み出した天才喜劇役者
〈浪速のバスターキートン〉なのです。

大阪には2つの大きな喜劇の劇団がありました。
人情噺の松竹新喜劇と、爆笑ギャグの吉本新喜劇。

松竹新喜劇は巨人 藤山寛美が泣かせて笑わせる
練りこまれた人情芝居で人気を集め、
吉本新喜劇は労働者、やくざなどが大衆食堂で織りなす
どぎついギャグで人気を集めました。

ただどちらも、まあ舞台の上で普通に歩いて芝居をしていたのです。

そこに現れたのが、当時まだ20そこそこの 木村進と間寛平でした。
彼らは舞台を縦横無尽に使い、書き割りセットだろうがなんだろうが飛び越えて、
体躯の動きとマシンガントークで、大阪の笑いにアクロバットな動きを加えました。
今の人にわかりやすく言うと、明石家さんまがジャッキー・チェンの動きで
笑わせに来る・・・というのが正解でしょうか?

ドリフが、綿密なる美術チームとの連携で、すばらしい立体喜劇を作り上げていましたが、
木村進・間寛平は 時にアドリブでセットの屋根に上ったり、おじいさんの杖で
セットぶち壊したりと 予定調和になりがちだった大阪の喜劇に革命を起こしました。

ただ木村進は1985年ごろを境に、体調を崩してフェイドアウトしていきます
それは 吉本新喜劇冬の時代とリンクしています。

今の吉本新喜劇は、間寛平の薫陶を受けた辻本茂雄座長の勇退とともに
コント世代の小藪座長に主役の座がバトンタッチし、面白さのフォーカスが体躯から
ストーリーに移っています。

長い不在によって忘れられた存在ではありましたが
確実に日本のお笑いに一時代を築いた天才だったと思います。
ご冥福をお祈りいたします。












by AWAchampion | 2019-05-21 03:19 | 映画・演劇など | Comments(0)

旧共産圏SFナイト

5月4日の土曜日は 有名名画座の池袋 新文芸座で
『旧共産圏SFナイト』というオールナイト興行が行われました。

ラインナップは
「不思議惑星キン・ザ・ザ」(1986年 ソ連)
「イカリエXB1」(1963年 チェコスロバキア)
「惑星ソラリス」(1972年 ソ連)
という素晴らしさ

で、見てきました!
『不思議惑星キン・ザ・ザ』は日本公開当時 1987年あたりに
キネマ旬報誌上などで大特集が組まれていた カルト映画です。
しかしその当時私は受験生だったこともあり
また大阪は意外に(マア私は兵庫県民ですが)そういうアート系
単館映画館が当時はなかったので 見る事が出来ませんでした。


というわけで 有名な映画で 旧ソビエトでは1800万人もの人が見た
超メジャー映画らしいですが、初見でした。

いやぁ~素晴らしかった。
ある日突然ソ連の街角から 砂漠の惑星に飛ばされた中年男とバイオリンを持った青年が
変な階級社会である惑星キン・ザ・ザで生き抜いていく・・という映画なのですが
終始オフビートコメディな中に、風刺も含まれつつ、ヘッポコスチームパンクな感じも
あって、
「ジム・ジャームッシュが作ったスターウォーズ」
「ラピュタの登場人物が全部サザエさんになった感じ」みたいな素晴らしさ!
35年越しの念願が叶って見て良かった。

『イカリエXB1』は1963年に当時のチェコスロバキアで作られたハードSF作品で
造形やストーリーがその後のキューブリックらの作品に色濃く影響を及ぼしたと
される幻の作品です。
2016年に アイスランド・チェコ・ノルウェーの協力によってオリジナルネガからの
修正が行われ、非常にクリアーな形での上映が実現しました。
昨年日本で公開されて かなり話題になった作品でもあります。


もう造形からして メッチャカッコ良い!この時代の共産圏は資本主義国家とは
違った科学の進歩をしていて彼らが思う近未来造形は、我々からしたら
未知のもので、非常に興味深かったです。

同時代の日本のSFでいうと東宝の名作「妖星ゴラス」(1962)が挙げられます。
これはゴラスと言う星が地球に激突しそうになり、地球連合軍がゴラス爆破か?
地球の軌道を変えるか?みたいな事を繰り広げるという名作です。
(昨年殆ど同じストーリーの作品が中国でパクり?公開されて大ヒットしたそうです)

東宝に代表される日本のSFはもっと爆破やらビームやらが出てきて 
ゴジラもそうですが、「受難と克服」という感じのストーリーが多いのですが、
(多分それは日本人の戦争観が投影されているのでしょう)

「イカリエX51」は地球から派遣された数十人の隊員が宇宙船イカリエにのって
異星人がいるであろうと思われる 小熊座の星雲に飛んでいくというストーリーで、
「人民の意思により、新しい地平が開拓される」という共産圏的な理想が描かれます。
そんなところも 違いが見えて面白いなぁと思いました。

で、本来ならその後
かの巨匠アンドレイ・タルコフスキーの超名作「惑星ソラリス」があったのですが
そりゃ夜中の3時からあんな沈思黙考型の映画を見たら 100%寝ます
しかも見たことあるし・・・。
と言うことで今回はパスして 歩いて帰ってきました。
朝になってTwitterを見てみたら
「ソラリス見たかったけど寝落ちした」報告多数でした(笑)



by AWAchampion | 2019-05-05 11:44 | 映画・演劇など | Comments(0)

余り詳しく書かず 自分への忘備録として 平成最後に見た映画を描きます

1)「狼たちの午後」
 「12人の怒れる男たち」で知られる密室サスペンスの名手 シドニー・ルメット監督の
1970年代中盤の作品。私は多分40年ぶりぐらいにしっかり見る。
アル・パチーノの熱演で知られている作品で、銀行強盗に入ったソニーが、なぜかマスコミに
時代の寵児のように祭り上げられる。と言う作品。
 途中でソニーには男性のパートナーがいると言う描写がある。40年前は私自身にも日本全体にも
LGBTへの理解は全く無かったので、ゲイであること自体が「アメリカの病根」みたいに見えて
極めてセンセーショナルだったが、
21世紀になってみると、その辺の理解が進んだせいか「ふ~ん」ぐらいの感想になる。
 素晴らしく面白い映画ではあるが、プロになって見ると相棒のキャラをもう少し詰めても
良かったんでは?とも思った。
 

2)「大統領の陰謀」
 これが平成最後の映画。新文芸座は7割五分ぐらいの入りで、新文芸座自身が
GWで「狼たちの午後」と「大統領の陰謀」という 結構自信のある番組編成なのに
意外に満席ではない・・・とTwitterで語っていた。



 この映画はアメリカ映画の撮影監督の巨匠 ゴードン・ウィルスの代表作の一つでもあるので
映画の教科書に必ず載っている作品だが、私は初見だった。
乗りに乗ってる時期のダスティン・ホフマンとロバート・レッドフォードが ワシントン・ポスト誌の
記者になり ウォーターゲート事件を追い詰めていく作品。
 この映画の公開が1976年、ウォーターゲート事件発覚が1972年、ニクソン退陣が1974年だから
メチャメチャホットな時代の作品と言うこともあり、時系列を追って丹念に事実が明かされていく。

 のだが・・・私は正直ウォーターゲート事件は概略ぐらいしか知らないので、同時代の人がワクワクして
見たような感覚は得られなかった。出てくる人名の誰が誰の高官なのか?ドコが繋がっているのか?は
70年代の人ならバッチリ分かったんだろうけど、記者の会話劇でそれを読み取るのは21世紀には
難しい・・・
 だけど先日見た『バイス』もそうだが、ウォーターゲート事件のわずか4年後、全貌が分かって
2年後に公開と言うことは、分かってすぐ台本を書き始めて、それが企画として通るアメリカは
なんだかんだ言ってもスゴイと思った。



by AWAchampion | 2019-05-03 14:32 | 映画・演劇など | Comments(0)

「バイス」を見ました

さて、令和の1本目に選んだ映画は「バイス」です。
もう殆どの所で 公開時期が終わっている映画ですが
コレが面白かった!


2001年にアメリカ大統領になった 息子ブッシュ大統領の下で
副大統領となったディック・チェイニーが主人公なのですが、
彼を『能なしの大統領を意図的に担いで、悪意を持ってアメリカの権力を
一手に握った悪の権化』という風に描いている映画です。

当然ブッシュ大統領やらパウエル国務長官、ライス首席補佐官など
みんな実名!ラムズフェルド国防長官なんか メチャメチャ下品で悪玉ですよ!

これを「サタデー・ナイト・ライブ」の脚本家だった アダム・マッケイが監督
『ダークナイト』でバッドマンを演じた クリスチャン・ベイルがチェイニーを
特殊メイクと30㎏の増量によって そっくりに演じます。
(私より実年齢が若いと知り、ビビりました)

いやほんと 面白い。
要は『リチャード3世』なんですけど、元々ウィスコンシン大学の平凡な学生で
イェール大学に行くもドロップアウトして、電気工をやっていたチェイニーが
同級生で有力者の娘であり野心家の妻を持つ事で、ニクソン政権下で
インターンから徐々に謀略でのし上がっていく様子が
皮肉に満ちた笑いと 超絶テクの編集で描かれます。

で、遂にバカ息子を大統領に頂き、戦時下の特別法で
全ての権力をチェイニー副大統領が実質的に掌握。自分がCEOを勤める石油会社が
狙っていたイラクの油田を手に入れるために、イラクに難癖をふっかけ 
サダム・フセイン政権を打倒してしまうまでを、克明に描いています。

考えてみればデスよ・・・今だって共和党政権なわけです。
そのトランプ大統領の前の政権を完全に馬鹿にした映画を全て実名で作るって
クレイジーすぎます。
もちろん無許可なんだそうです。
「本人の許諾を得ると伝記として本人が法的に直す権利が出てしまう。だから
調べ尽くして訴えられても大丈夫なようにした」って・・・・

いくらハリウッドがリベラルで民主党寄りって言ったって
限度があります。
スゲー。日本ではまず無理です。
うらやましくもあり、うらやましいというか・・・破天荒さにビックリしましたね。
面白かったです。

by AWAchampion | 2019-05-03 00:21 | 映画・演劇など | Comments(0)